ものづくり補助金平成25年度卸売業、小売業大阪府

「鮮度を見える化」する、コーヒー新市場の創造と、新販売システムの導入

田代珈琲株式会社

この事例のポイント

  • 当日注文分をすべて出荷することができず、焙煎から時間が経過したコーヒー豆が社内に存在していた。
  • 平成26年11月に受発注システムを導入し、社内の在庫を適正に管理できる体制を整えた。
  • 鮮度劣化連動販売により、価格が下がった製品を購入する客が増えており、インターネット上の販売では売り切れが続いている。

事業者のプロフィール

事業者名田代珈琲株式会社
所在地大阪府 東大阪市
業種飲食料品小売業
従業員数16人
資本金1,000万円
設立1953年

事業の背景

昭和8年に創業し、コーヒー牛乳のシロップの生産から始めた後、東大阪の本社でコーヒー豆の焙煎を手がけるようになった。平成15年に焙煎したてであることをうたった「焙煎そして発送セット」を始めたが、当日注文分をすべて出荷することはできなかった。焙煎から時間が経過したコーヒー豆も社内に残っており、鮮度の良さを打ち出す一方で課題を抱えていた。店頭では製品名や焙煎日を明記しているが、焙煎日の提示は義務化されておらず、自社で差別化を図っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力当日注文分をすべて出荷することができず、焙煎から時間が経過したコーヒー豆が社内に存在していた。
  • 生産能力社内の在庫管理にばらつきがあり、在庫を適正に管理できていなかった。
  • 販路・情報発信鮮度の良さを商品価値として打ち出す仕組みがなく、鮮度を重視する市場を作れていなかった。

やったこと

平成26年11月に受発注システムを導入し、社内の在庫を適正に管理できる体制を整えた。約1年の準備期間を置いた後、平成28年に焙煎から約7日後のコーヒー豆から価格を下げ、約1ヵ月で0円になる「鮮度劣化連動販売」をインターネットを通じて始めた。現在販売している「ブレンドエクセレンス」を例にとると、焙煎後21~24日で価格が100gあたり23.0%減の361円となる。鮮度劣化連動販売の仕組みを社内の在庫管理と連動させることで、鮮度に応じた価格設定を実現した。

ソフト受発注システム

事業の効果

鮮度劣化連動販売により、価格が下がった製品を購入する客が増えており、インターネット上の販売では売り切れが続いている。価格が下がった商品を購入した後に通常商品を購入する合わせ買いも起きている。今後は鮮度劣化連動販売をきっかけに顧客を開拓し、客単価を上げていく目標を立てている。鮮度を重視する動きへの関心も高まっているという手応えを得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の焙煎事業と、焙煎したてをうたう「焙煎そして発送セット」からの流れで鮮度重視の戦略につながっている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    スペシャルティコーヒーの差別化や鮮度を打ち出す点は読み取れるが、市場動向との比較や資源の強みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    当日注文分すべてを出荷できない課題を認識し、在庫管理の整備と鮮度劣化連動販売で価格を下げ販売する解決策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    客単価向上の目標は示されているが、数値目標は書かれていない。売り切れが続く状況からの見通しはうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    受発注システム導入や約1年の準備期間など取組の進め方は読めるが、担当する人材や事務体制の記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    焙煎日の明記や鮮度価値に連動した価格設定など、製品の価値と選ばれる理由が具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋4

    約2年の準備、3年継続してマーケットを育てる方針など、時間軸と段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    焙煎から1ヵ月超の製品は一般的に流通しない中で、鮮度を価値とする販売を試みている点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    鮮度を重視するコーヒー市場の創出や協会設立の構想はうかがえるが、国が補助する理由を示す記述は薄い。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    在庫管理のシステム化や受発注システムの導入など、業務のデジタル化は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献までは書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    鮮度を重視する市場の形成や海外販売への展開がうかがえるが、日本経済の構造転換との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    東大阪の本社で焙煎する地域拠点の記述はあるが、地域の特性を活かした雇用や成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後3年間で鮮度を重視するマーケットを作ることを目指し、自家焙煎の業者や鮮度を商材にする人を集めてコーヒー鮮度協会を立ち上げる方針である。

事業者の声

「少しずつ鮮度に関心をもってもらえるようになった」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。