ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

煮くずれしにくい真空加熱釜の開発と最適な利用方法の研究

株式会社西田

成果納豆の製造時間 4日→1日

この事例のポイント

  • 従来の真空加熱釜は釜の中心から激しく沸騰するため、豆が蜜の中で踊って煮くずれしてしまう。
  • 下部と上部に独立した二重ジャケットを取り付けた缶体を試作し、上側のジャケットだけに蒸気を入れると側面からのみ加熱して側面から中心に向かう対流を発生させ、下側のジャケットに蒸気を入…
  • 納豆の製造時間 4日→1日。新型真空加熱釜により、甘夏のピールの密漬けは従来の方法の半分の時間で出来上がり、納豆も4~5日かかると思われていた工程…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社西田
所在地福岡県 久留米市
業種生産用機械器具製造業
技術分野機械制御,情報処理,測定計測
従業員数10人
資本金1,000万円
設立1970年

事業の背景

昭和20年の創業後は菓子を作る機械を専門に作り、その後は加熱攪拌機や充填機を製造し、様々な食品メーカーに販売している。食生活や嗜好の変化や職人不足に対応するため食品製造の機械化が進んでいるが、長年の経験に基づく職人の技には及ばないものも多い。第1次生産者の食品加工市場への参入が増え、第1次生産者の引き合い案件数は昨年度が2010年度と比べて2倍以上に増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の真空加熱釜は釜の中心から激しく沸騰するため、豆が蜜の中で踊って煮くずれしてしまう。
  • 人手・技能甘納豆は熟練の技と手間が必要で4〜5日かかる工程があり、職人の技を機械で再現することが難しい。
  • 生産能力釜の側面だけを加熱する方式にすると熱が伝わる面積が小さくなり、時間あたりの加熱効率が下がる。

やったこと

下部と上部に独立した二重ジャケットを取り付けた缶体を試作し、上側のジャケットだけに蒸気を入れると側面からのみ加熱して側面から中心に向かう対流を発生させ、下側のジャケットに蒸気を入れると従来どおりの加熱ができるようにした。釜内の気圧と温度を元に加熱を制御するプログラムを作り、糖度計、温度計、気圧計、重量計を装備して釜の内部の情報を可視化した。蒸気弁、真空ポンプ、循環ポンプなどの入力切り替えや、温度と糖度を元にした自動制御運転を可能にし、タッチパネルで操作できるようにした。タッチパネルには真空釜と制御される機器の模式図を表示して操作しやすくした。この新型真空加熱釜で甘夏のピールの密漬けと納豆を試作した。

加工機新型真空加熱釜
検査測定糖度計・温度計・気圧計・重量計
ソフト釜の加熱・真空制御プログラム
その他タッチパネル

新しい製品・サービス:新型真空加熱釜

事業の効果

  • 納豆の製造時間 4日→1日

新型真空加熱釜により、甘夏のピールの密漬けは従来の方法の半分の時間で出来上がり、納豆も4~5日かかると思われていた工程が一晩で完成した。側面からの加熱により煮くずれしにくくなり、加熱に必要なエネルギーも少なくなるため、加工食品のランニングコストが安く製品の歩留まりも高くなると期待されている。これにより市場の拡大が見込まれ、タイの研究所からも試作の依頼を受けるなど新たな取引につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の食品機械製造の延長で真空加熱釜を開発したとあるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    甘納豆の職人技再現や海外からの試作依頼に触れるが、市場や競争上の強み・弱みの分析は記載がない。

  • 課題の認識と解決3

    職人不足や煮くずれという課題を挙げ、新型釜で解決を図る流れは読み取れるが、事業計画の数値や売上目標はない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の増加や賃上げの目標値は示されていない。加熱時間が半分、納豆が一晩で出来たという程度の記述のみ。

  • 事業を進める体制3

    従業員10人の企業で試作開発を行ったとあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    煮くずれしにくく加熱エネルギーも少ない点、甘夏ピールや豚骨スープなど顧客用途が具体的に書かれ、選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    AIによる学習機能の進化や食品ごとの加工データ蓄積という今後の方針はあるが、スケジュールや検証方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    真空加熱釜で甘納豆を制作し、従来の半分の時間や一晩で納豆を作るなど、同分野で高水準の高付加価値化が図られている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    職人技の継承という社会的役割や、第6次産業化の参入増加に触れるが、雇用創出や波及効果の数字はない。

  • 費用対効果4

    加熱時間が従来の半分、ランニングコストが安く歩留まりが高くなると期待されるとあり、費用対効果の方向性が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    側面加熱による対流制御やAIによる学習制御など先端技術の活用は書かれているが、サプライチェーン全体への貢献は具体的でない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    食品加工市場の拡大や農産物の付加価値向上に触れるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    甘夏などの地域産品を使う例や農業従事者の所得向上に触れるが、地域経済への効果の数字はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はAI技術を活用して学習できるようにプログラムを進化させ、希望する食品加工の情報を入力するだけで熟練した職人が作ったような最適な加工ができる釜を目指す。様々な素材の加工事例を増やし、素材ごとに加工を最適化するためのデータを蓄積していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。