ものづくり補助金平成25年度製造業長野県

水質環境に影響されない“ブランド銘柄・清酒製造技術”の開発

宮坂醸造株式会社

この事例のポイント

  • 水質環境の異なる場所で従来と同品質の清酒を製造するには、原料水のミネラル組成を制御することが課題となっていた。
  • 逆浸透膜等の濾過技術を用い、任意にミネラル組成を制御できる加工濾過設備を構築し、富士見蔵の原料水を諏訪蔵の原料水に近似するように加工濾過して試験醸造を行った。
  • 富士見蔵の原料水を諏訪蔵の原料水に近似させることで、諏訪蔵製品と同品質の高品質製品を富士見蔵でも製造できることを確認した。

事業者のプロフィール

事業者名宮坂醸造株式会社
所在地長野県 諏訪市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数72人
資本金4,800万円
設立1662年

事業の背景

宮坂醸造は「真澄」ブランドで年間90万本(一升瓶)と長野県内トップクラスの生産・販売量を誇る酒造メーカーで、諏訪蔵と富士見蔵の2工場で製造している。純米酒比率は70%近くに上り、高級酒を中心に海外輸出も行っている。ここ数年の日本酒ブームで売れているのは純米酒や吟醸酒などの特定名称酒であり、10年ほど前まで造っていたような酒とは別物になっている。諏訪蔵と富士見蔵の原料水には水質差があり、同品質の高級酒造りにはネックになっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度水質環境の異なる場所で従来と同品質の清酒を製造するには、原料水のミネラル組成を制御することが課題となっていた。
  • 品質・精度スパークリング清酒のクリアタイプ製造には、正確な温度管理と瓶内発酵後の澱を完全に除去することが課題であった。

やったこと

逆浸透膜等の濾過技術を用い、任意にミネラル組成を制御できる加工濾過設備を構築し、富士見蔵の原料水を諏訪蔵の原料水に近似するように加工濾過して試験醸造を行った。その結果、諏訪蔵製品と同品質の高品質製品が製造できることを確認した。スパークリング清酒のクリアタイプ製造工程には、シャンパン製法に準じたクーリングタンクとジャイロパレットを初めて清酒製造工程に導入した。

その他加工ろ過装置(原料水のミネラル組成を制御する加工濾過設備)
その他クーリングタンク
その他ジャイロパレット

新しい製品・サービス:スパークリング清酒(クリアタイプ)

事業の効果

富士見蔵の原料水を諏訪蔵の原料水に近似させることで、諏訪蔵製品と同品質の高品質製品を富士見蔵でも製造できることを確認した。スパークリング清酒のクリアタイプ製造工程に初めてシャンパン製法に準じた設備を導入し、従来品よりクリアで品質の安定したスパークリング清酒の製造技術を確立した。今後は平成27年10月から始まる次期酒造期に、富士見蔵で加工濾過設備をフルに稼働させ特定名称酒の増産を行う予定である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成25年度に水質環境に影響されない清酒製造技術を開発し、平成26年度にスパークリング清酒製法を確立した流れが読み取れ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    特定名称酒の需要増に応えるため富士見蔵で加工濾過設備を稼働させる方針が書かれており、外部需要と自社設備の関係が一部読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    水質差が高級酒造りのネックだったという課題認識と、加工濾過設備による解決の方向性が書かれているが、事業計画の数値目標は乏しい。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    数千本の年間出荷量を数万本に伸ばす計画が書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    杜氏との二人三脚や試運転を重ねた記述はあるが、補助事業を遂行する体制や人材の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    高級酒への需要や、フランス人シェフが年間数百本購入している事実が書かれ、選ばれる理由の一端がうかがえる。

  • 事業化までの道筋2

    設備導入後の試運転や次期酒造期での増産予定は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は詳しく示されていない。

  • 財務と資金の調達2

    社長が膨大な設備投資を覚悟していると述べているが、資金調達や財務状況の具体的記述はない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    スパークリング清酒はシャンパン製法を清酒に初めて取り入れた点が書かれ、新分野での差別化がうかがえる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    海外需要への対応や日本酒を世界に広める役割に触れているが、経済波及効果や雇用創出の記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    設備投資の規模や付加価値増加額の数値は示されず、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献2

    水質に影響されない製造技術を業界の一助とする記述があるが、デジタル技術の活用は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    長野県内トップクラスの生産量や諏訪市の老舗酒蔵である点が書かれ、地域の特性を活かした事業であることがうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

特定名称酒の需要増に応えるため、次期酒造期に富士見蔵の加工濾過設備をフルに稼働させ増産する予定である。海外展開を視野に入れ、高級酒体制の構築に向けて設備投資を続ける方針である。

事業者の声

ここ数年、日本酒ブームが続いていますが、売れているのは純米酒や吟醸酒などの特定名称酒。10年ほど前まで造っていたような酒とはまったく別物です。おいしくないものは売れません。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。