ものづくり補助金平成25年度製造業三重県

新型連続炉の導入によるチップソー基板の熱処理加工の高精度化

株式会社富士工業所

成果平坦度 0.1mm→0.04mm

この事例のポイント

  • チップソー基板の平坦度について、従来の0.10mmから0.04mmへの高い精度が求められるようになった。
  • 連続炉で830℃に加熱した基板を、冷却定盤でプレス矯正をかけながら急冷して焼き入れするオイルレス焼入設備を導入し、調整した。
  • 平坦度 0.1mm→0.04mm。新型連続炉と冷却定盤によるプレス焼き入れで焼き割れがなくなり、平坦度が0.04mmに向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社富士工業所
所在地三重県 伊賀市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数39人
資本金1,000万円

事業の背景

同社はアスファルト等の切断用ダイヤモンドブレード用基板や、材木・鉄丸棒を切断するチップソー用基板の製造を行ってきた。材料の特殊鋼をレーザー加工機で成形し、焼き入れ・歪取り・研磨まで一貫して基板を製造している。鉄丸棒切断用チップソーは、加工コスト低減のため切断精度を向上させて仕上げの二次加工をなくすことが求められていた。国内では鉄丸棒切断用チップソーの生産は大手2社が優位である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度チップソー基板の平坦度について、従来の0.10mmから0.04mmへの高い精度が求められるようになった。
  • 品質・精度油焼き入れ後の基板は曲がって硬度も高く、プレス矯正をかけると割れやすく、高めの温度でプレスすると平らになりにくい。
  • 納期・工程平坦度を出すための後工程の歪取り工程に時間がかかっていた。
  • コスト・採算鉄丸棒切断用チップソーは仕上げのための二次加工が必要で、加工コストの低減が求められていた。
  • 生産能力既存の焼き入れ設備は陳腐化・老朽化しており、高精度な平坦度を求める製品への対応が遅れ、精度の要求が高い受注は難しかった。

やったこと

連続炉で830℃に加熱した基板を、冷却定盤でプレス矯正をかけながら急冷して焼き入れするオイルレス焼入設備を導入し、調整した。設備には台車の搬入・搬出装置を接続し、ロボットアームで基板を吸着して加熱炉への装入、冷却プレスへの装入、搬出を行う。加熱時間は5分/Kgで、赤熱された製品を再びロボットアームが取り出して冷却プレスへ装入し、押さえ付けながら急冷して焼きを入れる。導入後の評価では、焼き割れの有無を目視で確認し、反りは定規を基板に当てて確認した。平坦度はダイヤルゲージで測定し、歪取りの時間も測定した。

加工機オイルレス焼入設備
ロボット搬出搬入用ロボット

事業の効果

  • 平坦度 0.1mm→0.04mm
  • 歪取り加工時間 6.6分→1分
  • 焼き割れ 2枚/月→0枚/月
  • 500枚の生産期間 6.8日→1日

新型連続炉と冷却定盤によるプレス焼き入れで焼き割れがなくなり、平坦度が0.04mmに向上した。歪取り加工時間が短縮され、焼き入れ油代やオイル加熱ヒーターの電力費も不要になったため、年間コストが大幅に削減された。焼き割れがなくなり歪取り時間も短くなったことで納期も短縮され、受注の可能性と売上の増加が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に焼き入れ設備を増設しチップソー基板を製造してきた経緯は読めるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    鉄丸棒切断用チップソーは大手2社が優位との市場状況と、陳腐化した設備が精度要求に対応できず受注が難しかった自社の弱みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    平坦度0.10mmから0.04mmへの要求、歪取り6.6分から1分、納期6.8日から1日など、課題と改善の数値目標が具体的に示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    目標値として平坦度0.04mm、歪取り1分、納期2日が設定され、導入後に平坦度0.04mm・歪取り1.05分・納期1日と達成した実績が数値で示されている。

  • 事業を進める体制2

    社内の人材や事務処理体制についての記述は見当たらず、設備の調整や運用に関わった作業内容のみがうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    精度の高い平坦度を求める顧客ニーズと、焼き割れのない高品質製品を安定生産できる点が選ばれる理由として具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    プレス焼き入れの採用理由と設備の設置、調整、接続までの工程は書かれているが、中長期の検証やスケジュールは詳しく述べられていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    特殊鋼基板のプレス焼き入れによる平坦度0.04mmは、同分野で高水準の高付加価値化を図るものとして具体的に読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    新たな雇用や需要創出への言及は乏しく、省人化や24時間稼働に触れるのみで、国が補助する積極的理由は読み取りにくい。

  • 費用対効果4

    年間コスト削減、歪取り時間短縮、納期短縮など費用対効果の分析結果が数値で示され、設備投資の効果が具体的に読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    ロボットアームや搬送装置を組み合わせた連続炉との連携はうかがえるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    三重県伊賀市の地域企業であることは示されるが、地域の雇用や経済成長への波及効果は記載されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

出荷数が増加したため、平成30年に焼入加熱炉を1台増設した。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。