ものづくり補助金平成24年度山梨県

医薬品包装機向け等の部材の製造における短納期・小ロット・高精度化対応のための設備導入および加工プロセスの 確立

株式会社渡兼

成果段取り時間 2時間→0.5時間

この事例のポイント

  • 医薬品包装機の新薬対応によるラインの改造で、短納期・小ロットの改造部品の対応を求められる機会が増えていた。
  • 高レスポンス大型(NC)操作フライス盤を導入し、段取りレスで大型かつ多様な切削加工ができるようにした。
  • 段取り時間 2時間→0.5時間。試作で段取り時間が従来の2〜3時間から30分へと大幅に削減され、製品の短納期化とコストダウンが期待できる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社渡兼
所在地山梨県 西桂町
業種金属製品製造業
技術分野溶接
従業員数54人
資本金3,000万円
設立1980年

事業の背景

渡兼は1950年に富士吉田市で創業し、1980年に有限会社、同年に株式会社となった。現在は年商10億円規模で、医薬品包装機向けの部品とリチウムイオン電池捲回機向けの部品を中心に製造している。医薬品包装機は国内トップシェアの包装機メーカーとの取引が中心で、リチウムイオン電池捲回機では世界市場の50%超のシェアを持つトップメーカーとの取引が中心である。国内の医薬品包装機市場は400億円を超える規模とされる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力医薬品包装機の新薬対応によるラインの改造で、短納期・小ロットの改造部品の対応を求められる機会が増えていた。
  • 生産能力リチウムイオン電池の大型化に伴い高位置精度・大口径の穴明け加工の需要が高まっていたが、対応が難しかった。
  • 人手・技能複雑な加工では段取り替え(プログラミング、工具の着脱、芯出し)に時間がかかっていた。
  • 品質・精度大型パーツへのボーリング加工ではびびり振動が生じやすく、仕上げ面の劣化や工具の破損が問題となっていた。

やったこと

高レスポンス大型(NC)操作フライス盤を導入し、段取りレスで大型かつ多様な切削加工ができるようにした。導入機は手動の汎用機のようにハンドルやレバーで自在に加工でき、カスタムパーツの小ロット製品にも対応できる。既存の小型操作フライス盤で操作を習得したベテラン技術者が、第1工場の技術者2人を約半年かけてOJTで指導し、複雑な加工ができるようにした。導入機で難素材の銅材料を複雑形状に削り出す試作を行い、ノーズ半径の工具を用い主軸回転数と送り速度を最適化してびびり振動を抑え、滑らかな表面に仕上げた。ステンレス材やアルミ材などの異種材料での加工条件も確立した。

加工機高レスポンス大型(NC)操作フライス盤

事業の効果

  • 段取り時間 2時間→0.5時間

試作で段取り時間が従来の2〜3時間から30分へと大幅に削減され、製品の短納期化とコストダウンが期待できる。ノーズ半径の工具と切削条件の最適化により、びびりを抑えた滑らかな表面仕上げが可能になった。異種材料の加工条件も確立され、顧客が求める小ロット・短納期への対応力が高まった。事業の生産は既に始まっており、月に半分程度の稼働ながら年間の売上高は350〜400万円に上る。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存小型操作フライス盤のOJTで技術者を育成し、大型加工機導入へつなげた経緯が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    顧客からの短納期・小ロット要望や海外加工品との競争に対し、大型対応と高精度加工で競争力を強化する方針が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    段取り時間が2~3時間から30分へ削減された具体的数値があり、課題認識と短納期化による効果が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上高は年間350~400万円とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、目標値の設定は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    ベテラン技術者が第1工場の技術者2人を約半年指導したと書かれ、人材面の体制がうかがえるが事務処理能力は不明。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医薬品包装機国内トップシェアや電池捲回機で世界市場50%超の取引先など、顧客と選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作と生産開始、月半分ほどの稼働で年間売上350~400万円と書かれるが、中長期のスケジュールや課題解決方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    医薬品包装機やリチウムイオン電池捲回機の市場規模や同社の高水準の加工対応が示され、高付加価値の取組として読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    医薬品やリチウムイオン電池が国の成長分野に位置付けられ、産業を支えると書かれているが、雇用や波及効果の数値は不明。

  • 費用対効果3

    段取り時間の削減や小ロット受注拡大は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加の数値はなく費用対効果は判断しにくい。

  • イノベーションへの貢献2

    大型・高精度加工の技術向上は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    医薬品やリチウムイオン電池の成長分野への対応が書かれ、産業の成長分野への進出がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    西桂町や山梨県内の企業に触れる程度で、地域の特性を活かした雇用や地域経済への効果は具体的に読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

医薬品の普及により医薬品包装機の需要はさらに増大し、海外でも日本メーカーの技術力を背景に需要が高まると期待される。リチウムイオン電池は車載用や産業用の大型品の出荷が増える見込みで、大型パーツの需要も続くと考えられる。

事業者の声

社員との触れ合い。これが一番ですね。親心で、子どものように育ててコミュニケーションを取っていく。その代わり、怒る時は怒りますけどね。話をして、お互いに溶け込んで、そして働いた分のお金をきちっと払う。ただ上にいて、下の姿が分からなくて給料払ってるっていうのは、その人に対して失礼じゃないですか?

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。