ものづくり補助金平成25年度製造業岩手県

半導体製造装置の高機能化部品の製造による品質の向上

東北精密株式会社

成果従来は複数の冷却部品で構成されていた冷却ジャケットを一体化し、IN と OUT を一箇所にした。

この事例のポイント

  • 半導体製造装置に使われる熱制御用の水冷ジャケットは、熱による応力変形や劣化を抑える必要があり、品質の向上が求められていた。
  • 一体化構造の製造に欠かせない5軸制御縦型マシニングセンタを導入し、X軸、Y軸、Z軸に2軸の回転軸を付加した。
  • 従来は複数の冷却部品で構成されていた冷却ジャケットを一体化し、IN と OUT を一箇所にした。5軸制御縦型マシニングセンタの導入により、複数部品で構成されていた冷却ジャケットを一体化し、冷却回路がシンプルになって…

事業者のプロフィール

事業者名東北精密株式会社
所在地岩手県 北上市
業種生産用機械器具製造業
技術分野機械制御,精密加工,接合・実装
従業員数148人
資本金2,000万円
設立1974年

事業の背景

当社は創業以来、大手半導体装置メーカーの支援を受けて、設計・加工・装置組み立てなど装置が出荷されるまでの工程に幅広く携わってきた。近年はIoTや自動運転、人工知能などの製品で高機能デバイスが必要とされ、半導体製造も微細化や3D構造化が進み、装置メーカーの開発競争が激しくなっていた。そのため半導体製造装置に搭載される部品や要素技術への革新要求も高まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度半導体製造装置に使われる熱制御用の水冷ジャケットは、熱による応力変形や劣化を抑える必要があり、品質の向上が求められていた。
  • 品質・精度水冷ジャケットは溶接などの線接合部が多く、接合部の隙間から腐食が進んで応力割れなどの不具合が多く発生していた。
  • 新製品・新技術異種金属を組み合わせる場合は制約が多く、信頼性に多くの課題が残っていた。
  • 生産能力複雑な冷却流路の立体構造は平面や螺旋、曲線の組み合わせ加工が必要で、従来の設備では実現が難しかった。

やったこと

一体化構造の製造に欠かせない5軸制御縦型マシニングセンタを導入し、X軸、Y軸、Z軸に2軸の回転軸を付加した。これにより平面、螺旋、曲線を組み合わせた複雑な流路加工が可能になった。流路だけをステンレス合金(SUS316L)にし、構造体はアルミ合金(A6061)とする異種金属接合を行い、耐食性と軽量化を両立させた。接合は熱間等方圧法ですべての面を熱と圧力により原子間接合し、隙間のない強固な一体構造体を実現した。静電チャックの冷却板を対象に試作開発を行い、均熱性を保つため緻密な立体流路を構成した。

加工機5軸制御縦型マシニングセンタ

新しい製品・サービス:流路をステンレス、構造体をアルミとした異種金属接合による一体化構造の水冷ジャケット(高性能冷却構造体)

事業の効果

  • 従来は複数の冷却部品で構成されていた冷却ジャケットを一体化し、IN と OUT を一箇所にした。

5軸制御縦型マシニングセンタの導入により、複数部品で構成されていた冷却ジャケットを一体化し、冷却回路がシンプルになって部品点数が削減された。メンテナンスも簡便になり、コストの低減にもつながった。異種金属の原子間接合により水漏れが大幅に減少し、品質と信頼性が向上した。国内半導体装置メーカーの製品信頼性の向上に寄与し、他分野への用途拡大も期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    半導体製造装置の部品加工・組立を創業以来担ってきたこと、接合と加工の要素技術強化が続いてきたことは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大手半導体装置メーカーの支援を受けてきた強みと、水冷ジャケットの腐食・水漏れという課題認識は読めるが、市場動向との比較や競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    水冷ジャケットの腐食・水漏れという課題を認識し、5軸加工機導入と異種金属の固相接合で解決する計画が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    部品点数の削減や水漏れの大幅減少は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    開発に携わった3名の担当者が紹介され、設計・加工・組立を担う体制は読めるが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    静電チャック冷却板向けに腐食と均熱性の課題を整理し、大手半導体装置メーカーの信頼性向上というニーズに対応する点が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後はチタンや銅など様々な異種金属の開発を検討すると書かれているが、スケジュールや課題の解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    アルミとステンレスを組み合わせた一体化流路の異種金属接合で、水冷ジャケットの高付加価値化を図る点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    半導体製造の真空・高温制御や高機能デバイスの需要を背景にし、他分野への用途拡大も期待されると書かれているが、経済波及の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    部品点数削減や水漏れ減少は書かれているが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    5軸加工と熱間等方圧による異種金属接合で、半導体装置の高信頼化に貢献する技術革新が書かれているが、サプライチェーン全体への波及は限定的。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    半導体・IoT・自動運転など成長分野への言及はあるが、日本経済の構造転換への寄与は明示されていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はアルミニウムとステンレスの構造体にとどまらず、用途や顧客の要望に沿ってチタン、アルミ、銅など様々な異種金属による開発も検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。