ものづくり補助金平成26年度製造業岐阜県

大気圧ドライプロセスにてフッ素樹脂の高密着化を実現する表面処理の技術開発

タイムオートマシン株式会社

成果未処理と比較して接触角減−20度以上

この事例のポイント

  • フッ素樹脂は加飾や接着工程で高い密着性が得られず、既存の表面処理では十分な密着強度を確保できなかった。
  • 当社既存の低温フレーム溶射処理装置と、新規導入したプラズマ装置を複合化した大気圧ドライプロセス処理を実施した。
  • 未処理と比較して接触角減−20度以上。フッ素樹脂の親水性と密着性を高める大気圧ドライプロセスのプラズマ処理について最適条件を見出した。

事業者のプロフィール

事業者名タイムオートマシン株式会社
所在地岐阜県 関市
業種生産用機械器具製造業
技術分野接合・実装,表面処理
従業員数12人
資本金2,000万円
設立2004年

事業の背景

当社はガス・水のバルブを製造するタイム技研㈱で培ったノウハウを活かし、自動組立機・検査機等の開発・製造を行う企業として設立された。自動車・家電・医療・航空機等の先端産業では、樹脂やゴム素材の新機能・高性能化が進む中で密着強度の確保が難しくなっている。当社は既存の低温フレーム溶射処理で表面改質技術を開発していたが、最難密着性材料であるフッ素樹脂やETFEには密着性をほとんど向上できなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度フッ素樹脂は加飾や接着工程で高い密着性が得られず、既存の表面処理では十分な密着強度を確保できなかった。
  • コスト・採算樹脂やゴム素材の密着強度確保が難しく、前処理工程の複雑化とコスト高が問題となっていた。
  • 生産能力フッ素樹脂に対して低価格化・生産性向上・環境改善につながる表面改質処理技術が求められていた。

やったこと

当社既存の低温フレーム溶射処理装置と、新規導入したプラズマ装置を複合化した大気圧ドライプロセス処理を実施した。表面分析や濡れ性(水接触角)・テープ剥離試験等による密着性の調査・評価を行った。プラズマ処理装置、塗布装置や治具部品設計用3Dソリッドモデラ等を導入し、プラズマ処理の自動化を図った。表面改質処理装置の新規導入に加え、表面分析や特性試験を行う装置・機器も導入し、当社単独で調査・評価できるインフラを整えた。導入した塗布装置とプラズマ装置を組み付け、自動運転できる塗布装置を試作開発した。

その他プラズマ処理装置(大気圧プラズマ装置)
加工機塗布装置
ソフト治具部品設計用3Dソリッドモデラ
検査測定表面分析・特性試験用の装置・機器(FT-IRによるフッ素樹脂の表面分析を行う赤外分光光度計を含む)
その他表面改質処理装置

新しい製品・サービス:大気圧ドライプロセスにより、フッ素樹脂の高密着化を実現する表面処理技術(低温フレーム溶射と大気圧プラズマを複合化した処理)。

事業の効果

  • 未処理と比較して接触角減−20度以上
  • 剥離力 1倍→1.5倍

フッ素樹脂の親水性と密着性を高める大気圧ドライプロセスのプラズマ処理について最適条件を見出した。達成指標は接触角と剥離力の2点で、未処理と比較して接触角減−20度以上、剥離力上昇1.5倍以上という技術目標を達成した。自動運転できる塗布装置の試作により量産化の基礎が整った。さらなる量産化に向けて技術開発と市場ニーズの把握・マーケティングを進めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    自動組立機や表面改質技術の開発・製造を事業としており、既存の低温フレーム溶射技術の延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    フッ素樹脂は加飾や接着で高密着が得られない課題があり、東海地区の自動車部品需要への言及はあるが、自社の強みとの関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    フッ素樹脂の密着性が未解決という課題に対し、接触角減−20度以上、剥離力1.5倍以上という技術目標を設定し達成したと記載されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    接触角減−20度以上、剥離力上昇1.5倍以上という目標を達成したと書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    表面分析や特性試験の装置を導入し当社単独で評価できるインフラを整えたとあるが、人材や事務処理体制の記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    親水性を高めて難接着材料の密着性を改善する価値や、自動車の樹脂化ニーズは述べられているが、顧客ターゲットは曖昧である。

  • 事業化までの道筋3

    量産化に向けた技術開発とマーケティングを進めるとあり、展示会等でのアプローチという方針はあるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    フッ素樹脂は加飾や接着で広く普及している表面処理では高密着が得られず、技術を扱う企業は国内で数社に留まると記載されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    自動車の樹脂化や軽量化による燃費向上という産業動向に触れているが、経済波及効果や雇用創出の具体的な記述は少ない。

  • 費用対効果2

    低コスト化や生産性向上、環境改善を目指すとあるが、補助金投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    大気圧ドライプロセスで高性能な表面改質を量産化可能にする生産技術の確立が書かれており、産業のイノベーションへの寄与がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車の軽量化や樹脂化の流れに言及しているが、日本経済の構造転換への位置付けは書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    東海地区は自動車部品メーカーが多いと地域性に触れているが、地域の雇用や経済成長への言及はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

東海地区は自動車部品メーカーが多く、自動車の軽量化に伴い金属部品を樹脂・ゴム素材へ切り替える流れがあり、表面処理技術へのニーズは高まると考えられる。この技術を扱う企業は日本でも数社にとどまるため、展示会等を活用して悩みを抱えるユーザーにアプローチしていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。