中小企業省力化投資補助金令和7年度・カタログ注文型自動車整備・その他サービス福岡県

病院の床洗浄にロボットを入れ、人手不足と転倒の不安に備える

新生ビルメンテナンス株式会社

福岡県のビルメンテナンス会社(従業員265名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 取引先の約3割が病院で、24時間動く現場の清掃人員が常に4〜5名足りなかった。
  • 製造元からの提案で、初めての補助金として省力化補助金(カタログ注文型)を使った。
  • 水拭きと拭き上げを1台でこなし、床を乾いた状態で仕上げるロボットを選んだ。
  • 試験稼働で安全を確かめてから、付き添いの人をロボットが苦手な場所の清掃に回す計画。

事業の経緯

1987年に設立し、福岡県内を中心に清掃、設備保守、警備、産業廃棄物の収集運搬までを請け負う総合ビル管理の会社として事業を広げてきた。オフィスビルや商業施設、マンションに加え、取引先の約3割を病院などの医療施設が占める。

しかし業界全体の人手不足と現場の高齢化が進み、24時間動く病院の清掃では常に人が足りない状態が続いた。ロボットの製造元から提案を受け、会社として初めて補助金を使って清掃ロボットを導入した。病院での試験稼働を経て、ほかの管理物件にも広げることを考えている。

事業の内容

  1. 課題:人手不足と高齢化清掃、設備保守、警備などを請け負う総合ビル管理の会社で、求人を出しても他業種との取り合いで人が集まらなかった。現場の高齢化も進み、最年長は勤続30年以上の83歳だった。
  2. 課題:病院清掃の重い責任取引先の約3割を占める病院の清掃には、感染症対策と転倒事故の防止という2つの責任がある。床に水滴が残れば高齢の患者の骨折につながりかねないが、人の手では仕上がりにムラが出やすく、広い廊下を常に乾いた状態に保つのは難しかった。導入先の病院では、人員を最適に配置しても常に4〜5名足りなかった。
  3. 取り組み:清掃ロボットの導入ロボットの製造元から提案を受け、省力化投資補助金(カタログ注文型)で清掃ロボットを導入した。会社として初めての補助金で、申請には1か月ほどかかった。病院の広い廊下や共用部の床を自動で洗い、吸引で乾かして仕上げるためのもので、360度のセンサーで障害物をよける。床洗浄までこなすロボットの導入は、県南の同業者では初めてだった。
  4. 取り組み:試験稼働前年7月から試験稼働を始め、平日は13時30分から14時30分、休日は10時から11時に、病院の各階の廊下を1日1フロアずつ洗浄している。試験期間中は常に1名が付き添っている。

補助金を使った経費

記事の内容から、省力化投資補助金の経費区分にあてはめた区分です。

カタログ掲載の省力化製品清掃ロボット

事業の効果

  • 400〜500㎡の床を、一定の品質を保ったまま実質40分ほどで洗浄できるようになった。人手では水拭き約50分と拭き上げ約40分の2工程が必要で、約2倍の時間がかかっていた。
  • 吸引で床を乾いた状態に仕上げるため、モップ清掃に比べて清掃直後の滑りによる転倒の危険が大きく減った。
  • 清掃のムラがなくなり、仕上がりの品質が上がった。
  • 生まれた時間を急な欠勤への対応に回せるようになり、他の現場から代わりの人を手配する手間などのコストが減った。
  • 清掃の実績がデータや図面で見えるようになり、管理の仕事も効率よくなった。

事業者の声

業界全体が直面している「深刻な人手不足」と「従業員の高齢化」が最大の要因だった。人材募集を行っても他業種との人材獲得競争が激しいため、十分な人手が確保できない。現場で働く従業員の高齢化も急速に進み、勤続30年以上で83歳の従業員が最年長で頑張ってくれているが、この先を考えると恒常的な人手不足は避けられない状況となっていた。

病院の清掃は、感染症対策と転倒事故の防止という2つの重大な責務がある。高齢の患者は免疫力が低下しているため、病院内での感染症対策には細心の注意が必要であり、清掃後の床に水滴が残っていれば転倒による骨折などの深刻な事故につながりかねない。人の手による清掃では、どうしても作業のムラが生じたり、広大な廊下を常に乾燥した状態に保つことが難しかったりするなど、限界を感じる局面があった。今回導入を決めた病院では、最適な人員配置であっても常に4~5名が不足している状態であり、人手不足感はとりわけ深刻だった。

申請には1ヶ月程度を要したものの、当初想定していたよりは簡単だった。

病院の広大な廊下や共用部の床を自動で洗浄できる、清掃ロボット(HAPiiBOT)を導入した。このロボットは、360度センサーにより障害物を検知して回避する高い安全性を備えている。ゴミ清掃を行うロボットの導入事例はあるが、床洗浄まで行うロボットの導入は、福岡県南地区にある同業種内では当社が初めてである。

平日は13時30分から14時30分、休日は10時から11時まで、病院各階の廊下共用箇所を1日1フロアずつで稼働している。現時点では、昨年7月からの試験稼働期間中のため、常に1名が付き添っている状態であり、まだ余力人員を生み出せる状態ではないことは事実。今後、試験稼働期間が終わり、病院側と合意が出来れば、この1名の付き添い要員の従業員をロボットが苦手とする「トイレ」や「壁ぎわ」、「段差のある箇所」といった、より困難で細やかな配慮が必要な清掃業務をお願いすることで、人的リソースの最適な再配置が実現するだろう。

400㎡から500㎡の広大な面積を実質40分程度で、一定の品質を保ちながら作業を続ける。人手で行う場合は、水拭き作業と拭き上げ作業の2工程が必要であり、それぞれ約50分および約40分を要するため、結果として約2倍の時間がかかっていた。特筆すべきは、吸引機能によって床面を乾いた状態で仕上げる点である。人がモップで作業を行う場合と比べ、清掃直後の床での滑りによる転倒リスクが大幅に軽減された。清掃ロボット導入により、清掃のムラが無くなり、仕上がり品質も向上した。

もともと人手不足により最適な人員を確保できていない中、従業員の急病等による欠勤で当日の作業に支障が生じたり、代替要員を他現場から手配する必要が生じたりすることがあったが、ロボット導入によって生み出された余剰時間を活用することで、こうした状況にも対応できるようになり、さまざまなコスト削減につながっている。

感染症対策と転倒事故の防止という2つの重大な責務を担う病院の床洗浄で、安全面に問題がないことを確認できれば、他の管理物件へのロボット導入も段階的に進めていくことが可能になる。「機械に任せられること」と「人が担うべきこと」を明確に分け、テクノロジーと人の力が調和した新しいビルメンテナンスの形を目指していきたい。

福岡県のビルメンテナンス会社(従業員265名)
出典

相談先と計画づくり

ITベンダーアマノ株式会社

病院清掃の責任である感染症対策と転倒防止の2点から、床を洗って乾かす作業をロボットに任せることにした。トイレや壁ぎわ、段差のある場所など細かい配慮がいる清掃は人が担う、という分担を考えた。

今後の展望

試験稼働を終えて病院と合意できれば、付き添いの1名をトイレや壁ぎわ、段差のある場所などロボットが苦手な清掃に回す。病院で安全を確かめたうえで、ほかの管理物件にもロボットを順に広げ、機械に任せることと人が担うことを分けたビル管理をめざす。

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