ものづくり補助金平成26年度製造業秋田県

糸状菌による新規微生物殺虫剤原体胞子の生産性向上技術の確立

株式会社秋田今野商店

成果胞子の耐久性 40%→77%

この事例のポイント

  • 製造における乾燥工程で約80%のメタリジウムが死滅してしまい、微生物殺虫剤として工業化が難しい状態だった。
  • 微生物殺虫剤原体の生産性向上を目指し、大型の液体連続培養タンクであるジャーファーメンターを導入した。
  • 胞子の耐久性 40%→77%。製剤化工程でメタリジウム胞子の生存率を高く維持できるようになり、流通や保存性で大きなメリットが生まれた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社秋田今野商店
所在地秋田県 大仙市
業種食料品製造業
技術分野バイオ
従業員数35人
資本金3,600万円
設立1910年

事業の背景

当社は総合微生物スターターメーカーとして、麹菌を主力に酵母や乳酸菌などの種を製造・販売している。創業から100年以上が経ち、有用微生物菌株は約1万種類を保有しており、主力の酒造用麹菌は全国に販売エリアを持ち、海外ユーザーにも菌を直送している。また、食品微生物に加えて農業等で使われる生物農薬や研究用試薬にも力を入れている。環境負荷を抑える環境保全型農業の振興政策が各国で進み、カビを本体とする微生物農薬への期待が高まっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度製造における乾燥工程で約80%のメタリジウムが死滅してしまい、微生物殺虫剤として工業化が難しい状態だった。
  • 新製品・新技術海外大手農薬メーカーから胞子の生菌率向上について相談を受けていたが、胞子の生存率を高く保つ技術が確立できていなかった。

やったこと

微生物殺虫剤原体の生産性向上を目指し、大型の液体連続培養タンクであるジャーファーメンターを導入した。本機は温度、通気量、撹拌速度、pHといった培養条件を一定に保つことができ、溶存酸素をモニタリングしながら通気量を制御できる。乾燥後1か月経っても生菌数を1g当たり1千万個(10の8乗/g)オーダーに維持することを目的に技術を確立した。本機導入により胞子の耐久性が40%から77%に向上し、目標としていた1g当たり1千万個オーダーを達成できた。

その他ジャーファーメンター(液体連続培養タンク)

新しい製品・サービス:微生物殺虫剤原体(メタリジウム胞子)の大量培養・生産性向上技術

事業の効果

  • 胞子の耐久性 40%→77%

製剤化工程でメタリジウム胞子の生存率を高く維持できるようになり、流通や保存性で大きなメリットが生まれた。動物や植物に害がなく、アザミウマ類のみに感染して死亡させる特徴があるため、多くの施設栽培野菜に利用できる。安全性の高い微生物農薬殺虫剤として生産現場から大きな期待を集め、国内だけでなく海外市場にも進出できる商材となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    麹菌の培養技術と約1万種の菌株保有など過去の取組との一貫性は読めるが、経営戦略上の位置付けは記載が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    乾燥工程で80%近く死滅していた課題に対し、海外大手農薬メーカーから相談を受けた点など、外部需要と自社の培養技術の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    胞子耐久性が40%から77%に向上し、1g当たり1千万個オーダーを達成したと具体的な数字で課題解決と高付加価値化が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    耐久性40%から77%、1千万個オーダーという数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されていない。

  • 事業を進める体制3

    麹菌の純粋大量培養ノウハウや6か所の培養工場保有から体制の一端はうかがえるが、人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    アザミウマ類のみに感染し動植物に害がない特徴と、安全な微生物農薬への生産現場の期待という顧客ニーズが書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望は述べられているが、中長期の検証やスケジュール、課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    微生物殺虫剤は安全性の高い農薬として新しく、既存の化学農薬より高価格で、高付加価値の分野であることが読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    環境保全型農業の推進や化学農薬からの転換という政策的意義がうかがえるが、経済波及や雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果2

    生産性向上や歩留まり改善はうかがえるが、補助金額に対する付加価値増加の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    微生物の培養・抽出技術による農業分野の環境負荷低減への貢献がうかがえるが、サプライチェーンへの波及は具体的でない。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    環境保全型農業という成長分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及3

    秋田県大仙市の本社と廃校を改修した培養工場など地域性はうかがえるが、雇用や地域成長への効果は数字で示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

当社は6か所の培養工場を保有しており、今後も食品や農業分野をはじめ、菌の培養・抽出技術を活かして様々な分野に貢献していきたいと考えている。

事業者の声

温故知新

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

群馬県製造業平成29年度

冷凍マグロ専用刺身醤油の試作開発

鰹節の厚さと抽出温度を管理するため、ガス式スチームコンベクション、小型鰹節削り機、プレハブ冷蔵庫、冷蔵ユニット、小型軽量充填機、打栓機を導…

効果:製造ロット 32.5kg→65kg

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。