ものづくり補助金平成26年度製造業福岡県

新型薮田式自動圧搾機を活用した『無ろ過・生・原酒』の日本酒製造事業の展開

溝上酒造株式会社

成果布かぶせ作業の所要時間 7日→1日

この事例のポイント

  • 従来の設備では「無ろ過・生・原酒」を提供することが難しかった。
  • 新型薮田式自動圧搾機の圧搾板とろ過板を合計90枚購入した。
  • 布かぶせ作業の所要時間 7日→1日。上槽工程の改良により、搾りたての日本酒を清潔な状態で製造できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名溝上酒造株式会社
所在地福岡県 北九州市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数5人
資本金3,000万円
設立1844年

事業の背景

弘化元年創業で170年余の歴史を持つ老舗酒蔵で、現当主の溝上智彦社長は8代目となる。酒造りには綺麗な水が不可欠で、八幡製鉄所に近い場所を条件に北九州市八幡東区へ酒蔵を移した。日本酒の出荷量は昭和40年代をピークに下がり続けており、現在の市場を支えているのは50代、60代の中高年層である。一方で若年層の日本酒離れが進む中、ガスのあるピリッとした搾りたての日本酒が若年層に支持され始めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の設備では「無ろ過・生・原酒」を提供することが難しかった。
  • 生産能力上槽工程で使うゴム製の圧搾板とろ過板は長年の使用でゴムの臭いが日本酒に移る心配があった。
  • 人手・技能圧搾板とろ過板に布をかぶせる作業に約1週間かかり、頻繁な分解・洗浄ができなかった。
  • 品質・精度上槽後にろ過工程が必要で、日本酒製造に要する日数と原価がかさんでいた。

やったこと

新型薮田式自動圧搾機の圧搾板とろ過板を合計90枚購入した。新型板は軽量化され、耐薬品性や耐塩性にも優れ、従来の自動圧搾機にも組み込みが可能である。自動圧搾機も改良したことで、1週間かかっていた布をかぶせる作業が1日でできるようになった。これにより圧搾板とろ過板を完全分解しやすくなり、仕込み期間中も頻繁に掃除できるようになった。

加工機新型薮田式自動圧搾機の圧搾板とろ過板(計90枚)
加工機自動圧搾機(改良)

新しい製品・サービス:「無ろ過・生・原酒」に分類される搾りたての日本酒

事業の効果

  • 布かぶせ作業の所要時間 7日→1日

上槽工程の改良により、搾りたての日本酒を清潔な状態で製造できるようになった。圧搾板とろ過板を頻繁に分解・洗浄できるため、清潔感を保てる。上槽後のろ過工程が不要になり、日本酒製造に要する日数が短縮され原価も下がった。その結果、高品質の日本酒を搾り出せるようになり、「品質の高い」という強みが強化された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の酒造りと銘柄改定の歴史は書かれているが、今回の設備投資が経営戦略にどう位置付けられるかは具体的に述べられていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    搾りたてを求める若年層や酒販店からの要請に言及しており外部環境は読めるが、競争優位の根拠となる自社資源の分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    上槽での板の掃除困難や1週間かかる布かけという課題を具体的に示し、ろ過工程の省略で原価と日数が下がると述べている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    原価低下や日数短縮はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれておらず、目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    社長の改善姿勢は読み取れるが、従業員5人規模での推進体制や事務処理能力についての記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    若年層はフルーティーでシャープな味を求めるという市場認識と、搾りたてへの消費者・酒販店からの要望が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    新型板の購入と圧搾機改良という手段とその効果は書かれているが、中長期スケジュールや他の課題の検証は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    無ろ過・生・原酒という分類の日本酒を新市場として開拓し、品質の高さで従来商品にも好影響が出ていると述べている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地域の酒造り継承や雇用への言及はわずかにうかがえるが、国が補助する積極的理由を示す記述は見当たらない。

  • 費用対効果2

    原価低下や日数短縮の効果はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    北九州の地酒として八幡の土地と水を活かす立地選択が書かれているが、地域経済への波及は具体的に述べられていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

若年層が求めるフレッシュな日本酒を提供でき、消費者や販売店から高い評価を得ている。新市場の開拓で従来商品の売上にも好影響が出ている。中期的には年間を通して醸造できる蔵を作りたいと考えており、蔵全体を冷蔵庫にすれば在庫が減り、雇用もしやすくなる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。