ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

新開発のT6熱処理後鍛造工法を活用した量産技術開発と増産対応

株式会社河村製作所

成果生産性 1倍→4倍

この事例のポイント

  • 顧客から増産要求を受けたが、現行の製造システムでは対応できないため、生産性の高い量産技術の構築が急務だった。
  • T6熱処理を施した素材をプレスできる機構を開発した。
  • 生産性 1倍→4倍。T6熱処理後の素材を変形させずに量産できる機構を開発し、精度を落とさず目標の5倍の生産性を得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社河村製作所
所在地茨城県 東海村
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数67人
資本金4,500万円

事業の背景

同社は自社開発の高精度油圧プレス機を用いて、冷間鍛造で主に自動車部品を製造している。バルブソレノイドは自動車のエンジン制御部品で、可変バルブタイミング機構(VVT)に使われ、需要が年々高まっている。2014年には20万個/月の発注があり、最終的には80万個/月にしたいとの要望があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力顧客から増産要求を受けたが、現行の製造システムでは対応できないため、生産性の高い量産技術の構築が急務だった。
  • コスト・採算T6熱処理した素材は硬く、寸法精度が悪くなるため切削で整える必要があり、切削代と作業時間、素材の無駄によるコストが生じていた。
  • 生産能力硬さへの対応と精度維持のため鍛造速度を上げられず、現行の3工程1列の装置では生産量を増やせなかった。

やったこと

T6熱処理を施した素材をプレスできる機構を開発した。従来は1個の素材に3回のプレスを行っていたが、金型を4工程にし、装置を4工程4列に改めた。一度に素材16個を同一圧力で均一に挟み、精密かつ正確に搬送できる機構を考案した。寸法測定は接触式変位センサから非接触式変位センサに変更し、素材を動かしながら測定できるようにした。

加工機新規自社開発の油圧プレス機(4工程4列)
検査測定非接触式変位センサ

新しい製品・サービス:T6熱処理後鍛造工法を活用した、4工程4列のバルブソレノイド量産システム

事業の効果

  • 生産性 1倍→4倍
  • 生産性(全体) 1倍→5倍
  • 成形時間 9秒→7.2秒
  • 測定時間 9秒→1.8秒

T6熱処理後の素材を変形させずに量産できる機構を開発し、精度を落とさず目標の5倍の生産性を得た。成形時間と測定時間も短縮された。新たな4列の機構は異なる部品の金型も付けられるため、生産速度と精度を保ったまま他部品の製造にも応用できる。VVT搭載車の増加とハイブリッド車・電気自動車の普及により、バルブソレノイドのさらなる需要も見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    冷間鍛造とダイカスト金型の二事業を経営理念のもとで磨いてきたと記載があり、過去の取組との連続性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    自動車部品の需要増を背景に、自社開発の油圧プレス機と非鉄金属製品を強みとして挙げ、競争優位性が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    3工程1列を4工程4列にして生産性を4倍、全体で5倍を目指し、成形時間を9秒から7.2秒、測定を9秒から1.8秒に短縮したと数値で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    目標の5倍の生産性を得たと成果を数値で示し、20万個/月から80万個/月の要望にも言及している。

  • 事業を進める体制2

    従業員67名と記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客に高く評価され増産要求を受けた点、VVT需要の増加など、ニーズの裏付けと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    4工程4列の機構開発、非接触センサ導入など遂行内容は示されるが、スケジュールや中長期の検証についての記載は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    T6熱処理後の鍛造は他社で困難とされ、高強度部品の高付加価値化に取り組んでいることが具体的に読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    VVTの普及による自動車部品需要や雇用面への言及はあるが、国が補助する積極的理由の記述は限定的。

  • 費用対効果4

    切削代や作業時間の削減、生産性の4倍・5倍といった効果が示されており、費用対効果の方向性は読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    非接触式変位センサの導入は示されるが、デジタル技術によるサプライチェーン全体への貢献は読み取れない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    自動車部品以外の分野への進出を見込むとあるが、日本経済の構造転換への言及はわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車部品以外の分野への進出も見込んでいる。

事業者の声

『革新と改善の積み重ねが会社を強くする』を経営理念に、ダイカスト金型と冷間鍛造の2つの事業で技術力を磨いてきました。お客さまのニーズと期待に応え、高品質な製品・サービスを通して顧客に最高の満足を提供していきたいです

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。