ものづくり補助金平成26年度製造業愛知県

医療機器産業における整形外科用骨接合インプラント手術工具の試作開発

株式会社オー・ケー・シー

この事例のポイント

  • 医療用ドリルは骨に固定されない状態で穴加工され、ドリルが滑りやすく不安定だった。
  • 平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金を活用し、高精密CNC研削盤を導入した。
  • 医療用ドリルの試作により、滑りによる位置ズレを防げるようになり、食付き精度のズレ幅を20%改善した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社オー・ケー・シー
所在地愛知県 名古屋市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数18人
資本金1,000万円
設立1996年

事業の背景

当社は自動車・航空機・ITから医療機器まで各種エンドミル・ドリル、カッター、メタルソーなどの切削工具の設計製造を行っている。主力は自動車産業であるが、EV車や電気自動車の開発が進むなかで顧客ニーズが多様化し、自動車産業のみに頼らない体制作りが求められていた。そのため近年は医療関連分野へも事業範囲を広げてきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度医療用ドリルは骨に固定されない状態で穴加工され、ドリルが滑りやすく不安定だった。
  • 品質・精度穴あけまでに時間がかかると切削熱が生じ、骨成分を壊死させる問題が解決できていなかった。
  • 品質・精度精度の高い穴加工には、食付き精度の向上、押しつけ時の切削抵抗の削減、穴加工後の仕上がり面の向上が必要だった。
  • その他主力の自動車産業だけに頼らない体制を作るため、医療分野への事業展開が求められていた。

やったこと

平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金を活用し、高精密CNC研削盤を導入した。従来の自動車産業で培った高精度加工の技術を活かし、整形外科の骨接合インプラント手術で使う工具を試作開発した。医療用ドリルの先端を針状に細くした新型ドリルを試作し、滑りによる位置ズレを防ぐとともに食付き精度を高めた。ドリルの芯厚を改善して摩擦熱を減らし、骨に与える影響を抑えるとともに切削抵抗の削減を図った。さらに導入した高精密CNC研削盤により、使用する砥石の選択や切削加工の速度を研究し、製造時のバリ発生を抑えた。

加工機高精密CNC研削盤

新しい製品・サービス:ドリルの先端を針状に細くした医療用の新型ドリル

事業の効果

医療用ドリルの試作により、滑りによる位置ズレを防げるようになり、食付き精度のズレ幅を20%改善した。ドリルの芯厚を36%改善したことで摩擦熱などが減り、骨に与える影響を抑えて切削抵抗を削減できた。製造時のバリ発生率を72%減少させることにも成功した。医療機器製造販売業の許可も取得し、自動車業界以外への受注の幅を広げている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    自動車産業での高精度加工の実績を医療分野へ広げたと書かれているが、経営戦略上の位置付けや過去の取組との一貫した説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    EV化で自動車産業のみに頼れない状況と、医療分野で培った高精度加工の強みを結びつけ、国産品ニーズの高い医療分野に進出したと具体的に述べている。

  • 課題の認識と解決4

    食付き精度のズレ幅20%改善、芯厚36%改善、バリ発生率72%減少など数字で課題と解決策が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    受注拡大や事業拡大の方向は示されるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員18人、資本金1,000万円といった規模は書かれているが、補助事業を遂行する体制や人材の記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    針状に細くした新型ドリルで滑りによる位置ズレを防ぐなど、製品の価値と医療現場での課題が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の挑戦や事業拡大への取組は述べられているが、遂行方法やスケジュールの記述は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    整形外科向けの骨接合インプラント手術工具の試作で、医療用ドリルの先端形状を針状にするなど高水準の精度向上を図っている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    国産品のニーズが高い医療分野での試作開発と述べられ、国内産業の裾野拡大の意義はうかがえるが、波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や投入額に対する付加価値増加の記載はなく、費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高精密CNC研削盤の導入は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献についての記述は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車産業の大変革を背景に医療機器分野へ進出したとあり、構造転換への寄与がうかがえるが具体的ではない。

  • 地域経済への波及2

    地域の特性や地域雇用への言及はなく、名古屋の企業であることしか読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車産業は大変革の中にあるものの相応の受注を見込んでおり、受注獲得に向けた営業活動に引き続き注力している。今後も医療機器産業への進出を拡大し、医療機器メーカーとしてさらに事業を拡大していく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。