ものづくり補助金平成24年度山梨県

新素材[パラジウム]を用いた健康ジュエリーの鋳造による試作開発

株式会社石友

この事例のポイント

  • 高齢者向けの軽くてアレルギーの少ない新しい素材を使った製品の開発が必要だった。
  • パラジウムの鋳造に向けて、ワックス原型の精度アップのため温度・時間・圧力を変えてインジェクション実験を行い、細部までワックスを充填できる条件を割り出した。
  • 独自の配合によるパラジウムのオリジナル地金の開発に成功し、一般のパラジウムより加工しやすい素材を作り出せた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社石友
所在地山梨県 甲府市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
設立1975年

事業の背景

石友は商品企画からデザイン、製作、検品、出荷まで社内で行う一貫生産システムを持ち、OEM・ODMを中心に大手ジュエリーブランドの製品を手掛けている。ジュエリー業界は景気の影響を大きく受けるため、市場規模の維持と拡大には新しい市場の開拓が必要とされていた。高齢化が進む中で、高齢者向けジュエリーの需要開拓が課題となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術高齢者向けの軽くてアレルギーの少ない新しい素材を使った製品の開発が必要だった。
  • 新製品・新技術パラジウムは細密な加工が難しく、宝飾品としての製品化が進んでいなかった。

やったこと

パラジウムの鋳造に向けて、ワックス原型の精度アップのため温度・時間・圧力を変えてインジェクション実験を行い、細部までワックスを充填できる条件を割り出した。埋没材の気泡撲滅とパラジウム鋳型焼成条件の確立のため、脱泡までを真空状態で一度に行い、埋没材の水分量と乾燥時間を変えて最適条件を割り出した。最高500℃まで温度管理できる電気炉を導入し、パラジウムに最適な鋳型焼成温度を割り出した。鋳造工程の巣(穴)を無くすため、回転機構を持った鋳造機を導入し、鋳込み温度と圧力の最適値を割り出した。最新のレーザー溶接機によるパラジウム鋳物の溶接技術にも取り組んだ。

  • 加工機電気炉最高500℃まで温度管理可能回転機構付き鋳造機レーザー溶接機

新しい製品・サービス:パラジウムを素材とした健康ジュエリー

事業の効果

独自の配合によるパラジウムのオリジナル地金の開発に成功し、一般のパラジウムより加工しやすい素材を作り出せた。その地金を使ったデザイン性の高いジュエリーの生産技術を確立し、2014年夏から製品化して販売を開始した。従来の金やプラチナに負けない仕上がりを実現し、取引先からも高評価を得ている。素材の単価が低くコストパフォーマンスに優れ、変色の心配もない点が魅力とされている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ODM・OEMや一貫生産を続けてきた実績と、新素材開発を新市場開拓の手段とする方針が書かれているが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高齢化を背景に高齢者向けジュエリーへ狙いを定め、パラジウムの軽さやアレルギー安全性を強みとして示している。

  • 課題の認識と解決3

    景気影響を受ける業界で市場維持と拡大が必要と課題認識があるが、数値を伴う成長目標は読み取れない。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの数値目標は書かれておらず、販売開始後の売上獲得が触れられる程度。

  • 事業を進める体制4

    一人の職人が全工程を担う一貫生産体制と、通常業務の中での開発体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    軽さ・アレルギー安全性・低単価・変色しないといった製品の価値と、高齢者向けという顧客ターゲットが明確に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    埋没材の脱泡、焼成温度、鋳造条件など課題ごとの解決方法と、数百回の試作を経た確立過程が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    パラジウムは宝飾素材として一般的に使われておらず、従来のプレス成形品に対し細密な鋳造デザインで高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    高齢化への対応や新市場開拓が語られるが、波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果2

    素材単価の低さやコストパフォーマンスの良さは触れられているが、補助金額に対する効果の数値は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザー溶接や真空鋳造などの技術導入はあるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    新市場開拓や異業種への展開が示されるが、日本経済の構造転換に言及した記述はない。

  • 地域経済への波及2

    甲府市の宝飾製造という地域性はうかがえるが、地域経済の牽引や雇用創出への言及は乏しい。

今後の展望

既に売り上げを獲得しており、今後の展開に期待がかかる。高齢者向けジュエリーだけでなく、マリッジリングやジュエリー以外の製品への拡大も計画している。

  • 目標:パラジウムは比重がプラチナの1/2程度と軽い。

事業者の声

スピーディーで確実な納期、高い信頼性を実現しています。何より一人の職人がすべての工程を行い、商品ひとつひとつを作品として仕上げているので、高いクオリティを提供することができ、取引先からも評価をいただいています

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。