ものづくり補助金平成25年度製造業新潟県

細胞培養装置CO2 インキュベータの内装抗菌パネルの開発

株式会社 ハシモト

この事例のポイント

  • 医療分野への参入を目指しているが、ステンレス鋼板を使った細胞培養装置の抗菌内装パネルは試作段階だった。
  • 加圧速度や加圧力を任意に設定できるデジタル制御油圧プレスを導入し、バイオメディカル培養装置の抗菌内装パネルを試作した。
  • 加工温度を60℃・80℃・常温で成形試験した結果、80℃ではコーナー部に傷や割れが発生したが、60℃および常温では潤滑剤がポリエチレンシートの場合に良好な結果が得られた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 ハシモト
所在地新潟県 弥彦村
業種金属製品製造業
技術分野立体造形
従業員数42人
資本金3,500万円
設立1974年

事業の背景

細胞培養装置CO2インキュベータは医療機器の分類に属し、H23年の薬事工業生産動態統計による国内出荷額は1,452億円で、H22年比で約40%伸びている。細胞培養装置の内装部材は無菌環境で使うため高いクリーン度が求められる。同社は得意とするステンレス鋼板の加工を生かし、今後成長が期待される医療分野への参入を目指した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術医療分野への参入を目指しているが、ステンレス鋼板を使った細胞培養装置の抗菌内装パネルは試作段階だった。
  • 生産能力強度が高く伸びが小さいステンレス鋼板は常温の張り出し加工が難しく、成形時に局部歪みやねじれが生じやすかった。
  • 品質・精度精密な曲げを含む張り出し加工ではスプリングバックが発生し、形状凍結性が損なわれて不良の原因となっていた。

やったこと

加圧速度や加圧力を任意に設定できるデジタル制御油圧プレスを導入し、バイオメディカル培養装置の抗菌内装パネルを試作した。温間張り出し加工では従来常温で行っていた張り出し加工について、金型を100℃程度に加熱して被加工材の変形抵抗を下げ、加工性と形状凍結性を高めることを試みた。加圧速度制御プレス加工では下死点付近の加工速度を速くして衝撃荷重を付加し、下死点でパンチを短時間停止させてスプリングバックを軽減させた。

加工機デジタル制御油圧プレス

新しい製品・サービス:細胞培養装置CO2インキュベータの内装抗菌パネル

事業の効果

加工温度を60℃・80℃・常温で成形試験した結果、80℃ではコーナー部に傷や割れが発生したが、60℃および常温では潤滑剤がポリエチレンシートの場合に良好な結果が得られた。加圧速度制御では下死点停止時間を0秒から3秒まで変えた試験で、3秒の停止時に妥当な寸法形状を得られた。これにより温間張り出し技術や加圧速度制御プレス加工などの対応力が確認され、他社との優位性を確保して新たな参入の加速が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ステンレス鋼板の加工を得意とする既存事業を活かし、医療分野への参入を目指すと記載。過去の取組との連続性は具体的に述べられていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    医療機器はステンレス抗菌材料を用いる製品が多いと市場動向を示し、温間張り出し加工など他社との優位性確保を挙げている。

  • 課題の認識と解決3

    加工の難しさや成形不良を課題として挙げ、温間張り出し等で解決を図るが、事業計画としての売上目標や実行計画は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上増を見込むとあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれておらず、わずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    試作や成形試験を行った記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療機器メーカーへの営業ツールとしてサンプルを用い、ステンレス抗菌パネルの優位性を示す顧客ターゲットが読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    温間張り出しで60℃・80℃・常温の試験、下死点停止3秒の試験を実施したと記載され、課題解決の方法は示されている。スケジュールは不明。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    CO2インキュベータ市場が平成22年比約40%増の1,452億円と成長していることを示し、高付加価値の医療分野参入を目指す。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    医療分野の成長に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は記載されておらず、わずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献3

    デジタル制御油圧プレスと独自の温間成形技術を用い、医療分野のイノベーションに関わる可能性はあるが、サプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出4

    今後成長が期待される医療分野への参入を目指し、CO2インキュベータ市場の伸びを示している点で成長分野への進出と読み取れる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業で開発したサンプルを営業ツールとして全国の医療機器メーカーへの受注拡大に努め、売上増を見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。