ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

総義歯用軽量熱重合一体成型シート「アルティメットスプリント」の開発

株式会社ULTI-Medical

この事例のポイント

  • 義歯床を金属で作ると痛みや金属アレルギーが生じ、樹脂に置き換えると強度を保つため重く分厚くなり、口腔内の違和感が避けられなかった。
  • 強度と装着感を両立する総義歯のため、義歯床の材料とプロセスを開発した。
  • 「アルティメットスプリント」を加えたことで、アクリルや金属を使った従来の義歯床と比べた技術優位性がさらに高まった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ULTI-Medical
所在地大阪府 大阪市北区
業種プラスチック製品製造業
技術分野複合・新機能材料,立体造形
従業員数5人
資本金900万円
設立2010年

事業の背景

半世紀にわたる樹脂成形技術を基に歯科医療分野へ参入し、2010年に「アルティメット」を設立して義歯床向けの樹脂材料を販売していた。義歯は保険適用の樹脂製入れ歯が多く、高齢者の80%が入れ歯を必要とし、その90%が保険適用の樹脂製入れ歯を購入しているという。日本の高齢者人口は約3,500万人に達しようとしており、市場は拡大していた。一方、熱可塑性樹脂で義歯床を使い始めてからの歴史は約25年と浅く、アクリルなどが今も広く使われ続けていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度義歯床を金属で作ると痛みや金属アレルギーが生じ、樹脂に置き換えると強度を保つため重く分厚くなり、口腔内の違和感が避けられなかった。
  • 生産能力薄く強度のある義歯床を作るには素材と加工方法の両方を開発する必要があった。
  • 生産能力最初のショットで成功させるため樹脂のスプールを何本も用意しており、生産性が下がり義歯床の完成度も落ちていた。
  • 新製品・新技術歯科分野は未経験の新規参入で、歯科医や技工士に売り込んでも門前払いされることが多く、参入障壁が予想以上に高かった。

やったこと

強度と装着感を両立する総義歯のため、義歯床の材料とプロセスを開発した。既存の「アルティメット」に加え、真空成形するための丸形シート型の新素材「アルティメットスプリント」を開発した。「アルティメットスプリント」を真空成形で薄く加工し、「アルティメット」で熱重合する技術を確立した。そのため成形機、素材保管用の真空包装機、除湿乾燥機、計量器などへ設備投資を行った。この結果、1mmレベルの加工も可能になり、1本のスプールで完成度の高いショットを実現できるようになった。

加工機成形機
その他真空包装機
その他除湿乾燥機
検査測定計量器

新しい製品・サービス:「アルティメットスプリント」

事業の効果

「アルティメットスプリント」を加えたことで、アクリルや金属を使った従来の義歯床と比べた技術優位性がさらに高まった。「アルティメット」は耐熱性や耐久性に優れ、加工性も良いため、薄型で強度のある義歯床を一度の成形で作れるようになった。歯科医からの評価が高まり、技工士の支持者も徐々に増えてきた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    半世紀にわたる樹脂成形技術をベースに歯科分野へ参入し、ものづくりへのこだわりが事業の出発点だったと説明されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    従来の義歯床より技術優位性を高めたと述べ、保険適用市場を高品質な新材料で攻める方針が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    重く分厚くなる課題や、スプールを何本も用意する生産性低下の課題を認識し、材料と成形プロセスで解決している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    平成29年にシェア10%、最終的に30%獲得という目標値はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員5名、資本金9,000千円と規模は示されているが、補助事業を遂行する体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐熱性・耐久性・変色しにくさ、薄く作れる点、歯科医や技工士からの評価など、選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    シェア目標の時期や、技工士への普及活動を続けるという方針は書かれているが、詳細なスケジュールは読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    熱可塑性樹脂の義歯床は使われ始めて約25年と新しく、保険外の高品質な高付加価値分野を狙うと述べられている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    高齢者の80%が入れ歯を必要とし、3,500万人に達するという社会的需要の大きさが示されているが、波及効果の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や投資額に対する付加価値増加などの費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    流体解析技術を裏打ちにした成形プロセスの開発は書かれているが、サプライチェーン全体への貢献は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    高齢社会で義歯ニーズが量・質ともに高まる分野への進出として位置付けられ、構造転換への関連がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    大阪市生野区で開発を始めたとあるのみで、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成29年にシェア10%、最終的には30%の獲得を目指している。保険適用の市場を、保険外だが高品質な新材料で攻め取る考えだ。

事業者の声

「患者のニーズすべてに応えることができる。どんな要求も断らない入れ歯の実現を目指したい」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。