ものづくり補助金平成27年度製造業秋田県

インチサイズでの部品加工が可能なマシニングセンタ導入による、航空機部品の一貫生産体制の構築

有限会社伊藤精工

この事例のポイント

  • 航空機部品はインチサイズでの加工が必要だが、既存設備ではネジ穴のインチサイズ加工やヘリサートタップ加工に対応できず、外注に頼っていた。
  • インチサイズのタップ加工やヘリサートタップ加工に対応できる新たなマシニングセンタを導入し、これまで外注していた航空機関連部品の加工を自社で一貫して行う体制を築いた。
  • インチサイズの加工を含む部品加工から仕上げまでを一台で一貫製造できるようになり、加工時間が大幅に短縮されて生産性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社伊藤精工
所在地秋田県 にかほ市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数11人
資本金1,000万円
設立1980年

事業の背景

当社は産業用機械の部品加工を主に手掛けており、精密微細部品の切削加工技術に強みを持つ。取引先からは高品質・短納期で高い評価を得ている。一方で部品は小ロットが多く、発注先の海外シフトや部品加工の内製化など外部環境の変化もあって、収益力の強化が課題となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力航空機部品はインチサイズでの加工が必要だが、既存設備ではネジ穴のインチサイズ加工やヘリサートタップ加工に対応できず、外注に頼っていた。
  • コスト・採算手掛ける部品は小ロット(1個の場合も多い)で、収益力に課題を抱えていた。
  • 販路・情報発信発注先の海外シフトや部品加工の内製化といった外部環境の変化により、受注が減るおそれがあった。

やったこと

インチサイズのタップ加工やヘリサートタップ加工に対応できる新たなマシニングセンタを導入し、これまで外注していた航空機関連部品の加工を自社で一貫して行う体制を築いた。航空機部品の素材に多く用いられるアルミ合金について、チャッキングや熱変形対策に関する当社のノウハウと最新設備を組み合わせ、加工速度・精度・表面仕上げの再現性を高めた。導入後は部品加工から仕上げまで一台で対応できるようになり、加工時間の短縮と品質管理の一元化を実現した。仕上げ精度は10以下、真円度は5以下、繰り返し精度は5以下を達成し、納入先が求める仕様を満たせるようになった。

事業の効果

インチサイズの加工を含む部品加工から仕上げまでを一台で一貫製造できるようになり、加工時間が大幅に短縮されて生産性が向上した。品質管理も一元化され、仕上げ精度や繰り返し精度が納入先の求める仕様を満たせるようになった。高付加価値の部品を一貫して製造できるため、当社の収益力が強化されただけでなく、川下企業の生産性向上や低コスト化にも寄与している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の産業用部品加工から航空機部品の切削加工へ参入する流れは書かれているが、過去取組との一貫性の詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    インチサイズ加工を含む一貫加工の実現、高精度・短納期の評価、川下の生産性向上への寄与など、強みと市場の関係が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    発注先の海外シフトや内製化による収益力課題を認識し、航空機部品の受注で解決する方針が示されている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    加工時間短縮と受注増による売上拡大の方向はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制4

    従業員11人、創業昭和55年、技術交流や検査体制など、実施に必要な人材と品質管理体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    精度10μ以下・真円度5以下などの仕上げ水準と、航空機分野の小中量高品質ニーズへの対応が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展開として機体部品や治具分野への拡大、難切削材への挑戦が書かれているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    航空機部品はアルミ合金の高精度加工でノウハウを活かす点が書かれるが、普及度や高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    川下企業の生産性向上や低コスト化への寄与がうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は見当たらない。

  • 費用対効果3

    加工時間の大幅短縮と工程の一元化が書かれているが、補助金額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    マシニングセンタ導入による一貫加工の効率化がうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションとしての記述は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    航空機分野という成長分野への進出が書かれ、構造転換への関係がうかがえるが、政策との結びつきは明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    地域の特性や雇用・地域経済への効果については公開されている事例からはほぼ読み取れない。

今後の展望

今後は、少量から中量生産で高い品質が求められる付加価値の高い部品加工に注力する。航空機分野では、内装を手掛けるティア1・ティア2企業との技術交流を続けるとともに、機体部品や加工治具関連部品へも受注を広げていく。複雑形状部品や薄肉部品、難切削材の加工といった技術の高度化にも挑戦していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。