ものづくり補助金平成25年度卸売業、小売業千葉県

木材用真空高速乾燥炉の開発および短納期木材乾燥サービスの普及事業

並木木材株式会社

成果木口の含水率 83.5%→25.5%

この事例のポイント

  • 木材の乾燥に時間がかかり、短納期化が課題となっていた。
  • 真空乾燥炉を所有する関係会社の協力を得て生木の乾燥実験を行い、新技術を導入した木材乾燥専用の真空高速乾燥炉を開発した。
  • 木口の含水率 83.5%→25.5%。木材の乾燥工程を大幅に短縮し、電力のみの稼働により周辺への環境負荷の軽減と消費エネルギーの低減を可能にした。

事業者のプロフィール

事業者名並木木材株式会社
所在地千葉県 千葉市
業種建築材料、鉱物・金属材料等卸売業
技術分野材料製造プロセス
従業員数8人
資本金1,000万円
設立1946年

事業の背景

弊社はWPC木材の製品化を進めており、生産工程を精査する中で短期納期化が必要になった。素材への影響が少なく短時間で乾燥できる真空乾燥技術に注目した。真空乾燥は1934年に特許が取得され、その後高周波やマイクロ波を用いる方式が研究されて実用化されてきたが、設備費と運転費が高く一部の企業への導入にとどまっていた。政府は2020年までに木材自給率を50%に引き上げる方針を掲げており、高性能・高効率の乾燥機の導入促進が業界の課題となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力木材の乾燥に時間がかかり、短納期化が課題となっていた。
  • コスト・採算真空乾燥は設備投資費やランニングコストが高く、有効なサービスとして広く展開できていなかった。
  • 品質・精度真空下では収容木材への均一な熱伝播が難しく、乾燥状態にばらつきがあった。

やったこと

真空乾燥炉を所有する関係会社の協力を得て生木の乾燥実験を行い、新技術を導入した木材乾燥専用の真空高速乾燥炉を開発した。炉内容積は8.1㎥で、炉内に設置した光源から発する光を媒介として真空下で遠赤外波長による熱伝播を可能にし、炉内の反射板により均一な熱伝播を実現した。杉角材(3000×130×130)12本と杉平板(3000×130×36)12本で予熱および真空乾燥の試験条件を設定し、乾燥時間・仕上り・コストで最も合理的な条件を確定するためノウハウを蓄積した。2015年9月29日に乾燥試験を行い、試験体1では木口の含水率が83.5%から25.5%に減少した。表面に割れが発生したのは、熱伝播効率が高く炉内温度100℃で乾燥が速すぎたため、3時間後に75℃へ再設定し15時間乾燥したことが影響したと考えられる。

加工機木材用真空高速乾燥炉

新しい製品・サービス:木材真空乾燥炉設備および短納期木材乾燥サービス

事業の効果

  • 木口の含水率 83.5%→25.5%
  • 全長に関して変化率0%

木材の乾燥工程を大幅に短縮し、電力のみの稼働により周辺への環境負荷の軽減と消費エネルギーの低減を可能にした。真空下でも炉内に設置した光源と反射板により収容木材への均一な熱伝播を実現した。乾燥試験では全長の寸法変化率が0%で反りは発生せず、木口の含水率は大きく下がった。今後は国産材の有効活用や在庫・輸送コストの軽減により業界の課題解決に貢献し、地域雇用の創出にもつながると考えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    WPC木材の製品化と短期納期化を図るため乾燥工程を精査した経緯が書かれ、既存事業との関連は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国産材の利用促進や木材業界の在庫負担・輸送コスト軽減に触れるが、自社の経営資源の強み・弱みとの関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    乾燥工程の長さを課題と認識し、真空高速乾燥炉で20時間以内に20%以下まで乾燥する目標を示しており、課題と解決策の対応が読み取れる。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    目標として20時間以内に含水率20%以下、消費電力を時間当たり平均50kWに抑えると数値で示されており、試験で83.5%から25.5%への減少も記載されている。

  • 事業を進める体制2

    真空乾燥炉を所有する清永電機有限会社の協力で実験を行ったとあるが、自社の人材や事務処理体制は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    短納期木材乾燥サービスの需要や神社仏閣材・ヒノキ柱の急な注文への対応ニーズは書かれているが、顧客ターゲットの絞り込みは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    試験条件を段階的に設定し、100℃の乾燥進行の速さによる表面割れを75℃への再設定で対処するなど、課題と解決方法が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    真空乾燥は設備投資費やランニングコストが高く一部導入にとどまると書かれ、普及度が低い分野での新技術開発であることが読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    国産材の有効活用や地域雇用の創出に寄与すると書かれているが、波及効果の規模は数字で示されていない。

  • 費用対効果3

    乾燥時間短縮や電力のみの稼働によるエネルギー低減に触れるが、補助金投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    光による輻射熱加熱や遠赤外波長による熱伝播など新技術を用いるが、サプライチェーン全体への貢献の度合いは薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    木材自給率50%を目指す政策への対応が書かれ、国産材利用の促進がうかがえるが、産業構造転換への言及は限定的。

  • 地域経済への波及3

    地域材の利用促進や地域雇用の創出に貢献すると述べられているが、地域特性を活かした付加価値の具体的内容は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業の展開により木材流通の律速となる乾燥工程を大幅に短縮し、国産材の有効活用、木材業者の在庫負担と輸送コストの軽減を通じて木材業界の生産・流通課題の解決に貢献する。高収益の本事業サービスを普及させることで、雇用環境の改善と地域雇用の創出にも寄与したいと考えている。

  • 目標:真空乾燥炉内の木材(角材)を20時間以内に20%以下まで乾燥することを目標とする
  • 目標:消費電力を時間当たり平均50kWに抑えることを目標とする

事業者の声

政府が掲げる2020年までに木材自給率を50%まで引き上げる政策にあたって、国産材の利用促進において、高性能・高効率の乾燥機の導入促進が課題となっている中で、本事業に於いていち早くその課題に取り組むことで木材業界に貢献できると考えています。今後もより良い製品作りを目指し、技術開発に取り組んで行きます。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。