ものづくり補助金平成25年度製造業千葉県

考古学史料等貴重文物を保管するための緩衝材の試作開発

有限会社ナラシノカセイ

成果模擬考古学史料の試作緩衝材の評価完了数 9種類→6種類

この事例のポイント

  • 埴輪などの考古学史料の複雑な曲線を、従来のモノサシや巻尺では高精度に計測できなかった。
  • 模擬考古学史料として埴輪や陶磁器など9種類を用意し、3Dスキャナ、3D・CAD、CNCルーター切削加工機の設備投資を行った。
  • 模擬考古学史料の試作緩衝材の評価完了数 9種類→6種類。3Dスキャナによる3Dイメージデータの取得により、9種類の模擬考古学史料すべての設計を行い、6種類の試作緩衝材は高さ6…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ナラシノカセイ
所在地千葉県 八街市
業種プラスチック製品製造業
技術分野情報処理,精密加工,測定計測
従業員数7人
資本金300万円
設立1993年

事業の背景

東日本大震災以降、収蔵施設が必ずしも免震構造ではないため、考古学史料等貴重文物を安全に保管する緩衝材のニーズが高まっている。国立の博物館・美術館の一般競争入札では文部科学省競争参加資格が応札要件となることが一般的である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力埴輪などの考古学史料の複雑な曲線を、従来のモノサシや巻尺では高精度に計測できなかった。
  • 新製品・新技術考古学史料を収める緩衝材を平面図や二次元CADで設計することが困難だった。
  • 品質・精度揮発性有機化合物の発生が少なく、被保管品に悪影響を与えない材質で緩衝材を製作する必要があった。
  • コスト・採算一点物ばかりの緩衝材を、従来の加工方法や従来技術では精度面・コスト面で製作することが困難だった。
  • 新製品・新技術データ量の多い設計データを切削プログラム作成ソフトに取り込めず、手作業で近似曲線を描き直す必要があり、時間と労力がかかり製品コストに跳ね返っていた。

やったこと

模擬考古学史料として埴輪や陶磁器など9種類を用意し、3Dスキャナ、3D・CAD、CNCルーター切削加工機の設備投資を行った。緩衝材の材質には、揮発性有機化合物の発生が少なく食品衛生法の容器包装の規格基準に適合する超臨界窒素ガス発泡法によるポリエチレンフォームを使用し、積層接着にも同規格に適合するホットメルト型接着剤を使用した。手順は、3Dスキャナで模擬考古学史料をスキャンし、3D・CADに取り込んで緩衝材を設計し、切削プログラムを作成してCNCルーター切削加工機で切削加工し、必要に応じて積層接着して完成させた。評価は、JIS Z2022:2013に準ずるコンクリート床面への高さ60cmからの自由落下試験で行った。

検査測定3Dスキャナ
ソフト3D・CADソフト
加工機CNCルーター切削加工機

新しい製品・サービス:考古学史料等貴重文物を保管するための緩衝材

事業の効果

  • 模擬考古学史料の試作緩衝材の評価完了数 9種類→6種類

3Dスキャナによる3Dイメージデータの取得により、9種類の模擬考古学史料すべての設計を行い、6種類の試作緩衝材は高さ60cmからの自由落下試験でも収納した模擬考古学史料を損傷しなかった。3Dスキャナによりスキャンのステップが不要となり、遠方の海外の博物館や美術館の緩衝材の設計・製作や、海外からの輸送用の緩衝材の事前作成も可能になった。食品衛生法に適合した材質で、担当職員の技量に関係なく緩衝性を維持できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去の取組として発泡樹脂加工の従来技術や防衛・宇宙向け緩衝材の設計経験が書かれているが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    東日本大震災以降の緩衝材ニーズ増や、3Dスキャン設計で海外展開も可能とする強みが書かれているが、市場規模や競争優位の数値はない。

  • 課題の認識と解決3

    従来加工での精度・コスト課題と、データ量圧縮の手作業による時間と労力の問題が挙げられ、解決策も示されているが、高付加価値化の数値目標は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の増加や賃上げの目標値は記載がなく、試作で9種類中6種類の評価完了という実績のみが示されている。

  • 事業を進める体制4

    社長と担当者の役割、従業員7名規模、宇宙・防衛向け緩衝材の設計経験があり、実施体制は具体的に読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    精密機器や考古学史料向けの緩衝材という対象と、高さ60cm落下試験での損傷なしという選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は営業活動や海外博物館・運輸業界への展開を考えると書かれているが、スケジュールや遂行方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金300万円、売上高5,254万円(平成26年度)の記載はあるが、財務状況の評価や資金調達の見込みは書かれていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    超臨界窒素ガス発泡法のポリエチレンフォームと3D設計による一点物の緩衝材で、従来加工では困難な高付加価値領域を狙っている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    東日本大震災以降の文化財保護というニーズと国立博物館の入札要件が書かれ、社会的意義は読み取れるが、経済波及効果や雇用の数値はない。

  • 費用対効果2

    設備投資額や費用対効果の数値は示されず、試作で6種類が評価まで至ったという成果のみ書かれている。

  • イノベーションへの貢献4

    3Dスキャナ、3D・CAD、CNCルーターを組み合わせ、海外からの遠隔設計も可能とする新しい設計手法が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    文化財保管という分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換や成長分野との関係は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    千葉県八街市の地域特性や地域経済への貢献についての記載はほぼなく、わずかに国内展示会への言及がある程度。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

弊社で構築した考古学史料等用緩衝材の設計・製作技術の説明を中心に営業活動を行っている。海外の博物館・美術館や美術品輸送等を扱う運輸業界への展開も考えている。

事業者の声

何とか当初の目的を達成出来ました。是非とも事業に繋げたいと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。