ものづくり補助金平成26年度製造業北海道

医療用X線被曝線量測定器専用プローブの量産化技術開発

太宝電子株式会社

成果プローブ1本あたりの製作時間 120分→30分

この事例のポイント

  • 医療用X線被曝線量計のプラスチック製プローブは、熟練の技術者でも1本の製作に数時間かかり、量産が難しかった。
  • 均質なプローブを製作するための専用製作装置の開発を目指し、品質の向上と製作時間の低減を目的として「医療用X線被曝線量測定器専用プローブの量産化技術開発」を実施した。
  • プローブ1本あたりの製作時間 120分→30分。プローブ専用装置で一部の製造工程を自動化したことで、これまで全工程が手作業だったプローブ製作が大幅に効率化した。

事業者のプロフィール

事業者名太宝電子株式会社
所在地北海道 札幌市
業種電気機械器具製造業
技術分野精密加工,測定計測
従業員数22人
資本金6,000万円
設立1957年

事業の背景

太宝電子は半導体・電子部品の総合商社として60年以上の歴史を持つ。IVR治療はX線透視下で長時間行うため患者の被曝線量が増え、皮膚障害や白内障などの重大な障害が問題になっている。リアルタイムでピンポイント計測できる線量計がなく、被曝線量管理が困難だった。北海道大学、アクロバイオ株式会社と共同開発した線量計「MIDSOF」が販売開始され、太宝電子はそのプローブを製造していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力医療用X線被曝線量計のプラスチック製プローブは、熟練の技術者でも1本の製作に数時間かかり、量産が難しかった。
  • 人手・技能製作工程がすべて手作業で、作業者の熟練度によって品質にムラが出ていた。

やったこと

均質なプローブを製作するための専用製作装置の開発を目指し、品質の向上と製作時間の低減を目的として「医療用X線被曝線量測定器専用プローブの量産化技術開発」を実施した。初回に50本のプローブを試作したところ良品率は約20%だった。不良品を分解解析した結果、専用装置で自動化した遮光キャップ・リングの切断工程、レジン注入工程、レジン硬化工程では不良がなかったことを確認した。自動化できていない工程は手作業で行っており、プローブ先端は精密なセンサー材料のため熟練技術が必要である。不良品は修理して良品にできている。

加工機プローブ専用製作装置

新しい製品・サービス:医療用X線被曝線量測定器専用プローブ

事業の効果

  • プローブ1本あたりの製作時間 120分→30分

プローブ専用装置で一部の製造工程を自動化したことで、これまで全工程が手作業だったプローブ製作が大幅に効率化した。1本あたりの製作時間は2時間以上から30分程度に短縮された。製造原価にすると50%削減を達成した。北海道大学の石川正純教授に試作プローブの評価と製造工法・装置開発の助言を受け、効率よく事業を推進できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に線量計MIDSOFを共同開発し販売開始したとの記載があり、既存事業との関連は読み取れるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    医療被曝の課題と線量計の需要はうかがえるが、市場動向や競合に対する自社の強み・弱みの分析は記載されていない。

  • 課題の認識と解決4

    プローブ製作に2時間以上を要した課題を示し、30分程度に短縮して製造原価50%削減という数字で解決の成果を示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    製造原価50%削減という数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されていない。

  • 事業を進める体制3

    共同開発先の北海道大学教授に評価や助言を委託し推進体制の一端が示されているが、社内の人材配置や事務処理体制は具体的でない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    X線透視像に写らないプラスチック製線量計という製品特徴は読み取れるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    全自動化の検討を終了後も進めると書かれ、未自動化工程の課題は示されているが、スケジュールや解決方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    医療用X線線量計は専門分野で、同分野で高精度を目指す点はうかがえるが、普及度や高価格化の数字は示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    IVR増加に伴う皮膚障害や白内障という社会課題の解決に貢献する点は読み取れるが、経済波及や雇用創出の記載はない。

  • 費用対効果4

    自動化で1本2時間以上が30分程度に短縮し、製造原価50%削減という具体的な費用対効果の数字が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    プラスチック製プローブの量産化は医療機器のイノベーションとしてうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は記載されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    医療、ロボット、あらゆる産業への進化を目指すとの経営理念は書かれているが、構造転換への具体的な寄与は示されていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

手作業の工程が残る限り作業者の熟練度による品質ムラが出るため、本事業終了後も全自動化の検討を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。