ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

難加工ナイロン樹脂を使用した自動車向け高精度軸受用保持器の製造環境の確立

和田精工株式会社

成果金型のメンテナンス間隔 0.5か月→2か月

この事例のポイント

  • 従来の冷却システムはクーリングタワー水を成形機や金型内部の冷却回路に循環させて戻す仕組みで、クーリングタワー水が劣化しやすく、冷却水通路にさびや水・湯垢、スライムが発生していた。
  • 冷却水の循環系統を一次冷却水(クーリングタワー水)と二次冷却水(成形機・金型側)に分離する密閉式冷却水循環システムを新規導入した。
  • 金型のメンテナンス間隔 0.5か月→2か月。冷却効率の低下がなくなり歩留まりが改善し、金型寿命も向上した。

事業者のプロフィール

事業者名和田精工株式会社
所在地大阪府 堺市
業種プラスチック製品製造業
技術分野精密加工,製造環境
従業員数70人
資本金1,000万円
設立1934年

事業の背景

創業は昭和9年で、自転車部品製造から始まり、昭和15年に主要事業の玉軸受製造へ転換した。昭和46年に金属から樹脂へ置き換えた樹脂プーリー向け軸受を開発して樹脂成形に進出し、写真現像機向け樹脂部品での高評価を経て樹脂事業が売上高の70%を占める柱に成長した。競争が激しい軸受だけでは厳しいとの判断から、高付加価値品重視の商品戦略を進めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の冷却システムはクーリングタワー水を成形機や金型内部の冷却回路に循環させて戻す仕組みで、クーリングタワー水が劣化しやすく、冷却水通路にさびや水・湯垢、スライムが発生していた。
  • 生産能力冷却水通路の汚れで流路が狭まることが多く、頻繁な点検と時間をかけたメンテナンスが必要で、保守点検時間の短縮、金型の長寿命化、タクトタイム短縮が課題だった。

やったこと

冷却水の循環系統を一次冷却水(クーリングタワー水)と二次冷却水(成形機・金型側)に分離する密閉式冷却水循環システムを新規導入した。クーリングタワーと成形機の間には熱交換器などを内蔵した二次冷却ユニットを設置し、温度の高くなった二次冷却水を一次冷却水で間接的に冷却する。二次冷却ユニットは二次冷却水系統に純水補給や薬品注入を行って水質を保ち、脱酸素処理により冷却水中の溶存酸素を低減する。両系統の水は混ざらない構成とした。加えて、自前設計の梱包作業自動化設備を導入した。

その他密閉式冷却水循環システム
その他二次冷却ユニット
その他梱包作業自動化設備

新しい製品・サービス:ボールベアリングとプラスチック成形品の両事業部門がコラボレーションした新製品(ロボットや医療機器関連の新規事業向け)

事業の効果

  • 金型のメンテナンス間隔 0.5か月→2か月

冷却効率の低下がなくなり歩留まりが改善し、金型寿命も向上した。製品によってはタクトタイムを大幅に短縮できた。冷却水通路のさびや水・湯垢、スライムの発生もなくなり、成形機の月1回の大がかりなメンテナンスが不要になった。梱包作業の自動化により無駄やロスを省いて生産性を高め、新規受注案件も増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    ベアリングから樹脂へ転換した経緯や、樹脂事業が売上高の70%を占める点は読み取れるが、補助事業との位置付けの説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    耐熱・耐寒に優れたナイロン46など高機能樹脂で高付加価値品を生産し、競合大手に先駆けた点が書かれており、強みは具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    金型のさびや水・湯垢による課題を挙げ、金型メンテナンスを2週間から2ヵ月に一度へ延ばすなど、課題と効果が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    歩留まり改善や金型寿命の向上、2週間に一度の金型メンテナンスが2ヵ月に一度でよくなった点など、効果が具体的に書かれている。

  • 事業を進める体制3

    社員の設計能力向上や若手中心の事業部間交流が書かれているが、補助事業の遂行体制を示す記述は限られる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療機器や介護ロボットの樹脂部分の受注、顧客の製品設計段階からの参画など、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の戦略としてボールベアリングとの協業新製品開発に着手とあるが、スケジュールや課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    高機能樹脂製品の高付加価値化・高価格化を重視し、1999年以降の樹脂製品で同分野の中で高水準の取組みが読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    ロボットなどの国を挙げて取り組む新規産業への関与がうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果3

    金型寿命の向上やタクトタイムの大幅短縮など効果は書かれているが、補助金投入額との対比は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自前設計の梱包自動化設備や社外展開の視野がうかがえるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は明確ではない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    ロボットや医療機器など成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    大阪府堺市の企業である点はうかがえるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済への言及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ボールベアリングとプラスチック成形品の両事業部門の連携による新製品開発に着手し、若手中心の事業部門間交流や営業のクロスセルも進めている。自動化設備の社外展開も視野に入れている。

事業者の声

購買の引き合いだけでなく、顧客の製品設計段階から参画し、課題解決に取り組んでいく

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。