ものづくり補助金平成24年度大阪府

連続機による低温多層蒸着成膜技術を用いたLED照明の色温度、色度補正フィルターの試作開発

ジュラロン工業株式会社

この事例のポイント

  • 同業他社が多く、受注競争が激化している。
  • 照明市場で拡大している汎用白色LED光源の色調を調整し、照度低下を最小限にできる照明用フィルターの試作開発を行った。
  • 既存のLED光源に取り付けるだけで色温度変換と演色性の改良ができるフィルターを開発できた。

事業者のプロフィール

事業者名ジュラロン工業株式会社
所在地大阪府 交野市
業種プラスチック製品製造業
技術分野溶射・蒸着
従業員数100人
資本金5,400万円
設立1958年

事業の背景

1958年設立の射出成形品メーカーで、DVD用ピックアップレンズなどのプラスチックレンズの成形と反射防止コーティング、電気機器部品、電子機器部品、医療用機器のレンズ開発から製造・販売までを手掛けている。同業他社が多く受注競争が激化するなかで、小ロット多品種など小回りの利いた製造・品質管理により、付加価値のある製品展開で他社との差別化を図っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信同業他社が多く、受注競争が激化している。
  • 生産能力大ロット生産から小ロット多品種の生産へ切り替える必要がある。
  • 新製品・新技術照明市場で拡大している汎用白色LED光源の色調を調整できる照明用フィルターを開発する必要がある。

やったこと

照明市場で拡大している汎用白色LED光源の色調を調整し、照度低下を最小限にできる照明用フィルターの試作開発を行った。色温度変換・演色性改良フィルターと多層膜の設計、フィルターの試作を行い、新たに浮上した膜の密着性を検討した。フィルターは真空中で材料を加熱・蒸発させて薄膜を作る蒸着技術を用い、一般的な反射防止膜の3~5層に対して約20層の多層膜とし、膜厚精度はナノメートルオーダーとした。連続式真空蒸着機で試作したが、小ロット多品種にはバッチ式蒸着装置が適すると判明したため、治具の工夫を重ねてバッチ式での生産方法も並行して進めた。フィルターの基本特性と光源との組み合わせによる色温度・演色性の評価を行い、3Dプリンターとジョイント部の試作、斜入射光の正確な分光特性測定のための治具も導入した。

  • 加工機連続式蒸着装置バッチ式蒸着装置3Dプリンター
  • 検査測定斜入射光の分光特性測定治具

新しい製品・サービス:既存のLED光源に取り付けるだけで色温度と演色性を改良できる照明用フィルター

事業の効果

既存のLED光源に取り付けるだけで色温度変換と演色性の改良ができるフィルターを開発できた。電球色では2,800~3,000K、蛍光色では6,000~7,000Kの色温度に合わせられるよう、ガラスではなくプラスチック上で成膜を行った。2015年1月の「LED照明技術展」での出展では反響があり、事業化に向けた動きが具体化してきている。今回の開発成功により、プラスチックレンズなどの製造事業から新しいLED照明部品事業への推進力も生まれている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性小ロット多品種の小回り製造と付加価値展開で差別化し、フィルターを既存LED光源に取り付けるだけで色調を変えられる点が競争優位として示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け客先へのサンプル提出でヒアリングを行い、少量多品種の高品質照明ニーズを確認したうえで製品を開発しており、ニーズの裏付けがある。
  • 4
    新しさ・高付加価値約20層の多層膜、ナノメーター級の膜厚精度を実現し、一般的な反射防止膜の3~5層を大きく上回る高付加価値品である。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの具体的な目標値が示されておらず、実現可能性を判断できる数値が薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    1958年設立の射出成形メーカーで、プラスチックレンズや反射防止コーティングの既存事業の延長として照明フィルター開発に着手しており、一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    小ロット多品種の小回り製造と付加価値展開で差別化し、フィルターを既存LED光源に取り付けるだけで色調を変えられる点が競争優位として示されている。

  • 課題の認識と解決3

    同業他社との受注競争激化を課題として認識し、少量多品種の高付加価値製品でLED照明部品事業を立ち上げる方向を示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの具体的な目標値が示されておらず、実現可能性を判断できる数値が薄い。

  • 事業を進める体制3

    蒸着技術や多層膜設計の経験を持ち、試作から評価までを社内の開発グループで行う体制が記述されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    客先へのサンプル提出でヒアリングを行い、少量多品種の高品質照明ニーズを確認したうえで製品を開発しており、ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    量産向け連続式とバッチ式を使い分ける生産方法の課題を試行錯誤で解決し、今後の事業化へのステップも示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    約20層の多層膜、ナノメーター級の膜厚精度を実現し、一般的な反射防止膜の3~5層を大きく上回る高付加価値品である。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    省エネ照明としてのLEDの普及と高品質照明需要の拡大を挙げ、新たな需要創出の意義が読み取れる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    3Dプリンターや低温多層膜技術を組み合わせ、LED照明部品の新事業を立ち上げる点で技術面の新しさが示されている。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    照明市場の拡大に参入する点は触れているが、日本経済の構造転換への寄与までは述べられていない。

  • 地域経済への波及2

    美術館向けなどニッチ市場への挑戦を掲げるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済への効果は記述が薄い。

今後の展望

店舗照明などの大口用途に加え、美術館などでの光の反射を抑えるフィルター需要など比較的ニッチな市場にも挑戦していく。他業種企業や大学との共同研究も視野に入れて新たな需要を掘り起こし、照明業界に新風を巻き起こしたい考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

宮城県平成24年度

超抗菌ニッケルめっきの事業化

神戸製鋼所の抗菌めっき技術を導入し、自社で性能検証を行ったうえで、試作設備(100L槽と付帯設備)を設置・稼働させた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。