ものづくり補助金平成27年度製造業北海道

過熱水蒸気技術を用いた新設備導入による「北海道産冷凍焼き野菜」の製品化事業

トナミ食品工業株式会社

この事例のポイント

  • 北海道の漁業が低迷を続け、イカやサンマなどの水揚げが減っており、水産加工を主力とする同社にも影響が及んでいた。
  • 過熱水蒸気技術は同社が長く取り組んできた冷凍加工と同様の技術で、既に「イカの旨味焼き」や「サンマの蒲焼」が商品化されていた。
  • 他社が製品投入していない差別化した「冷凍焼き野菜」を提供することで、新たな市場開拓を進めている。

事業者のプロフィール

事業者名トナミ食品工業株式会社
所在地北海道 北斗市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数250人
資本金3,000万円
設立1949年

事業の背景

同社は函館エリアに工場を持ち、函館近海産のスルメイカを使った「いかそうめん」や刺身イカの急速冷凍商品のヒットで「イカのトナミ」と呼ばれている。北海道の漁業低迷は水産加工の大きな悩みとなっていた。一方で、高齢者の増加に伴う「火を使わない食品」、野菜不足を補う子ども向け商品、道産食材を求める外国人観光客といったニーズが市場にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他北海道の漁業が低迷を続け、イカやサンマなどの水揚げが減っており、水産加工を主力とする同社にも影響が及んでいた。
  • 生産能力過熱水蒸気装置で「冷凍焼き野菜」の開発を進めていたが、設備上の問題から事業化を見送っていた。

やったこと

過熱水蒸気技術は同社が長く取り組んできた冷凍加工と同様の技術で、既に「イカの旨味焼き」や「サンマの蒲焼」が商品化されていた。本事業では連続式過熱水蒸気装置の最新モデルを導入し、北海道産ジャガイモを使った冷凍製品「焼・じゃが」の商品化を実現した。過熱水蒸気は通常の蒸気を100℃以上に加熱した高温の水蒸気ガスで、旨みや栄養を逃さず、色合いや歯ごたえも良く、食品の表面を瞬間殺菌できる。

加工機連続式過熱水蒸気装置(最新モデル)

新しい製品・サービス:冷凍製品「焼・じゃが」(北海道産ジャガイモを使った冷凍焼き野菜)

事業の効果

他社が製品投入していない差別化した「冷凍焼き野菜」を提供することで、新たな市場開拓を進めている。食品宅配市場では高齢者向けの宅配事業が成長途上にあり、週1回の「まとめ買い」も増えているため、長期保存でき電子レンジで温めるだけの手軽さと北海道産野菜の魅力が受けて商談オファーが増えている。学校給食や介護食、老人食など福祉関連の需要もあり、市場拡大の突破口になる商品となった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過熱水蒸気や冷凍加工の技術を長年扱ってきたことは書かれているが、経営戦略上の位置付けを示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高齢者の増加や外国人観光客の道産食材需要、他社が投入していない差別化商品という外部環境と自社技術の組み合わせが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    漁業低迷という課題認識はあるが、高付加価値化や成長につながる数値を伴う計画は示されていない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    開発や設備導入を進めた経緯はうかがえるが、人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    長期保存・電子レンジで温めるだけの手軽さ、道産野菜の魅力、高齢者や学校給食などの顧客ターゲットが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    「焼りんご」の商品化を検討中という次の展開は書かれているが、遂行方法やスケジュールの詳細は不明。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    冷凍焼き野菜は他社が製品投入していない分野で、過熱水蒸気による差別化が明記されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    漁業低迷の解決や道産食材の海外発信など地域への波及が示されるが、雇用や経済波及の定量的記述はない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加などの費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    過熱水蒸気の新モデル導入は述べられているが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は限定的。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    冷凍野菜という新分野への進出がうかがえるが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及4

    北海道産の山の幸を活かした商品で、地域の食材を使い商談増加や市場拡大につなげる点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は北海道ブランドを生かした商品を国内市場だけでなく海外市場への出荷に期待しており、来年には「焼りんご」の商品化を検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。