ものづくり補助金平成25年度製造業滋賀県

吟醸酒の高品質化、安定生産を可能にする工程設計と試作開発

株式会社 福井弥平商店

この事例のポイント

  • 洗米工程では、糠の徹底した除去と限定吸水の精度向上、及び省力化が課題だった。
  • 市販吟醸酒の醸造から瓶詰・貯蔵までの工程に、全国新酒鑑評会出品の大吟醸酒の技術的要件を応用する形で設備を導入した。
  • 洗米工程では原料米の割れが減り吸水のムラが起きにくくなり、糠の除去も十分にできるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 福井弥平商店
所在地滋賀県 高島市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ
従業員数12人
資本金1,000万円
設立1920年

事業の背景

日本酒市場では高品質な吟醸酒の重要性が増している。同社は市販吟醸酒を製造しており、醸造から瓶詰・貯蔵までの工程を、全国新酒鑑評会に出品される大吟醸酒の技術的要件と比較した。市販吟醸酒では大吟醸のような手間をかけられないため、その技術要件を機械化・自動化して取り入れる必要があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度洗米工程では、糠の徹底した除去と限定吸水の精度向上、及び省力化が課題だった。
  • 品質・精度醸造工程では、長期にわたる低温での温度管理を徹底する必要があった。
  • 品質・精度上槽工程では、上槽後の生酒が過熟や劣化しないよう低温・定温管理を徹底する必要があった。
  • 品質・精度火入工程では、火入れ後の冷却により過熟や劣化を防止する必要があった。
  • 人手・技能製品仕上げ工程では、仕上がり品質の向上と劣化要因の削減、工程削減による省力化と破損リスクの低減が課題だった。

やったこと

市販吟醸酒の醸造から瓶詰・貯蔵までの工程に、全国新酒鑑評会出品の大吟醸酒の技術的要件を応用する形で設備を導入した。洗米工程ではジェット気泡洗米機コメクリーン、回転分離機、遠心分離脱水機を導入し、洗米後の排水のかけ流しを自動化して、吸水率を正確に均一化しざる返し工程を削減した。醸造工程ではサーマルタンク密閉3000型を導入し、もろみを5~10℃で自在に温度管理できるようにした。上槽工程では上槽後の日本酒を0~5℃で貯蔵できるようにし、火入工程では65℃で火入れ充填した瓶詰酒を速やかに冷蔵設備へ移して冷却するようにした。製品仕上げ工程では自動ラベラーを火入れ充填と同一ライン上に導入した。設備導入と並行して試作・設計へのフィードバックを行い、吟醸酒試作品を開発して検証した。

加工機ジェット気泡洗米機コメクリーン
加工機回転分離機
加工機遠心分離脱水機
加工機サーマルタンク密閉3000型
加工機自動ラベラー

事業の効果

洗米工程では原料米の割れが減り吸水のムラが起きにくくなり、糠の除去も十分にできるようになった。その結果、仕上がった日本酒は透明感があり垢抜けた印象になった。洗米後の排水の自動かけ流しや遠心分離脱水機により、洗米品質と生産性が向上し、ざる返し工程も削減できた。醸造、上槽、火入れの各工程で低温管理が可能になり、過熟や劣化を防げるようになった。自動ラベラーにより正確なラベル貼りができ、作業中の破損リスクも低減した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    醸造から出荷までの工程見直しと市販吟醸酒の品質向上を図る方向性が記載されているが、過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    全国新酒鑑評会の大吟醸酒の技術要件と市販吟醸酒を比較し課題を抽出したと書かれているが、市場動向や競争優位の数値は示されていない。

  • 課題の認識と解決5

    洗米・醸造・上槽・火入・仕上げの5工程で課題を抽出し、低温管理や自動ラベラー導入など各工程に対応策を示し、付加価値向上につなげている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上や競争力向上の方針は述べられているが、数値の目標値や賃上げ目標は示されていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    透明感があり垢抜けた印象の吟醸酒という製品の特徴は書かれているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは示されていない。

  • 事業化までの道筋4

    試作・設計へのフィードバックと試作品の検証を実施し、今後はリアルタイムの計測システム導入を図る方針まで書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    大吟醸の技術要件を市販吟醸酒に応用する点が特徴として書かれているが、普及度や認知度に関する記述はない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    日本酒市場で高品質吟醸酒の重要度が増している点は書かれているが、経済波及や雇用創出への言及はない。

  • 費用対効果3

    工程削減による省力化や製造余力の創出が述べられているが、投入額に対する付加価値増加などの数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    ジェット気泡洗米機などの機械化・自動化は書かれているが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの貢献は示されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    滋賀県高島市の酒造事業者であることは書かれているが、地域の特性を活かした雇用や成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業の成果として、市販吟醸酒の品質向上により付加価値向上と競争力向上を図ることができる。一方で、リアルタイムでのより高度な品質管理が必要になっており、そのための計測システムの導入を図っていきたい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。