ものづくり補助金平成27年度製造業山形県

大型マシニングセンター導入による精密加工技術の確立と新市場開拓

有限会社M・T・S

この事例のポイント

  • 半導体製造の海外移行やリーマンショック・東日本大震災の後、中小の金型・精密部品メーカーでは受注が減少していた。
  • 大型マシニングセンターを新規導入し、それに合わせて工場を新設した。
  • 段取り作業が簡素化され、その時間を加工作業に充てられるようになり、段取り時間の短縮と工数削減が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社M・T・S
所在地山形県 南陽市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数8人
資本金300万円
設立2004年

事業の背景

当社は金型と精密部品を製作しており、装置組立や機械加工も行っている。近年は半導体製造の海外移行が進み、リーマンショックと東日本大震災の後にその傾向が強く表れ、受注が減少してきた。大型加工製品は外注で加工し社内で組み立てていたが、大型製品なら海外からの輸送コストを考えても国内で競争できると判断した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信半導体製造の海外移行やリーマンショック・東日本大震災の後、中小の金型・精密部品メーカーでは受注が減少していた。
  • コスト・採算海外進出は経費や競争力を考えると同等部品との価格競争に巻き込まれるため、生き残り策として取りにくかった。
  • 生産能力大型加工製品は外注に頼っており、自社で一貫して加工できる設備がなかった。

やったこと

大型マシニングセンターを新規導入し、それに合わせて工場を新設した。マシニングセンターを社内ネットワークに接続し、CAD/CAMで作成した加工データをダイレクトに送受信できるIoTシステムを構築した。社内で設計を行っているため、設計から加工まで一貫した体制で受注できる態勢を整えた。大型マシニングセンターの導入により加工範囲が広がり、これまで外注していた大型加工製品を自社で加工できるようになった。

加工機大型マシニングセンター
ソフト社内ネットワークに接続したCAD/CAMデータ送受信のIoTシステム

事業の効果

段取り作業が簡素化され、その時間を加工作業に充てられるようになり、段取り時間の短縮と工数削減が可能になった。大型加工製品を自社で加工できるようになり、加工の内製化が進んだ。その結果、製品精度と加工面品位が向上し、コスト削減と納期短縮も実現した。また、加工に関する新規の問い合わせがあり、新市場の開拓につながりつつある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    社内設計と金型・部品製作を行ってきた事業の延長で、大型マシニングセンターを導入し設計から加工まで一貫受注する方針が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外移行や震災後の受注減という外部環境を踏まえ、社内設計による一貫体制で大型製品を国内で競争する理由が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    受注減少という課題を認識し、大型加工の内製化で製品精度向上・コスト削減・納期短縮を実現したと成果が書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化や賃上げの数値目標は記載がなく、大型製品の設計段階からの受注をめざすという方向性のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    従業員8名の体制で、社内ネットワークやCAD/CAMデータ連携を構築したと書かれているが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大型加工品の内製化や既存顧客からの受注拡大、新たな加工問い合わせがあったことが書かれ、選ばれる理由の一端がうかがえる。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展望として設計段階からの受注や広報活動の必要性が触れられているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    大型製品の加工を社内で行える点は差別化につながるが、同分野で高水準の高価格化を図るとの記述はうかがえる程度にとどまる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    海外移行による国内産業の空洞化への懸念が語られるが、雇用創出や経済波及効果の具体的な記述はわずかにうかがえる程度である。

  • 費用対効果2

    コスト削減や納期短縮の成果はあるが、補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    社内ネットワークでCAD/CAMの加工データを直接送受信するIoTシステムを構築したと書かれ、デジタル技術活用が読み取れる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    国内生産の競争力を維持する方向性は示されるが、成長分野への進出や日本経済の構造転換に資するという記述は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    山形県南陽市の所在地は記載されているが、地域特性を活かした雇用創出や地域経済成長への貢献は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

設計段階から受注できる強みを生かし、大型製品の設計段階からの受注をめざす。既存顧客からの受注の幅も広がっているため、さらなる製品提案を進める。新規の加工案件も出てきたため、今後は広報活動の必要性も検討する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。