ものづくり補助金平成27年度製造業長野県

工作機械の高精度化に寄与する粉末冶金法による制御部品の製造方法の確立

ナパック株式会社

この事例のポイント

  • 粉末冶金では焼結時に還元性ガスを大量に使い、電気炉の電気代もかさむ。
  • 焼結時のガスを、アンモニアを熱分解する方法から、純水素と純窒素を混合器で混合して電気炉へ導入する方法に変更する設備を導入した。
  • アンモニアを熱分解する方法を廃止し、熱分解に費やしていた大量のエネルギーコストを削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名ナパック株式会社
所在地長野県 駒ヶ根市
業種金属製品製造業
技術分野機械制御,精密加工,測定計測
従業員数125人
資本金9,600万円
設立1966年

事業の背景

ナパックは1966年に創業した粉末冶金の専門メーカーで、自動車、産業機器、電機・電子などの分野で精密製品を製造している。希土類ボンド磁石の開発・製造・販売も手がけ、異方性磁石では世界でもトップクラスの実績を持つ。2017年度は過去最高の売上げを達成する見通しで、HV・PHV・EV自動車部品の活発な生産が続いている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力粉末冶金では焼結時に還元性ガスを大量に使い、電気炉の電気代もかさむ。
  • コスト・採算アンモニアの熱分解に大量のエネルギーを使い、コストがかかっている。
  • 品質・精度高速化に対応できる高精度製品を顧客から求められているが、従来の方法では対応が難しかった。

やったこと

焼結時のガスを、アンモニアを熱分解する方法から、純水素と純窒素を混合器で混合して電気炉へ導入する方法に変更する設備を導入した。水素ガス・窒素ガス混合装置の設置を完了している。今後はこの設備で製造した水素・窒素混合ガスを電気炉に使用し、製品サンプルを作って製品評価(硬度、切削性)と分析を行う。社内評価で合格すれば、顧客に4M変更申請書、製品サンプル、データを提出して変更承認を得た上でガスの切り替えを実施する。平成27年度には、粉末冶金法による制御部品の製造に、IoTを用いた最新型の工作機械を導入し、監視、保守、分析を行う。

加工機水素ガス・窒素ガス混合装置
加工機最新型の工作機械(IoT対応)

新しい製品・サービス:粉末冶金法による工作機械制御部品

事業の効果

アンモニアを熱分解する方法を廃止し、熱分解に費やしていた大量のエネルギーコストを削減できた。ガスボンベの頻繁な交換作業もなくなり、電気炉の夜間無人稼動への布石となった。工作機械制御部品では、高速化に対応する高精度製品の供給を実現し、加工時間も短縮した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    粉末冶金専業で創業以来の事業との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは事例に明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    特許取得や異方性磁石で世界トップクラスの実績があると書かれ、強みはうかがえるが、市場動向との関係は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    電気炉の電気使用が50〜60%を占めるという課題と、アンモニア熱分解の廃止によるエネルギー削減という対応が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの数値目標は示されておらず、加工時間短縮と高精度化の実現が書かれているだけである。

  • 事業を進める体制2

    体制や人材について記述はなく、従業員125名という規模のみがうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客から高速化対応の高精度製品を求められたと書かれ、ニーズの裏付けはあるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    成果後に4M変更申請、製品評価、顧客承認を経てガス切替を行うとの手順が書かれ、スケジュールの骨格はある。

  • 財務と資金の調達2

    過去最高の売上げ見通しは書かれるが、資金調達や財務状況の詳細は公開事例に示されていない。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    粉末冶金は幅広い分野で使われると書かれ、異方性磁石で高水準の技術を持つとあるが、高付加価値化の度合いは限定的である。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 費用対効果3

    エネルギーコスト削減とガスボンベ交換作業の廃止が書かれるが、補助金額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    IoTを用いた監視・保守・分析の導入は書かれるが、サプライチェーンへの貢献は記述がない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    駒ヶ根市に立地する企業であることは書かれるが、地域の特性を活かした雇用創出等の記述はわずかである。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

2017年度は過去最高の売上げを達成する見通しで、現在もかなりの研究開発テーマを抱えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。