ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

ICTを利用した水耕栽培生産性向上の環境制御システムの試作開発

協和株式会社

成果トマトの収穫期間 1ヵ月→9ヵ月

この事例のポイント

  • 大阪から全国の農場に社員を派遣して現場を確認するには時間と労力がかかり、トラブル発生時に迅速な対応が難しかった。
  • ハイポニカに対応する環境制御システムとして、ICTを活用した「ハーベスト」を開発した。
  • トマトの収穫期間 1ヵ月→9ヵ月。環境制御システムにより、トマトの収穫期間が1ヵ月から9ヵ月に伸び、収量は通常の3倍以上になった。

事業者のプロフィール

事業者名協和株式会社
所在地大阪府 高槻市
業種プラスチック製品製造業
技術分野情報処理
従業員数129人
資本金9,600万円
設立1953年

事業の背景

協和は昭和28年に協和化学工業として設立されたプラスチック成形加工の会社で、現在はオフィス用コピー機の外側部品が生産量の90%を占め、カメラや車のエンジン部品も加工している。昭和45年に農業分野へ参入し、水耕栽培プラント「ハイポニカ」を開発・販売してきたが、ハイポニカの事業拠点は大阪のみだった。プラスチック事業は海外企業との競争が厳しく、グループの売上は国内より中国の方が多くなっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能大阪から全国の農場に社員を派遣して現場を確認するには時間と労力がかかり、トラブル発生時に迅速な対応が難しかった。

やったこと

ハイポニカに対応する環境制御システムとして、ICTを活用した「ハーベスト」を開発した。このシステムは温度、湿度、二酸化炭素、日照量、液体窒素温度、風向・風速などの農場内のデータを自動で記録し、蓄積データを分析してビニールハウスの天窓や遮光カーテンを自動制御する。遠方の社員もタブレットなどで農場の状況を確認し、生産者に最適な栽培方法を指導できるようにした。システムを使ったイチゴの無人管理栽培の実験では、導入したイチゴが順調に生育し、導入しなかったものは葉が黄色く変色した。トマトの栽培実験では、通常は気温が高く断念していた8月中も栽培を続けられた。

その他ICT活用の環境制御システム「ハーベスト」

新しい製品・サービス:ICTを活用した環境制御システム「ハーベスト」

事業の効果

  • トマトの収穫期間 1ヵ月→9ヵ月
  • トマトの収量 1倍→3倍
  • 糖度の平均値はシステムを導入しないトマトより13%高い5.2度になった
  • 国内ハイポニカ事業の売上 3億円→10億円

環境制御システムにより、トマトの収穫期間が1ヵ月から9ヵ月に伸び、収量は通常の3倍以上になった。システムを導入したトマトは糖度も高くなり、イチゴの無人管理栽培や夏場のトマト栽培も可能になった。社員が遠方から農場の状況を確認して生産者に助言できるため、現場への移動の負担が減り、きめ細かな対応がしやすくなる。ハーベストは平成28年7月に販売を始め、すでに1件の受注を得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和45年に農業分野へ参入し、水耕栽培プラント「ハイポニカ」を46年間改良してきた経緯が書かれ、その延長に今回のICT化が位置づけられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    プラスチック事業は海外企業との競争が激しいと書かれる一方、競争優位の根拠は2,000件以上の導入実績に限られ、詳細な分析は乏しい。

  • 課題の認識と解決5

    現地訪問に時間がかかり対応が遅れるという課題を示し、糖度13%向上、トマト3倍以上の収穫、2018年度に10億円目標など数値つきの計画が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    売上を前年比1.5倍、平成30年度に約10億円とする数値目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    社員を1年で倍の30名に増やす計画と、現地指導を担う体制が書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    糖度平均13%高い5.2度、夏場の栽培が可能になったなど効果が具体的で、観光農園や農業参入企業という販売先も示されている。

  • 事業化までの道筋3

    東海地区への拠点設置や海外3拠点での展開など段階的な計画はあるが、遂行スケジュールは大まかである。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    ハイポニカの普及度や同分野での高価格化の状況は書かれておらず、新市場性はわずかにうかがえる程度である。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    食糧問題の解決や日本の農業の効率化を支援するという社会的意義は示されているが、波及効果や雇用創出の数値は少ない。

  • 費用対効果2

    投資額や補助金に対する付加価値増加の数値は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献4

    ICTによる環境データの自動記録、データ分析、タブレットでの遠隔確認と栽培指導など、デジタル技術の活用が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    農業分野の効率化への貢献は示されているが、日本経済の構造転換にどう資するかの記述は限定的である。

  • 地域経済への波及2

    大阪から東海地区へ拠点を広げる計画はあるが、地域の特性を活かした付加価値創出や地域経済への波及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

大阪だけにあるハイポニカの事業拠点を東海地区にも設け、販路拡大と顧客対応の強化を図る。人員を1年間で倍の30名に増やす計画である。海外では中国とベトナムの3拠点からハイポニカを広め、将来は海外売上を国内と同程度にする。国内では農家以外の観光農園や農業分野に参入する企業にも販売先を広げる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。