ものづくり補助金平成25年度運輸業、郵便業青森県

ディーゼル車排出NOx分解触媒用尿素水の高品質化事業

サンライズ産業株式会社

この事例のポイント

  • 尿素水SCRシステムで使う尿素水に、トリウレットが残留するとマフラー内部で目詰まりなどの不具合が起きることがある。
  • 尿素水の高品質化を目指し、高品質尿素水製造プラントを構築し、試作開発を行った。
  • JIS規格(JIS K2247-1)で定める品質要件を継続的にクリアする高品質な尿素水の精製に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名サンライズ産業株式会社
所在地青森県 弘前市
業種道路貨物運送業
技術分野製造環境
設立1980年

事業の背景

当社は昭和55年に日本電信電話公社から電話帳配達の受託事業を始め、その配送・顧客対応・オペレーションの体制を基に食品流通事業に進出した。現在は青森・秋田・岩手・宮城に冷蔵冷凍倉庫を備えた共同配送センターを置き、東北全域の配送ネットワークの構築に努めている。貨物運送業の車両はディーゼル車が主流で、窒素酸化物やPMを排出するため尿素水SCRシステムが普及している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度尿素水SCRシステムで使う尿素水に、トリウレットが残留するとマフラー内部で目詰まりなどの不具合が起きることがある。

やったこと

尿素水の高品質化を目指し、高品質尿素水製造プラントを構築し、試作開発を行った。プラントは、脱炭酸塔で井戸水の脱気と二酸化炭素の除去を行い、RO逆浸透膜で塩分・重金属イオン・溶解シリカなどを除去し、カートリッジ純水器でイオン交換により純水を精製する。精製した純水と尿素を製造タンクで撹拌し、濾過ユニットでイオン交換樹脂によりトリウレットを除去する構成とした。トリウレットの除去技術は、三重県の㈱オプティが権利化した特許(特許第5409948号)を用いるため、同社の協力を得た。試作では水質検査を行い脱炭酸塔で対応できることを確認し、フィルター樹脂の管理や伝導率値の確保、フィルター交換時期の分析を行った。濾過ユニットは製造毎にフィルターを逆洗してトリウレットを洗い流し、品質を維持した。

その他高品質尿素水製造プラント(脱炭酸塔)
その他高品質尿素水製造プラント(RO逆浸透膜)
その他高品質尿素水製造プラント(カートリッジ純水器)
その他高品質尿素水製造プラント(製造タンク)
その他高品質尿素水製造プラント(濾過ユニット)

新しい製品・サービス:高品質尿素水(SCRシステム用尿素水)

事業の効果

JIS規格(JIS K2247-1)で定める品質要件を継続的にクリアする高品質な尿素水の精製に成功した。走行試験でトリウレットが除去されていることを実証した。この成果はJIS規格取得に重要で、県内をはじめ物流業界全体のコストダウンにつながることが期待される。補助事業終了後2年目には販路を確立し、東北地区の貨物運送業における尿素水消費量の3割を供給することを目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    電話帳配達から食品流通、東北の冷蔵冷凍倉庫網へ事業を広げてきた経緯は書かれるが、尿素水事業との位置付けや経営戦略上の明確な関係は読み取りにくい。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    県内トラック台数14,379台、尿素水SCR搭載車は約2,875台と推計し市場拡大を述べるが、自社の強みとの関係や競争優位の記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    トリウレット残留という課題認識と特許技術導入による解決策は書かれるが、高付加価値化や成長につながる事業計画の数値は限定的。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産量4,000L/日の確保や東北の尿素水消費量の3割供給を目指すとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    補助事業の遂行体制として人材や事務処理能力について記述はなく、フィルター管理の実施状況がうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    JIS規格(JIS K2247-1)の品質要件クリアや走行試験でのトリウレット除去実証など、製品価値の根拠が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作開発から販路確立、設備投資へと段階が示されるが、スケジュールは「補助事業終了後2年目」程度で詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    SCR用尿素水は高品質化が未確立の分野で、トリウレット除去の特許技術を導入し、JIS規格準拠の高品質品を試作した点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    NOx排出抑制という環境対策や県内物流業界のコストダウンへの波及が期待されると書かれるが、雇用創出などの定量的記述は少ない。

  • 費用対効果2

    補助金額や投入額に対する付加価値増加の数値は示されておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献2

    物流業界全体のコストダウンへの期待はあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションとしての記述は乏しい。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    尿素水需要が拡大する分野への進出とされ、環境対策の成長市場とうかがえるが、日本経済の構造転換との直接的な記述はない。

  • 地域経済への波及3

    東北地区の尿素水消費量の3割供給を目指し、地域の物流業を支える点は読み取れるが、雇用や地域成長の数値は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

県内の貨物自動車は14,379台(平成25年3月31日現在、軽貨物自動車・霊柩車を除く)で、尿素水SCRシステム搭載トラックは約2,875台と仮定される。UDトラックス社製クオンが2004年に市場投入されて以降、2t・4tトラック、大型トラック、建設機械・農業機械・船舶にもシステムが採用され、尿素水の需要は確実に拡大する。

  • 目標:当社平均消費量100L/月で換算すると年間345万Lが消費されている
  • 目標:補助事業終了後2年目に生産量4,000L/日を確保するために設備投資を行う

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。