ものづくり補助金平成26年度学術研究、専門・技術サービス業京都府

伝統的な「物」から切り離した和柄コンテンツのネットマーケティング事業

株式会社京都デザインファクトリー

この事例のポイント

  • 和装産業は市場規模が最盛期の10分の1まで落ち込み、和柄の需要が減っている。
  • 伝統的な和柄を「物」から切り離してデジタルコンテンツ化し、クラウド型の和柄コンテンツ流通システムを構築した。
  • 一次産業や二次産業からの和柄デザインの需要が広がり、有田みかん農家のブランディングなどを手がけた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社京都デザインファクトリー
所在地京都府 京都市左京区
業種専門サービス業
従業員数2人
資本金4,820万円
設立2001年

事業の背景

当社は日本唯一の「和」専門デザイン会社で、和柄を中心に日本の伝統美を生かした和風デザインを提供してきた。和装産業の市場規模は最盛期の10分の1まで落ち込み、後継者問題も生じていた。図案家も高齢化や徒弟制度の影響などで大きく減少していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑和装産業は市場規模が最盛期の10分の1まで落ち込み、和柄の需要が減っている。
  • 人手・技能図案家の高齢化や徒弟制度になじまないことなどから図案家が大きく減り、後継者問題が生じている。
  • 販路・情報発信図案は著作権法上保護されにくく、情報化時代に合った事業化の道筋が示せていない。
  • 新製品・新技術情報化社会に対応するため、図案をデジタルコンテンツ化してインターネットで事業展開する必要がある。

やったこと

伝統的な和柄を「物」から切り離してデジタルコンテンツ化し、クラウド型の和柄コンテンツ流通システムを構築した。システムは自社コンテンツのみを扱う独立運営型で、1システムで多言語展開でき、サイズやファイル形式ごとに複数の価格を設定できる。利用者が類似デザインを自動で選んで表示する機能や、ジャンル・カラー・用途など様々な切り口で特集ページを生成する機能も備えた。図案家が常に新作を追加できるようにし、集客対策や環境・特性調査、効果の定量計測といったマーケティング機能も備えた。

ソフトクラウド型和柄コンテンツ流通システム
その他デジタル処理用のコンピュータ群

事業の効果

一次産業や二次産業からの和柄デザインの需要が広がり、有田みかん農家のブランディングなどを手がけた。和柄のスマホケースやマスキングテープなどの自社製品も生まれ、好評を得ている。出版した和柄のぬり絵ブックは各数万部発行され、生活者から大きな反響を呼んだ。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    京友禅の図案家としての活動後に設立した経緯があり、和柄デザインを専門とする事業の一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    和装市場が最盛期の10分の1に落ち込む中で、日本唯一の和専門デザイン会社として20年来の和柄デジタル化の取組を強みとしていると具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    和装需要減退と図案家の高齢化・減少という課題を示し、デジタルコンテンツ化とクラウド流通で商圏拡大する方向性が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上や賃上げの目標値は書かれていない。成果として一次・二次産業からの需要拡大が述べられるのみである。

  • 事業を進める体制3

    従業員数2人で、IT能力に習熟した人材が多数のコンピュータを駆使するデジタル処理体制を整えていると書かれているが、人員の具体的な体制は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ターゲットは広告代理店や海外を含む中小企業等と具体的で、多言語対応や多様な検索機能など選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    新作の追加や一次産業への展開など今後の方向性は示されているが、スケジュールや課題の解決方法の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    和柄デザインは一般的に普及した分野ではなく、国内外で評価される本格的な和柄の質を強みとして、ニッチ分野で高付加価値を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    一次・二次産業への和柄需要の拡大や図案家育成の必要性が述べられるが、波及効果の定量的な裏付けは薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数字は書かれていない。出版部数の反響のみ記載されている。

  • イノベーションへの貢献4

    クラウド型のコンテンツ流通システムやデジタル処理体制で、和柄のデジタル化と新たな流通モデルを構築していると具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    ジャポニズムの再燃やクールジャパンへの関心に触れているが、構造転換に資する点は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    京都の伝統的な和柄を活かし、尼崎や四国、和歌山の事業者と連携している点が読み取れるが、地域経済への効果の数字は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

一次産業や二次産業など様々な分野の業界との連携を広げ、事業の発展を図る考えである。新たに出版部門を設け、大人のぬり絵などを自社出版に切り替えている。和柄デジタルコンテンツに習熟した人材を育てるため、セミナーや塾など教育事業にも力を入れたい考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。