ものづくり補助金平成25年度製造業山形県

チャックの応用による高精度切削の実現と検査工程のリードタイム短縮

有限会社田中製作所

この事例のポイント

  • 小型スプールの同軸度を高めることが課題で、既成のコレットチャックでは同軸度10ミクロン以下を維持することが極めて困難だった。
  • 小物切削に絞った新規のCNC自動旋盤とCNC三次元測定器を同時に導入した。
  • 新規設備と異形コレットチャックにより、小型スプールの加工精度が向上し、同軸度10ミクロン以下を安定して維持できるようになって不良率もほぼゼロとなった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社田中製作所
所在地山形県 山形県最上郡戸沢村
業種金属製品製造業
従業員数7人
資本金300万円
設立1999年

事業の背景

当社は創業以来、金属部品の高精度切削加工に取り組んでおり、油圧制御装置の心臓部となるスプールを主力としている。近年は新興国の技術向上により切り崩しやコスト競争の波が押し寄せている。そのなかで、シェアの確保と新規受注の拡大を目指し、新たな設備投資を計画した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度小型スプールの同軸度を高めることが課題で、既成のコレットチャックでは同軸度10ミクロン以下を維持することが極めて困難だった。
  • 納期・工程検査工程を取引先に依頼していたため大幅な時間ロスが生じていた。
  • コスト・採算切削刃物の摩耗把握を目視や顕微鏡観察に頼っており、刃物を限界まで使えずコストがかかっていた。

やったこと

小物切削に絞った新規のCNC自動旋盤とCNC三次元測定器を同時に導入した。新規設備の能力を安定して発揮させるため、自社開発の異形コレットチャックを応用する技術革新を行い、小型スプールの同軸度向上を図った。三次元測定器で検査工程と生産工程のリードタイム短縮を目指し、切削刃物の摩耗を計測データで把握して限界まで使えるようにすることでコスト削減を目指した。

加工機CNC自動旋盤
検査測定CNC三次元測定器
その他異形コレットチャック

新しい製品・サービス:異形コレットチャック

事業の効果

新規設備と異形コレットチャックにより、小型スプールの加工精度が向上し、同軸度10ミクロン以下を安定して維持できるようになって不良率もほぼゼロとなった。高精度化によって受注範囲も広がった。三次元測定器の導入により、検査を自社内で完結させて精度確認後すぐに量産へ入れるようになり、大幅なリードタイム短縮と生産性向上につながった。切削刃物の摩耗を計測で把握できるようになったことで限界まで使えるようになり、コスト削減にも結びついている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の金属部品の高精度切削という一貫した取組と、小型スプールの同軸度課題への対応が書かれている。経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    新興国の技術向上やコスト競争の波という外部環境と、独自の異形コレットチャック技術という自社の強みが具体的に記述されている。

  • 課題の認識と解決4

    同軸度10ミクロン以下の維持が困難という課題を認識し、独自チャックと三次元測定器で解決する計画が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    同軸度10ミクロン以下、不良率ほぼゼロ、リードタイム短縮と定性的な成果はあるが、事前の数値目標や付加価値額の目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員7名の小規模体制であることはうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高精度・少量・多品種という事業領域、油圧バルブのスプールという顧客ターゲット、高精度の強みが具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望として小型+精密+低コスト化の方向性は書かれているが、スケジュールや課題解決の具体的方法は記述されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    高精度・少量・多品種の小型スプール分野で同軸度を高水準に高める取組が書かれているが、分野の普及度との比較情報は乏しい。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    海外生産シフトが難しい分野という国内産業の位置付けにわずかに触れるのみで、波及効果や雇用創出の記述はない。

  • 費用対効果3

    不良率ほぼゼロ、検査リードタイム大幅短縮、刃物の限界使用によるコスト削減と効果は示されるが、補助金額に対する数値の費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    三次元測定器による計測データ取得への移行は見られるが、地域やサプライチェーン全体へのイノベーション貢献は記述されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    山形県最上郡戸沢村の立地はうかがえるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済の牽引について具体的な記述はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

当社の事業領域は高精度・少量・多品種であり、今回の設備投資を競争力の根源として精度の高さを追求し、新たな分野への進出も視野に入れている。受注する部品の高度化に際限はないため、品質改善や技術の標準化による改善を基軸とした技術革新を続ける。小型・精密・低コスト化を可能にする設備投資も今後不可欠と考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。