ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業青森県

青森県産熟成肉(ドライエイジング)商品の開発と、販売在庫管理体制の確立

十和田ミート株式会社

この事例のポイント

  • 原材料価格の高騰が店頭価格に反映されず、適正利益の確保が厳しくなっていた。
  • ドライエイジングによる熟成肉を開発するため、乾燥熟成用の冷蔵庫内で強い風を送り肉の余分な水分を飛ばす仕組みに必要な、恒温恒湿冷蔵庫と送風用設備を導入した。
  • 熟成後は遊離アミノ酸がいずれも増加し、特に甘味系アミノ酸とグルタミン酸(旨味成分)の増加が顕著だった。

事業者のプロフィール

事業者名十和田ミート株式会社
所在地青森県 十和田市
業種飲食料品卸売業
技術分野製造環境
従業員数30人
資本金1,750万円
設立1998年

事業の背景

弊社は家畜の肥育・集荷から食肉加工・流通まで一貫して行い、契約する「顔の見える生産者」から原料を調達している。顧客ごとのスペックに合わせた加工や、短角牛・長谷川自然熟成豚などの数量限定畜産物の取り扱いで他社との差別化に努めてきた。一方、一世帯当たりの肉類消費はこの10年ほぼ一定だが、原材料価格の高騰が店頭価格に反映されず、適正利益の確保が厳しい状況が続いていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算原材料価格の高騰が店頭価格に反映されず、適正利益の確保が厳しくなっていた。
  • コスト・採算枝肉単位の仕入れで余剰部分が現状10~20%程度発生していた。
  • 品質・精度仕入から整形・計量・梱包・販売までの管理が人手中心で、ヒューマンエラーが起きやすく在庫管理の精度が十分でなかった。
  • 新製品・新技術大手食肉メーカーとの競争の中で、付加価値の高い新商品を開発する必要があった。

やったこと

ドライエイジングによる熟成肉を開発するため、乾燥熟成用の冷蔵庫内で強い風を送り肉の余分な水分を飛ばす仕組みに必要な、恒温恒湿冷蔵庫と送風用設備を導入した。熟成肉の試作は北里大学名誉教授の伊藤良氏の指導を受けて進め、青森県産熟成牛肉の試作開発も実施した。仕入から整形・計量・梱包・販売までの各工程を仕組み化し、データベースで仕入・加工・在庫・出荷・売上・原価の情報を一元管理する販売在庫管理体制を社内に確立した。伝票は従来の手書きからPCとプリンターによる発行に切り替えた。

その他恒温恒湿冷蔵庫
その他送風用設備
ソフト販売在庫管理システム(データベース)

新しい製品・サービス:青森県産熟成肉(ドライエイジング)商品

事業の効果

熟成後は遊離アミノ酸がいずれも増加し、特に甘味系アミノ酸とグルタミン酸(旨味成分)の増加が顕著だった。熟成期の水分活性は0.91~0.93Awで、庫内環境が熟成に適していることが確認された。官能検査では約80%が良好と評価された。販売在庫管理体制の確立により、トレーサビリティを迅速かつ正確に行えるようになり、伝票のPC化で個体識別情報の信頼性向上も期待できる。データベースによる一元管理で作業の省力化が進み、生産性が向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    顧客ごとのスペック対応や自社肥育・一貫体制など従来の強みは読み取れるが、経営戦略上の位置付けを示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    原材料高騰で大手と競争が激しいこと、馬・短角牛など数量限定品での差別化など、外部環境と自社の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    枝肉仕入れで余剰部分が10~20%発生という数値を課題として示し、熟成肉の商品化と在庫管理システム化で解決する計画が明確。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化の目標値や賃上げ目標は示されておらず、利益確保の定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    北里大学名誉教授の指導を受けた体制は読み取れるが、補助事業の実施体制や人材配置の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    熟成肉の旨味向上や健康志向・赤身志向の需要、官能検査で約80%が良好との結果が示され、ターゲットと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    試作、成分分析、在庫管理のシステム化など工程は示されているが、スケジュールや中長期の課題検証は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    熟成肉は大消費地でブームとなっているとし、同分野で旨味を高めた高付加価値化を図る点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    青森県産食肉の地域性は示されるが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    水分活性の数値や在庫の余剰削減の方向性はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    データベースによる一元管理や個体識別表記によるトレーサビリティ向上が書かれているが、サプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    青森県産食材を活かした熟成肉という地域性は読み取れるが、雇用や地域経済成長への効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

熟成肉は健康志向の高まりや脂肪の少ない赤身肉を好む志向から需要が顕在化しており、大消費地では付加価値商品としてブームになっている。新たな顧客の開拓で需要を生み出し、売上規模の拡大を図る。主に外食店等との直接取引になるため、高い利益が期待できる。

業種と困りごとが近い成果事例

東京都卸売業、小売業平成25年度

スライド式ホルダーを採用した床排水トラップの開発

製品形状を円形から正方形に変更し、一軸方向へのスライドで着脱できるスライド構造の床排水トラップ「スライドロック」を開発した。

効果:洗濯機の排水ホース内に残ってしまう排水量を大幅に少なくすることができた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。