岡山県には約14万戸の空き家が存在し、空き家率15.6%は全国平均(13.6%)を上回っています。相続した実家の処分に困っている、老朽化した物件を解体したいが費用が心配、そんな方に使える補助金制度が岡山県内の各市町村で2026年度も実施されています。
笠岡市は特定空家等の除却補助に加え、「解体後の固定資産税を3年間減免する」という県内でも珍しいユニークな制度を持っています。「解体すると税金が上がる」という空き家放置の心理的ハードルを下げる仕組みが整っています。
目次
岡山県の空き家問題の現状
岡山県には約14万2,500戸の空き家が存在し、空き家率は15.6%と全国平均(13.6%)を上回っています。背景には高齢化による相続物件の増加、人口減少による需要低下、「とりあえず残しておこう」という所有者心理があります。
県・各市町村はこの問題を深刻に受け止め、補助金・相談窓口・空き家バンクなど多角的な対策を進めています。
空き家の補助金は大きく3種類
岡山県内の補助金制度は、目的によって以下の3種類に分かれます。
- 解体(除却)補助金 老朽化・危険な空き家を取り壊す際の費用を補助。倒壊リスクや近隣トラブルを抱えた物件が対象になりやすい。
- リフォーム(改修)補助金 空き家を再び住める状態に改修する工事費を補助。賃貸・売却・自己居住いずれも対象になるケースが多い。
- 移住・空き家バンク活用補助金 空き家バンクに登録された物件を購入・改修して移住する人向けの補助。津山市など地方都市に多い。
自分の状況に合った種類を確認してから、各市町村の制度を見ていきましょう。
「まず岡山県全体の補助金を把握したい」という方はこちらの比較記事から確認できます。
笠岡市で使える空き家補助金一覧
津山市は岡山県北部の中核市で、人口減少・高齢化による空き家増加が課題となっています。市内では解体費用の補助と移住者向けの空き家活用補助の2本立てで対策が進んでいます。特に県外からの移住者向け補助は購入・改修あわせて最大90万円と手厚く、津山への移住を検討している方には見逃せない制度です。
| 制度名 | 種別 | 補助率 | 上限額 | 申請期間 |
|---|---|---|---|---|
| 特定空家等除却事業補助金 | 解体 | 1/3 | 要確認 | 要問合せ |
| 老朽空き家解体撤去費助成金 | 解体(空き地バンク登録前提) | — | 要確認 | 〜R9.3/31交付決定 |
| 住宅リフォーム助成金 | 改修 | — | 要確認 | R8.4/1〜R9.1/31 |
| 家財等処分助成金 | 家財処分 | 1/2 | 要確認 | 要問合せ |
| 固定資産税3年間減免 | 税軽減 | — | 増額分相当 | 随時 |
※最新情報は笠岡市都市計画課(0865-69-2140)へご確認ください。
各補助金の詳細
① 特定空家等除却事業補助金
笠岡市が特定空家等に認定した建物の解体費用を補助する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 工事費の1/3 |
| 申請期間 | 要問合せ |
| 施工業者条件 | 笠岡市内に本社・支店・営業所がある業者に限る |
| 申請タイミング | 工事契約前に申請必須 |
※最新情報は笠岡市公式サイトをご確認ください。
重要な注意点 「建物が古い」「瓦が少し落下している」という理由だけでは補助対象になりません。笠岡市が特定空家等として認定した、周囲への影響度が大きい建物が対象です。まず窓口で認定状況を確認することが必須です。
対象となる空き家
- 笠岡市が特定空家等として認定したもの
- 建築物全部の撤去工事が対象(門扉・塀のみの撤去は不可)
申請できる人
- 対象空き家の所有者(相続人含む)または所有者の承諾を得た者
- 市税の滞納がない方
- 暴力団関係者でない方
② 老朽空き家解体撤去費助成金
特定空家等に至っていない老朽空き家でも、解体後に空き地バンクへ登録することを条件に解体費の一部を助成する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 条件 | 解体後3年間、空き地バンクへ物件登録して売却活動をすること |
| 申請期間 | 令和9年3月31日までに交付決定を受けること |
| 申請タイミング | 契約・工事着手前に申請必須 |
※最新情報は笠岡市公式サイトをご確認ください。
特定空家等の認定を受けていなくても使える可能性がある点が特徴です。「解体して土地を売りたい」という方に向いた制度です。
③ 住宅リフォーム助成金(令和8年度)
市内業者を利用して住宅をリフォームする場合に費用の一部を助成する制度です。令和8年度は物価高騰対応臨時交付金を活用して実施されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請受付 | 令和8年4月1日〜令和9年1月31日 |
| 条件 | 市内建築事業者が施工すること |
| 注意 | 予算残額1,020,000円(令和8年4月時点)・予算終了次第終了 |
※最新情報は笠岡市公式サイトをご確認ください。
④ 家財等処分助成金
笠岡市空き家バンクに登録した物件の家財道具の処分・搬出費用の1/2を助成する制度です。バンク登録後3年以上継続登録することが条件です。
⑤ 固定資産税・都市計画税の3年間減免(笠岡市独自制度)
笠岡市の最大の特徴がこの制度です。
住宅を解体すると住宅用地特例が外れて固定資産税が上がりますが、笠岡市ではその増額分を最大3年間減免します。
「解体したら税金が上がる」という理由で空き家を放置している所有者の背中を押す県内でも珍しい制度です。
対象条件
- 令和4年1月2日以降に家屋を解体撤去した土地
- 解体後に更地であること
- 所有者を相続以外の理由で変更していないこと
- 市税・税外収入金の滞納がないこと
空家を改装して開業する方向け補助金
住居としてではなく、カフェ・飲食店・サロン・事務所など事業用途で空き家を活用したい個人事業主・小規模事業者向けには、市町村の空き家補助金とは別に国の補助金が使えます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、ものづくり補助金・新事業進出補助金・デジタル化・AI導入補助金と並び、通年で公募が行われている補助金です。年3〜4回の公募サイクルで実施されており、申請のチャンスが複数あります。
補助上限額は最大250万円(インボイス・賃上げ等の特例要件を満たした場合)、補助率は2/3〜最大3/4。小規模事業者にとって、自己負担を抑えて新しい挑戦ができる大きなチャンスです。令和8年度の予算規模は総額3,400億円にも上り、毎年約3万件以上の応募があります。
小規模事業者の販路開拓を支援する補助金で、広報費は主要な対象経費のひとつです。チラシ・カタログ・看板・新聞雑誌広告・デジタルサイネージ広告など、幅広い広告宣伝活動が対象になります。
詳しくはこちら:【2026年】小規模事業者持続化補助金の最新情報を解説!
空き家活用での具体的な使い方の例
- 空き家を借りてカフェ・飲食店に改装する内装工事費
- 新規開業に向けた厨房機器・美容機器などの設備導入
- 開業告知のチラシ・SNS広告・ホームページ制作費
- 看板・ロゴ制作費
小規模事業者持続化補助金の申請枠
「自社はどの枠が最適かわからない」という方は、無料で確認できるガイドブックもご用意しています。最も選択されるのは「通常枠」ですが、追加要件を満たせば「賃金引上げ枠」や「創業枠」などの特別枠にも申請できます。能登半島地震の被災事業者の方はより優遇して補助を受けられる「災害支援枠」に申請できます。
詳しくはこちら:持続化補助金の申請枠(通常枠・特別枠)を徹底比較
持続化補助金の補助対象経費
持続化補助金では、事業計画に必要な経費のみが補助対象となります。補助対象経費は以下の13区分に分かれており、いずれかに該当する必要があります。
機械装置等費(業務効率化設備・厨房機器・製造機械など)
→機械装置費が補助される補助金はこちら- 広報費(チラシ・パンフレット・広告運用・Web広告など)
→広報費が補助される補助金はこちら - 展示会等出展費(展示会出展料・ブース設営費など)
→展示会出展が補助される補助金はこちら - 旅費(販路開拓に必要な出張費など)
- 開発費(試作品開発・パッケージ試作など)
→開発費が補助される補助金はこちら - 資料購入費(専門書籍・市場調査資料など)
- 雑役務費(アルバイト・臨時スタッフ費用など)
→人件費が補助される補助金はこちら - 借料(機器レンタル・会場利用料など)
- 専門家謝金(専門家への相談費用など)
- 専門家旅費(専門家派遣に伴う交通費など)
- 設備処分費(設備更新に伴う既存設備の処分費)
- 委託費(HP・システム開発・調査委託など)
→ホームページが補助される補助金はこちら - 外注費(Web制作・動画制作・キッチンカーなど)
キッチンカーが補助される補助金はこちら
空き家を放置する5つのリスク
「とりあえず残しておこう」は実は最もコストがかかる選択肢です。空家特措法の強化により、所有者への責任追及は年々厳しくなっています。
① 固定資産税が最大6倍になるリスク
住宅が建っている土地には「住宅用地特例」が適用され、固定資産税が最大1/6に軽減されています。しかし特定空家等に認定され勧告を受けると、この特例が解除されます。たとえば年間3万円だった固定資産税が、勧告後は18万円になるケースもあります。認定から勧告までは早ければ数ヶ月。気づいたときには翌年度の税額が大幅に跳ね上がっていた、というケースが岡山県内でも報告されています。
② 行政代執行と費用請求リスク
勧告・命令に従わない場合、市町村が強制的に解体する「行政代執行」が行われ、その費用が全額所有者に請求されます。行政代執行による解体費用は、一般的に通常の解体工事より1.5〜2倍以上高額になるケースがほとんどです。補助金を使って自分で解体すれば費用の最大1/2が補助される一方、行政代執行では補助金は一切使えません。命令が出る前に動くことが、費用面でも圧倒的に有利です。
③ 損害賠償リスク
老朽化した建物が台風・地震などで倒壊・落下し、近隣の家屋や通行人に損害を与えた場合、所有者が民事上の賠償責任を負います。「管理していなかった」「知らなかった」では免責されません。建物の外壁落下・屋根崩落・ブロック塀の倒壊などは、年間を通じて発生しています。万が一の事故で数百万〜数千万円規模の賠償請求を受けるリスクを考えると、補助金を活用した早期対応のコストは圧倒的に小さいと言えます。
④ 放置するほど解体費用が増加する
空き家は人が住まなくなった瞬間から劣化が加速します。換気・通水がなくなることで内部から腐食が進み、放置期間が長いほど解体費用は上昇します。さらにアスベスト(石綿)が含まれている建物の場合、事前調査と除去費用が別途発生し、解体費用が通常の2〜3倍になるケースもあります。昭和56年以前に建築された建物は特に注意が必要です。補助金が使える今のうちに動くことが、費用を最小限に抑えるための最善策です。
⑤ 相続後は対応が複雑・困難になる
放置した状態で相続が発生すると、対応は一気に複雑になります。相続人が複数いる場合、解体・売却には全員の同意が必要です。相続人の一人でも反対・連絡不通・海外在住などの状況があると、手続きが数年単位で止まることがあります。また相続登記の義務化(2024年4月施行)により、相続から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。「親が元気なうちに」「自分が動けるうちに」対処しておくことが、将来の家族への負担を最小化します。
岡山県内の他の市町村の補助金も比較したい方は、岡山県の空き家補助金【2026年度版】市町村別完全ガイドをご覧ください。補助金の種類・金額・申請期間を一覧で確認できます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 津山市に移住予定ですが、まだ物件が決まっていません。相談できますか? できます。物件探しの段階から仕事・移住支援室に相談することをおすすめします。補助の要件や対象物件の条件を事前に把握しておくことで、物件選びがスムーズになります。
Q2. 空き家バンク以外の物件でも移住補助は使えますか? 津山市住まい情報バンクの登録物件が補助の対象です。気になる物件がバンク未登録の場合は、所有者に登録を依頼するか、担当窓口に相談してください。
Q3. 除却補助と移住補助は同じ物件で両方使えますか? 解体した物件に移住することはできないため、基本的に同じ物件での併用はできません。
Q4. 危険空家とは特定空家等と何が違うのですか? 特定空家等は空家特措法に基づき認定された物件ですが、津山市の危険空家はそこまで至っていないものの「特定空家等になる可能性がある」と市長が認定した物件です。津山市は特定空家等だけでなく、その手前の段階でも補助対象にしている点が特徴です。
Q5. 相続したばかりの空き家でも申請できますか? できます。所有者本人だけでなく相続人も申請対象です。相続登記が完了していない場合でも、まず窓口へ相談してください。
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市への直接相談
除却補助の相談 津山市建設部建築課 TEL:0868-32-2093
移住・空き家活用補助の相談 津山市仕事・移住支援室 TEL:0868-32-2079
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参考・引用資料
本記事は以下の公式資料をもとに作成しています。
- 小規模事業者持続化補助金公募要領 第19回(中小企業庁・全国商工会連合会)
- 小規模事業者持続化補助金(日本商工会議所)
- 岡山市・倉敷市・津山市・総社市・笠岡市 各公式ホームページ
- 岡山県建築指導課「空き家ガイドブック」(令和7年9月版)
免責事項
本記事は各市町村および中小企業庁が公表している公式資料をもとに情報提供を目的として作成しています。補助金は公募回ごとに補助率・上限額・対象要件・スケジュールが変更される場合があります。申請前に必ず最新の公募要領および各市町村窓口にてご確認ください。本記事の情報に基づいて生じた損害・損失について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
PROFILE

- 中小企業診断士 / 資金調達・補助金コンサルタント / 外資系戦略コンサルティングファーム出身。独立後、事業再構築補助金・ものづくり補助金を中心に200社超の資金調達を支援し、採択率80%以上を継続して維持しています。補助金申請において最も難しいのは「書類を書くこと」ではなく、「Googleや審査員に刺さる事業計画を設計すること」です。戦略コンサルとしての経験を活かし、単なる申請代行ではなく、事業計画の立案から採択後の実行フェーズまでを一気通貫でサポートすることを強みとしています。これまでの支援先は製造業・小売業・サービス業など幅広く、初めての補助金申請から複数回採択の実績づくりまで対応しています。また、補助金メディアの執筆者として1,000本超の記事を執筆。最新の制度情報・審査傾向を常にアップデートしながら、読者と支援先の双方に正確な情報を届けることを使命としています。



