ものづくり補助金平成24年度愛知県

消防用可変ノズルの事業化

株式会社ケーエスケー

成果遠近距離から15〜20メートル先の広い火元に対応

この事例のポイント

  • 従来型の消防用ノズルは長射程を優先した放水のため着水面積が小さく、広い火元への対応が困難だった。
  • 放水形態を広角から棒状まで切り替えられる独自機構のからくりノズルを開発した。
  • 遠近距離から15〜20メートル先の広い火元に対応。からくりノズルは遠近両方の距離に対応でき、消防関係者や災害研究家から高い評価を得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ケーエスケー
所在地愛知県 安城市
業種はん用機械器具製造業
技術分野動力伝達
資本金1,000万円
設立1989年

事業の背景

株式会社ケーエスケーは自動車塗装機械部品の加工を主な業種とする会社である。消防用ノズルは80年以上基本構造が変化していないと指摘されている。市場では従来型の消防用ノズルへの不満があり、広い火元に対応できる製品が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術従来型の消防用ノズルは長射程を優先した放水のため着水面積が小さく、広い火元への対応が困難だった。
  • 生産能力広い火元に対応できる多口型ノズルは放水形態が固定式で距離の調整ができなかった。
  • 新製品・新技術消防用品の販売ルートを持たず、独自販売に乗り出すための流通手段が不足していた。

やったこと

放水形態を広角から棒状まで切り替えられる独自機構のからくりノズルを開発した。ノズル外筒を回すと内部の歯車により各流路が同調して回転し、流路の先端の向きで広角放水か棒状放水かが切り替わる。流路を「くの字」に加工し、放水口を8系統に分けて中央部以外の流路に角度を付けた。ノズル内部の水の通り道に微細な穴加工を施し、空気と一緒に水を放出して霧状の水を作り、直径0.2〜0.3ミリメートルを目指した。消火テストでは1〜2メートルの近距離から15〜20メートルの遠距離まで対応できることを確認した。ガングリップはフランス製を採用し、消防士の自衛噴霧のため口径の大きい海外製が適切と判断した。

その他からくりノズル(消防用可変ノズル)

新しい製品・サービス:放水形態を広角から棒状まで自在に切り替えられる独自機構の消防用可変ノズル(からくりノズル)。小型軽量で女性にも扱いやすい軽量タイプも開発した。

事業の効果

  • 遠近距離から15〜20メートル先の広い火元に対応
  • 1〜2メートルの近距離の火元にも対応

からくりノズルは遠近両方の距離に対応でき、消防関係者や災害研究家から高い評価を得た。テレビ放映や動画サイトでの消火テスト動画をきっかけに個人からも注文が増えた。企業でも採用に向けた動きが広がり、火災から人命や財産を守るケースの増加が期待される。国際特許(PCT)を取得し、特許は7カ国で取得した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去の取組として特許取得や平成24年度補正の試作開発支援活用が書かれるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    従来型は射程優先で広い火元に弱いという課題と、多口型をベースに独自機構で遠近両対応する強みが読み取れる。定量的な優位性は少ない。

  • 課題の認識と解決3

    販路がなかった課題を災害研究家の紹介で解消した経緯があり、課題認識は読めるが、高付加価値化や成長につながる計画の記述は薄い。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標となる売上や付加価値額の数値は示されず、高い評価や注文増の状況にとどまる。

  • 事業を進める体制2

    社長の関与や外部専門家との連携は書かれるが、人材や事務処理体制についての記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    射程15〜20メートルと遠近対応、女性向け軽量タイプなど具体的な特徴と、消防関係者や個人からの注文というニーズの裏付けが書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    女性向け軽量タイプの開発や自動車部品メーカーの採用検討が書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    消防用ノズルは80年以上基本構造が変わっていないと説明され、国際特許を7カ国で出願するなど類似事例のない新分野であることが具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    工場火災による自動車や化学製品のサプライチェーンへの影響に言及し、企業の火災被害軽減ニーズが書かれるが、経済波及効果の数値はない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    独自のからくり機構は技術革新といえるが、サプライチェーンのイノベーションへの貢献が具体的に示されてはいない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    消防用品という安全分野の高付加価値化はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する具体的な記述はない。

  • 地域経済への波及2

    安城市の自動車関連企業との採用の動きが書かれ、地域の産業とのつながりがわずかにうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地元大手自動車部品メーカーが採用に向けて動きだしており、企業での採用が期待される。

事業者の声

消火テストの動画を見た消防関係者からの反響は大きかった

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。