ものづくり補助金平成26年度情報通信業茨城県

中小畜産農家へのICT(情報通信技術)による支援システム開発

株式会社 コンピューター総合研究所

この事例のポイント

  • 畜産農家は高齢化や飼料などのコスト増加により離職者が年々増えている。
  • 鯉淵学園農業栄養専門学校(水戸市)の協力を得て、牛舎の天井部に赤外線モーションセンサーカメラを設置した。
  • 死廃率の低減により経営の効率化につながり、畜産業従事者の省力化にも寄与した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 コンピューター総合研究所
所在地茨城県 水戸市
業種情報サービス業
技術分野情報処理
従業員数100人
資本金4,000万円

事業の背景

同社はソフトウエア開発及び第三者検証、原子力研究所の解析などを行う。中小畜産農家の牛監視システムに取り組んだ。高齢化や飼料などのコスト増加により、畜産農家は年々離職者が増えている。一方で、1戸あたりの飼育頭数は増加し、過酷な労働を強いられている。TPPの締結により一層効果的な経営が求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能畜産農家は高齢化や飼料などのコスト増加により離職者が年々増えている。
  • 人手・技能1戸あたりの飼育頭数は増加し、過酷な労働を強いられている。
  • コスト・採算牛の事故や体調不良は畜産農家にとって経済的損失につながる。
  • 生産能力既存システムではセンサーを牛に取り付けて測定しており、牛にストレスを与えたり装着時に暴れて事故につながる心配がある。
  • 人手・技能監視カメラは24時間目視する必要があり、その労力と拘束時間が畜産農家の大きな負担となっている。
  • 生産能力肉用牛は出荷直前の転倒に気付かず放置されると死んでしまうことがあり、畜産農家にとって大きな損失になっていた。

やったこと

鯉淵学園農業栄養専門学校(水戸市)の協力を得て、牛舎の天井部に赤外線モーションセンサーカメラを設置した。日々の監視データを1秒ごとの画像データとして収録し、クラウドサーバー上に保存する。その際に画像処理技術を用いて分析し、牛1頭ごとの監視データに変換している。「食事の時間」「水飲みの時間」「移動量」「長時間の座った状態」の4項目を監視する。牛舎に設置した赤外線モーションセンサーで取得した画像データを収集しクラウド上にアップロードする。転倒検知時にはスマホに通知する。気温と天気のデータも保存し、集めたビッグデータの蓄積や分析により正常か異常かを判断する。

検査測定赤外線モーションセンサーカメラ
ソフトクラウドサーバー
ソフトMOH-CAL(牛の行動監視システム)

新しい製品・サービス:ICTを活用して牛舎を24時間監視する装置「MOH-CAL(もーかる)」を考案し、畜産の管理項目である発情、食滞、出産などの異常を検知して通知する支援システムを開発した。

事業の効果

死廃率の低減により経営の効率化につながり、畜産業従事者の省力化にも寄与した。クラウドに蓄積されるデータが増えることで、精度や速度がさらに向上する見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ソフトウエア開発と第三者検証を行う同社が中小畜産農家向けに新規開発した経緯が示され、既存事業との関連は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの記載は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高齢化や飼料コスト増、TPPによる効率化の必要性など外部環境は示されるが、自社の強み・弱みと競争優位の記述は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    離職者増、1戸あたり頭数増、転倒事故死1~2%という課題が具体的に示され、解決策として監視装置の通知機能が対応している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    死廃率低減や省力化が期待されるとしつつ、具体的な付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。実証実験の実施は記載されている。

  • 事業を進める体制3

    開発を担う同社の事業内容やNTT東日本・全畜連との共同実証は読み取れるが、体制や人材の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    畜産農家の労力と拘束時間、装着型センサーの課題を示し、非接触カメラで転倒を通知する価値と顧客ターゲットが明確に整理されている。

  • 事業化までの道筋4

    2014年度の事業計画から2017年の実証実験、特許出願中、将来のAI判断への発展まで、段階的なスケジュールと課題が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    牛の監視をクラウドとカメラで行う点は新規性があるが、普及度や高付加価値化の数値的根拠は示されていない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    中小畜産農家の離職や転倒事故による損失という社会課題の解決は読み取れるが、波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果3

    転倒事故死の防止と経済的損失の軽減は示されるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    赤外線カメラ、画像処理、クラウド、AIによる異常判断を組み合わせ、畜産業のデジタル化と新規参入者の増加に寄与する点が示されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    ICTによる畜産業の効率化への言及はあるが、日本経済の構造転換に資するという記述はわずかにうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及2

    茨城県水戸市の企業が栃木県那須塩原市で実証するなど地域との関わりはあるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

MOH-CALは乳用牛を対象として開発し、現在特許出願中である。2017年5月からNTT東日本、全国畜産農業協同組合連合会と共同で肉用牛の実証実験を栃木県那須塩原市で始めた。将来的には監視データをAIで判断させ、より早期に正確な異常判断を可能にし、新規参入者の増加も期待している。

事業者の声

監視データを収集解析して牛の異常を早期通知。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。