ものづくり補助金平成26年度製造業宮城県

光照射乾燥法を活用する呈味成分を増大させた牡蠣乾燥品の商品化

五光食品株式会社

成果常温で60日保存という当初の目標をクリアした

この事例のポイント

  • 生牡蠣販売はシーズンが限定され、ノロウイルス発生時には即座に売上に影響する。
  • 八戸工業大学の青木秀敏教授との共同開発により、天日干しと同じ効果を安定した基準で得られる紫外線A波(UV-A)照射による新製法を導入した。
  • 常温で60日保存という当初の目標をクリアした。UV-A照射による新製法で、無添加のまま常温保存できる加工牡蠣製品が完成した。

事業者のプロフィール

事業者名五光食品株式会社
所在地宮城県 塩竈市
業種食料品製造業
技術分野バイオ
従業員数16人
資本金900万円
設立2008年

事業の背景

宮城県は牡蠣の生産量が広島県に次ぐ全国2位で、県産牡蠣の多くは生食用のムキ身として流通している。同社は生牡蠣販売をメインに営業してきたが、シーズン限定やノロウイルスによる売上への影響があった。東日本大震災では県内の牡蠣養殖施設の98%が被災し、生産量は1/9以下に激減。平成26年には半分近くまで回復したものの、震災前の水準には及んでいない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力生牡蠣販売はシーズンが限定され、ノロウイルス発生時には即座に売上に影響する。
  • 販路・情報発信産地以外の人は生食を敬遠する傾向があり、加工牡蠣の新製品開発が求められていた。
  • 品質・精度ボイル時に牡蠣の旨味成分が煮汁に溶出してしまう。
  • 新製品・新技術天日干しによる下処理を試みたが、思うような結果を得られなかった。

やったこと

八戸工業大学の青木秀敏教授との共同開発により、天日干しと同じ効果を安定した基準で得られる紫外線A波(UV-A)照射による新製法を導入した。UV-A照射乾燥機を設計・製作し、UV加工牡蠣の試作品製造を行った。UV加工牡蠣の製造に最も適した乾燥方法を導き出し、製造を完成させた。UV-A照射による殺菌効果と真空包装により、常温で60日保存という当初の目標をクリアした。このUV加工牡蠣を2次加工して、グレープシードオイル漬やペーストなどの新商品を開発し、ギフト用として展開している。

加工機UV-A照射乾燥機

新しい製品・サービス:UV加工牡蠣「ウマァミーノかき」およびその2次加工品(グレープシードオイル漬、ペースト等)

事業の効果

  • 常温で60日保存という当初の目標をクリアした

UV-A照射による新製法で、無添加のまま常温保存できる加工牡蠣製品が完成した。処理により牡蠣の旨味成分やグリコーゲン量が増大し、味付けなしでも濃縮された牡蠣の味を楽しめる。平成27年に製品化へこぎつけ、2次加工品はギフト用として展開している。UV加工は他の海産物にも応用でき、地元産海産物振興につながると期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の牡蠣加工・販売事業の延長で、生牡蠣から加工牡蠣へ転換する方針が示されている。ただし経営戦略上の明確な位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    生牡蠣はシーズン限定でノロウイルスの影響を受けるという課題認識があり、無添加・常温保存60日の新製品で差別化する強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    生牡蠣需要減少への懸念と、旨味成分増大による高付加価値化の方向性が示され、ギフト・総菜・駅弁への展開計画もある。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    常温保存60日という当初目標をクリアしたと明記され、平成27年に製品化した実績がある。売上の数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    大学教授との共同開発やUV-A照射乾燥機の設計・製作を行ったと書かれているが、人員や事務処理体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    無添加で濃縮された牡蠣の味、ギフト用展開、海外富裕層への販売など顧客と選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作、乾燥方法の導出、60日保存の達成という工程は書かれているが、今後のスケジュールや課題解決の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    調理牡蠣の常温保存製品はあったが、無添加・常温保存の生牡蠣加工品は世界初とされ、新分野での高付加価値化が示されている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    震災で牡蠣養殖施設の98%が被災し生産量が1/9以下に激減したことを踏まえ、地元産業の復興に貢献する点が具体的に書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金額や投入額に対する付加価値増加の数値は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度にとどまる。

  • イノベーションへの貢献4

    大学との共同開発によるUV-A照射という新技術を用い、他の海産物にも応用できると述べられ、地域への波及が示されている。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    海外富裕層への販売展開に触れているが、日本経済の構造転換に資するとの記述は見当たらず、わずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及5

    宮城県松島湾産の牡蠣を用い、地元産海産物の高付加価値化と地域振興を目指すと具体的に書かれ、地域の特性を活かした事業であることが明確。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

UV加工技術を使い、さまざまな地元産海産物の製品開発で高付加価値化に貢献していく。マレーシアなどアジアの富裕層向けの販売展開も推進し、将来的には世界の食卓に宮城県産食材を届けたいとしている。

事業者の声

このUV加工牡蠣を2次加工してつくったグレープシードオイル漬やペーストなどの新商品を新たに開発し、ギフト用としての製品展開も進めています。また、UV加工はほかの海産物にも使えますので、さまざまな新製品を開発し、地元産海産物振興の一助になればと考えています

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。