ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

こうじ造りの技術を応用し、堺の名物・どぶろく復活へ

株式会社 雨風

この事例のポイント

  • 生どぶろくは品質維持が難しく、常に低温の冷蔵庫が必要なため、通常の量販店や酒販店では扱えないところが多く、現在は本社店舗での販売のみになっている。
  • 2016年夏より、生こうじを使用した生どぶろく「一六八九」の販売を開始した。
  • 2016年夏から2017年夏までに生どぶろく「一六八九」を約1,500ℓ販売した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 雨風
所在地大阪府 堺市
業種食料品製造業
技術分野バイオ
従業員数10人
資本金1,000万円
設立1689年

事業の背景

堺市はかつて貿易の中心地として醸造業が盛んだったが、近年は落ち込んでいる。同社は1689年創業で、年間約15tのこうじを生産し、甘酒・味噌・しょうゆなどを手がけている。市場に多い乾燥こうじに対し、生こうじは新鮮で発酵力が強い一方、品質が不安定とされる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信生どぶろくは品質維持が難しく、常に低温の冷蔵庫が必要なため、通常の量販店や酒販店では扱えないところが多く、現在は本社店舗での販売のみになっている。
  • 生産能力どぶろくの製造には年間6,000ℓ以上を製造しなければならない規定があり、大量生産と出荷に課題が残っている。

やったこと

2016年夏より、生こうじを使用した生どぶろく「一六八九」の販売を開始した。「一六八九」は火入れをせず生こうじの栄養素を生きたまま閉じ込め、常時低温保存して品質を安定させている。500mlで1,400円(税抜き)。同時期に、仕込み水の一部に甘酒を使い、アルコール度を9%と低めにしたやや甘口の「糀乃彩」(500ml 1,600円・税抜き)も発売した。2016年夏から2017年夏までに約1,500ℓを販売した。

新しい製品・サービス:生どぶろく「一六八九」と、やや甘口の「糀乃彩」

事業の効果

2016年夏から2017年夏までに生どぶろく「一六八九」を約1,500ℓ販売した。生どぶろくは低温保存が必要で流通に課題があったが、常温の冷蔵庫でも保存でき劣化しにくい火入れどぶろくの開発を進めている。火入れどぶろくは、繁忙期前の今秋をめどに開発完了し、発売を目指している。今後は量販店などで安定した販売を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のこうじ造りを生かし、平成27年に免許取得してどぶろく製造へ踏み切ったと読める。経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    堺の醸造業の歴史や独自のこうじ造り技術は読み取れるが、市場動向との比較や競争優位の根拠の具体的記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決3

    量販店での安定販売や火入れどぶろくの開発など課題への対応は書かれているが、事業計画の詳細な数値や手順は示されていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    年間6,000ℓ以上の販売目標が示され、平成28年夏から1年で約1,500ℓ販売した実績もあり、実現性の根拠が読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    従業員10名や取り扱い設備は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    1日500mlで1,400円の一六八九など商品ごとの価格、甘口・辛口の特徴、女性ターゲットなど顧客像が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    火入れどぶろくを繁忙期前の今秋をめどに開発完了し、5~10年で健康どぶろくを開発する時期が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    どぶろくの製造免許は全国でも希有で、酒蔵が清酒に特化する中で生どぶろくを手がける点が高付加価値化として読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    堺の醸造業の町としての復活や、地域の酒造り文化の継承を目指す点は読み取れるが、波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    約1,500ℓ販売や製造量の規定は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献2

    大阪府立大学との共同研究によるこうじの健康効果研究はうかがえるが、デジタル技術やビジネスモデルの記述はほぼない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    生こうじ由来の新製品で新市場を開く方向性はうかがえるが、構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    堺の町に根付く酒造りの復活を掲げ、地域資源のこうじを活かした事業であることが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

繁忙期前の今秋をめどに火入れどぶろくの開発を完了し発売を目指す。年間6,000ℓ以上の販売を目標とし、5〜10年かけて健康どぶろくの開発を進め、銘柄数を増やして受託生産も拡大する考えだ。

事業者の声

酒造りの復活への期待が大きい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。