ものづくり補助金平成26年度製造業秋田県

熟練加工技術とプログラミングの融合による切削工具の製造

協和精工株式会社

成果熟練工によるハンドメイドに比べ約38%短縮

この事例のポイント

  • 熟練工の手作業と手動研磨に頼る特殊工具製造は大量生産に適さない状態だった。
  • 熟練工の手作業による刃先の工程を機械の自動加工(NC)に置き換えるため、工程ごとの作業を3次元シミュレーションで分析・調査した。
  • 熟練工によるハンドメイドに比べ約38%短縮。砥石の磨耗がなくなったことで加工面の粗さが改善され、品質の高い工具を安定生産できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名協和精工株式会社
所在地秋田県 羽後町
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数90人
資本金1,000万円
設立1963年

事業の背景

当社は精密機械用切削工具(ドリル)の製造と時計製造を行っている。自動車業界では生産改善が進み、自動車部品形状に特化した特殊形状の工具が求められている。自動車のモデルチェンジのサイクルが長くなり、新規工具を受注できなければ長期にわたり売上が低迷する危険性があった。売上の4割を自動車関連が占める当社にとって、試作から量産立ち上げまでの迅速な対応と品質が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力熟練工の手作業と手動研磨に頼る特殊工具製造は大量生産に適さない状態だった。
  • 納期・工程ライン工具として採用されるには平均20~30日に及ぶ生産リードタイムを短縮する必要があった。
  • 品質・精度熟練工による製造では加工者が変わると製品品質が微妙に異なり、同じ作業者が担当し続ける取り決めのため順番待ちが生じていた。

やったこと

熟練工の手作業による刃先の工程を機械の自動加工(NC)に置き換えるため、工程ごとの作業を3次元シミュレーションで分析・調査した。NC加工した製品は精度が非常に良好だったが、加工本数が増えると加工面に荒さと欠けが発生した。原因は当初から懸念されていた砥石の磨耗であり、工程ごとに砥石を成型して研削レベルを維持する必要があった。そこで従来設備にはなかった工程ごとの砥石成型プログラムを新たに作成し、工程ごとの砥石成型を実施した。

加工機NC工具研削盤

事業の効果

  • 熟練工によるハンドメイドに比べ約38%短縮
  • 生産リードタイム 20日→10日

砥石の磨耗がなくなったことで加工面の粗さが改善され、品質の高い工具を安定生産できるようになった。工具への刃付工程の自動化にも成功した。生産リードタイムは熟練工によるハンドメイドに比べ約38%短縮し、目標の10日以内をクリアした。担当者が変わっても同一品質が維持できるため順番待ちの時間が削減され、生産計画も機械ごとに割り振ることが可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    特殊工具製造を熟練工の手作業から自動化する方針が、過去の手動研磨依存からの脱却という一貫した流れで書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    自動車業界向け特殊工具や売上の4割が自動車関連という強みと、新興国需要増という外部環境が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    平均20~30日の生産リードタイムを約38%短縮し、目標10日以内を達成したと課題と成果が対応して示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    リードタイム約38%短縮、目標10日以内クリア、NC工具研削盤を4台まで増設など、数字つきで目標と実績が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員90人との記載はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力については触れられていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車業界向け特殊工具や半導体微細穴加工用PCDドリルなど、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    砥石の磨耗という課題と工程ごとの砥石成型プログラムによる解決は書かれているが、スケジュールや中長期の検証は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    PCDやCBN素材の小径エンドミルなど難切削工具に特化し、特殊形状工具という高付加価値分野で事業を行っていると読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    自動車業界の生産改善や新興国需要といった背景はうかがえるが、経済波及や雇用創出への言及はほぼない。

  • 費用対効果3

    リードタイム短縮と品質安定の効果は書かれているが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    NC加工とプログラミングの融合は書かれているが、サプライチェーン全体へのイノベーション貢献までは読み取れない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    秋田県雄勝郡羽後町という地域に所在する点はうかがえるが、地域特性を活かした経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新興国の経済成長により自動車購買層は大幅に増加し、今後も根強い需要が続くと見込まれる。5G関連で半導体市場は好調で、半導体の微細穴加工で使用されるPCDドリルの注文は伸びている。NC工具研削機は現在4台まで増加し、熟練工でも製造できなかった工具が開発されるなど活躍している。

事業者の声

新たな挑戦に取り組めることや社内で「改善」という名の大風を起こせることも補助金活用のメリットと考え、活用しています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。