ものづくり補助金平成25年度製造業愛知県

航空宇宙業界向けの複合角度複雑形状切削を可能とする設備投資の実施と高効率試作開発加工並びに技術伝承のチャレンジ

渡辺精密工業株式会社

この事例のポイント

  • ゲージを加工する工作機械への設備投資が十分にできず、特に1990年代は全くできていなかった。
  • 平成24年度補正ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援事業に申請し採択された。
  • 5軸加工機の導入により、航空機部品の複雑形状に対応したゲージを高精度に加工できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名渡辺精密工業株式会社
所在地愛知県 名古屋市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数49人
資本金2,400万円
設立1947年

事業の背景

渡辺精密工業は自動車や航空機の部品の寸法が規定内に収まっているかを測定する機器「ゲージ」を手がけている。部品形状が複雑になるほどゲージの製作も難しくなり、特に航空機部品はその傾向が強い。リーマン・ショックの影響もあり十分な設備投資ができず、中古機械を購入して対応していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力ゲージを加工する工作機械への設備投資が十分にできず、特に1990年代は全くできていなかった。
  • 人手・技能ゲージの製作はベテラン社員の職人技に頼る状態だった。

やったこと

平成24年度補正ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援事業に申請し採択された。数値制御(NC)研削加工機を導入したのに続き、平成25年度補正の中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業でも採択され、5軸加工機を導入した。5軸加工機により航空機部品の複雑な形状に対応したゲージをぴったりの寸法で加工できるようになり、失敗する危険性は大きく減った。

加工機NC研削加工機
加工機5軸加工機

新しい製品・サービス:航空機部品の複合角度・複雑形状に対応したゲージ

事業の効果

5軸加工機の導入により、航空機部品の複雑形状に対応したゲージを高精度に加工できるようになった。ゲージをぴったりの寸法で加工でき、失敗する危険性は大きく減った。航空機向けでボーイング787の部品向けゲージという大きな受注を得た。ベテラン職人の技に頼る状態から転換し、若手社員も育ちつつある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1990年代は設備投資が全くできず、平成12年入社後も技術・知識の蓄積に時間を要したとあり、過去の取組との一貫性は読み取れるが戦略上の位置付けは明確でない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    一品もの対応で複雑形状の航空機部品ゲージを手がけ、ボーイング787部品向けで大きな受注があったと具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    ベテラン職人技に頼る状態からの転換を図るとあり、課題認識と5軸加工機導入の関係は読み取れるが、数値目標や計画の詳細はない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    受注を大きく伸ばしたとあるが、高付加価値の目標値や賃上げ目標の数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    社員への主体者意識の呼びかけや若手社員の育成が書かれ、人材面の体制はうかがえるが、事務処理能力は記載がない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ゲージの役割や複雑形状ほど製作が難しいことは説明されているが、顧客ターゲットの整理は詳しく書かれていない。

  • 事業化までの道筋3

    平成24年度以降に複数の補助金を活用し設備投資を段階的に進めた経緯があり、中長期の遂行方法の一端は読み取れる。

  • 財務と資金の調達2

    リーマン・ショック後に十分な設備投資ができなかったとあるが、財務状況や金融機関からの資金調達の記載はない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ゲージは一品ものでオーダーメードされ、一品もの工場で5軸加工機を導入するのは珍しいと書かれ、高付加価値化の方向が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    航空機の大型旅客機部品という国内産業への波及は示唆されるが、雇用創出や経済波及効果の数字は示されていない。

  • 費用対効果3

    費用対効果が合わず断念する投資を補助金で可能にしたとあるが、付加価値額や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    5軸加工機による高精度加工の活用は書かれるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへのイノベーションは明記されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    航空機部品の次世代大型旅客機向けゲージに言及があり、成長分野への進出の一端がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    名古屋市の企業で航空機部品を手がけると書かれるが、地域特性を活かした雇用や成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ボーイングが平成29年に量産開始予定の次世代大型旅客機777Xのエンジン向けゲージの受注が進んでいる。

事業者の声

高精度な加工をするハードルを下げる

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。