ものづくり補助金平成25年度卸売業、小売業京都府

多店舗展開を見据えた「自動精米店舗」の開発・モデル店舗づくり

この事例のポイント

  • 仕事帰りの19時以降に購入したいという来店ニーズが近年強まっていたが、2人での経営では営業時間を延ばす負担が大きく対応が困難だった。
  • 大徳寺前に無人の自動精米店舗(大徳寺店)を開店し、精米機、包装機、タッチパネル式の操作機、精算機などからなる自動精米装置を導入した。
  • 大徳寺店は3年目を迎え運営が安定してきた。

事業者のプロフィール

所在地京都府 京都市左京区
業種飲食料品小売業
従業員数1人
設立2002年

事業の背景

創業当時から無農薬米・減農薬米を全国の農家から直接取り寄せ、1キロ(約6合)単位で13通りの精米内容を選べる米穀小売店を下鴨で営んでいた。来店は早い時間帯か遅い時間帯に大別され、営業時間11時から19時の後も仕事帰りの需要が近年強まっていた。食生活の変化により米の消費量は全国的に年々減少し、月に2から3キロを消費する家庭が多い中で、少量購入の客はスーパーやネットへ流れていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑仕事帰りの19時以降に購入したいという来店ニーズが近年強まっていたが、2人での経営では営業時間を延ばす負担が大きく対応が困難だった。
  • 集客・繁閑1kgからの少量購入に客が心理的な負担を感じ、少量購入の客はスーパーやネット購入に流れていた。
  • 販路・情報発信安全でおいしい米を求める需要は十分に満たされておらず、少量のネット購入は送料がかかり消費者の抵抗が大きかった。
  • 新製品・新技術精米機、包装機、計量器などの各装置は単体では存在するが、全てを組み合わせて自動化・無人化した装置はなく、一からの開発が必要だった。

やったこと

大徳寺前に無人の自動精米店舗(大徳寺店)を開店し、精米機、包装機、タッチパネル式の操作機、精算機などからなる自動精米装置を導入した。営業は8時から23時までの無休とし、1キロ単位で銘柄・精米方法・量を選ぶだけで5分以内に提供できるようにした。各メーカーの装置は社外秘のソフトの仕組が明らかにされず技術的な実現性も疑われていたが、粘り強い協議の末に各社の協力を得てシステム化を実現した。オープン後はシーリング口に米が挟まって封ができない不具合や精算機がレシートや紙幣を通せない不具合が続いたが、その都度駆けつけて解消し、現在はトラブルがなくなった。

加工機自動精米装置
加工機精米機
加工機包装機
その他タッチパネル式操作機
その他精算機

新しい製品・サービス:無人で運営できる自動精米店舗(精米機・包装機・操作機・精算機を組み合わせた自動精米装置)

事業の効果

大徳寺店は3年目を迎え運営が安定してきた。従来は下鴨周辺の客が大半だったが、大徳寺店により鴨川以西など広いエリアから新たな顧客層を開拓できている。利便性の面でも評価され、味への評価と合わせて利用されている。本店では遠方からの贈答用や内祝い用の購入も増え、売上にも良い影響が出ている。また、無人の自動精米店は珍しいことから個人のホームページやFacebookなどで紹介されるケースもあり、「はちぼく屋」の認知度向上につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のお米屋の経営を発展させ、無人の自動精米店舗へ広げる構想だと読み取れる。過去の取組との関係は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    無農薬・減農薬米や13通りの精米、早朝から深夜までの営業など、自社の強みと来店傾向の変化を踏まえた対応が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    19時以降の来店ニーズや少量購入の心理的負担という課題を挙げ、無人店舗で対応する計画が具体的に書かれている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    大徳寺店の年間売上3000万円程度、店舗を30店舗に拡大する目標が数字で示されている。付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    2人で経営していることや、メーカーと協議して装置を統合した経緯は書かれているが、補助事業の遂行体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    無農薬・減農薬の最上級米を扱う点や、少量購入に負担を感じる顧客層を明確に示し、ネット購入との違いも説明している。

  • 事業化までの道筋3

    オープン後のトラブル対応や今後の告知・マーケティング活動は書かれているが、中長期のスケジュールは具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達2

    資金の都合で実行を決断できなかったことにふれているだけで、財務状況や金融機関からの資金調達については書かれていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    全自動の無人精米店は珍しく、一から開発した点や無農薬・減農薬米の扱いなど、同分野で高付加価値を図る取組が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の顧客の利便性向上や新たな顧客層の開拓にふれているが、川上・川下への波及や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す投入額や付加価値の増加額は書かれておらず、売上目標の数字のみで評価は難しい。

  • イノベーションへの貢献4

    精米機・包装機・精算機を組み合わせた無人化システムを新たに開発し、メーカー各社と協議して実現した点が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    京都市左京区の下鴨・大徳寺という地域の顧客に向けた店舗展開が書かれているが、地域経済を牽引する効果の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

大徳寺店の売上を数年で年間3000万円程度にすることを目指し、チラシやネット(blogやFacebook等)による告知、玄米の良さや炊き方を伝える冊子やHPなどのマーケティング活動を重視している。大徳寺店のノウハウをもとに自動精米店を30店舗まで拡大することも検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。