ものづくり補助金平成24年度岩手県

世界最小のペン型電動ピペットの商品開発

株式会社アイカムス・ラボ

この事例のポイント

  • 従来のピペットは製品サイズが大きく重いため、作業者の負担が大きく、腱鞘炎で悩む人も多かった。
  • 直径8mmのマイクロアクチュエーターを搭載してメカ機構部を小型化し、ペン型を実現する設計開発を行った。
  • ペン型電動ピペット「ピペッティ」は従来品の約2/3の重さで、電池を含めても70gと軽量になり、作業者の負担軽減につながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アイカムス・ラボ
所在地岩手県 盛岡市
業種精密機械器具製造業
技術分野動力伝達
従業員数27人
資本金4,227万円
設立2003年

事業の背景

株式会社アイカムス・ラボは岩手大学との共同研究で超小型ギヤ付きモーター(マイクロアクチュエーター)を開発し、この技術を核に事業を展開している。同技術はカメラレンズのオートフォーカス機構や流体制御バルブ、電動注射器など多岐の分野に用いられている。医療用ピペット(多連独立分注機)を手がけたことが、ペン型電動ピペット開発の発想のきっかけになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他従来のピペットは製品サイズが大きく重いため、作業者の負担が大きく、腱鞘炎で悩む人も多かった。
  • その他グリップ式のためピペットを握る位置が注ぎ口から遠く、狙った所に滴下しにくかった。
  • 品質・精度従来のピペットは手の熱の影響で分注量に誤差が生じ、精度に影響していた。

やったこと

直径8mmのマイクロアクチュエーターを搭載してメカ機構部を小型化し、ペン型を実現する設計開発を行った。手の熱による誤差に対応するためピペット内部に温度センサーを取り付け、感知した温度に応じて分注量を制御できるようにした。動作スイッチはペン式とグリップ式の2種類を採用し、高精度維持のためピストンシールの素材や形状も検討した。試作機10台を大学の研究機関や創薬研究機関にモニター評価を依頼し、その結果を基に仕様を決めた。プラスチック製筐体の金型を製作して量産化を図り、海外製品より低価格での販売を可能にした。平成25年11月に発売したペン型電動ピペット「ピペッティ」は従来品の約2/3の重さで、電池を含めても70gである。1回の吸入で最大25回の連続分注ができ、部品の約8割が岩手県内、9割が東北の精密加工メーカーで生産された。

新しい製品・サービス:ペン型電動ピペット「ピペッティ」

事業の効果

ペン型電動ピペット「ピペッティ」は従来品の約2/3の重さで、電池を含めても70gと軽量になり、作業者の負担軽減につながった。ペン式で正確な位置に滴下でき、1回の吸入で最大25回の連続分注も可能になった。金型による量産化で海外製品より低価格での販売を実現し、「メディカルクリエーションふくしま2014」で大賞を受賞するなど評価を得た。その後、Bluetoothを搭載した無線式電動ピペットも商品化された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    マイクロアクチュエーター技術を核に事業展開し、その応用製品として電動ピペットを商品化したと書かれており、事業との一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    減速機の部品点数を従来の1/3に減らした特徴や、海外製より低価格で販売可能になった点など、自社の強みと競争優位が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    従来ピペットの重さ・手の疲れ・グリップ式の課題を挙げ、重さ約2/3・70gへの軽量化で解決した経緯が書かれているが、事業計画としての数値目標は薄い。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の増加や賃上げに関する目標値は記載がなく、販売実績の数値も示されていないため、目標の実現可能性は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    開発体制はプロジェクトリーダーの存在や開発2部の名前程度で、人員構成や事務処理能力を示す記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    手の疲れや分注量の誤差、ペン式による滴下精度など、ユーザーの課題と製品の価値、大学や創薬研究機関のモニター評価による裏付けが書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作機10台のモニター評価、JIS検査、発売後のBluetooth搭載など、段階と今後の取り組みは書かれているが、スケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ペン型電動ピペットは従来のグリップ式・大型製品と異なる新市場の製品で、大賞受賞や世界初の開発と記載されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    地域の精密加工メーカーの部品約9割が東北製で、地域発の製品と記載されており、地域経済への波及がうかがえる。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    Bluetoothによる遠隔操作での分注データ管理や無線化など、デジタル技術の活用が書かれているが、サプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    医療・バイオ分野での新製品という点はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述はない。

  • 地域経済への波及4

    盛岡の企業が岩手県内と東北の精密加工メーカーに生産を委ね、約8割が岩手県内製と具体的な割合で地域の強みを活かしている。

今後の展望

無線式電動ピペットの商品化に続き、今後さらに製品の性能を高め、研究現場の期待に応えたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

千葉県平成24年度

DNA断片化装置の試作開発

圧力方式の装置を試作し、プランジャーで押し上げる速度を無段階に制御して、その押し上げ力で断片化サイズを調整できる構造を持たせた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。