ものづくり補助金平成27年度製造業岐阜県

樹脂塗装の塗着率向上と埃付着の抑制に取り組む生産性向上計画

株式会社奥田

成果塗着率 50%→70%

この事例のポイント

  • エアースプレーガンによる一般的な塗装では塗着率が約30%とされる中、当社は約50%に達しているが、残り約50%の塗料が廃棄されており、塗装費用の削減が課題だった。
  • 可動時の気流を操作でき、塗装対象の形状に合わせて塗装範囲を変えられる塗装ロボットと、付帯設備の高速回転霧化自動ガンを導入した。
  • 塗着率 50%→70%。塗着率が70%に向上し、塗料ロスを30%削減したことで、塗装費を30%削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社奥田
所在地岐阜県 美濃市
業種プラスチック製品製造業
技術分野製造環境
従業員数30人
資本金3,000万円
設立1985年

事業の背景

1970年にゴム加工業として創業し、家具塗装、プラスチック塗装へと事業を変えてきた。現在は自動車内外装部品の塗装を主軸とし、シャワーヘッドなど住宅関連部品のプラスチック塗装も行っている。プラスチック樹脂塗装の業界ではエアースプレーガンによる塗装が一般的で、塗着率は30%程度と言われており、廃棄される塗料が多い業界である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算エアースプレーガンによる一般的な塗装では塗着率が約30%とされる中、当社は約50%に達しているが、残り約50%の塗料が廃棄されており、塗装費用の削減が課題だった。
  • 品質・精度自動車バンパーなど大型製品では消費者の目に触れる部位の塗着過多や埃の付着が厳しく判定され、不良率が高く廃棄ロスが発生していた。
  • 品質・精度取引先から選ばれ続けるために、さらなる品質向上による不良率の低減が必要だった。
  • その他廃棄ロスを減らして環境へ配慮することも課題だった。

やったこと

可動時の気流を操作でき、塗装対象の形状に合わせて塗装範囲を変えられる塗装ロボットと、付帯設備の高速回転霧化自動ガンを導入した。まず新設備のデータ取りとして、ベルガンから塗装部までの距離、ガン角度、塗装スピード、エアー圧、ポンプ圧を変えて測定し、仕上がりが良く塗料を最も節約できる最適条件を割り出した。次にバンパーグリルを塗装物としてティーチングを行い、付着している膜厚が均一になるまでプログラムの微調整を繰り返し、目視で塗装状態に問題がないことを確認して最終データとした。このプログラム条件で噴出塗料を採取・計量し、従来との塗料使用量を比較して塗着効率を検証した。加工物を設置する台として半円状に可動するものを選定し、作業員の移動を減らして埃の付着が低減するかを目視で確認した。合計2,000回弱の検証を行い、品質向上、塗装費用削減、不良率低減の効果を確認した。

ロボット塗装ロボット
加工機高速回転霧化自動ガン

事業の効果

  • 塗着率 50%→70%
  • 1個あたり塗料使用量 100g→70g

塗着率が70%に向上し、塗料ロスを30%削減したことで、塗装費を30%削減できた。埃の付着が減少して不良率が5%低減し、廃棄ロスも減った。塗装サイクルを10秒程度短縮でき、短納期対応も可能になった。業界平均と比べて塗着率が2倍以上となり、コスト面で他社との差別化を図れるようになり、医療分野への展開も実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の塗装事業と高品質重視の経営が書かれ、今回の塗装ロボット導入は塗着率向上の課題解決として位置づけられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    塗着率が業界平均30%程度に対し50%を実現していると数字で示され、品質面の強みと自動車部品での実績が読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    塗着率70%、塗料ロス30%削減、塗装費30%削減、不良率5%低減、サイクル10秒短縮など数字つきで課題と効果が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    塗着率70%、塗装費30%削減、不良率5%低減など目標と成果の数値が示されており、実現性の根拠が具体的に読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    社員と協力して自動化を進めてきたことや稼働余裕の体制構築は書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車バンパーなど大型製品の品質要求や医療分野の抗ウイルス塗装案件の獲得など、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    データ取り、プログラム作成、約2,000回の検証と段階的な進め方は書かれているが、中長期の課題検証やスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    一般的なエアスプレーの塗着率30%程度に対し、ロボットと高速回転霧化ガンで塗着率70%を実現しており、同分野で高水準の高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    医療分野への展開や海外からの引き合い、新型コロナ対応の抗菌塗装案件の獲得など地域外への波及は書かれているが、国が補助する理由の記述は限定的。

  • 費用対効果4

    塗料使用量100gから70gへの削減、塗装費30%削減など投入に対する効果が数値で示されており、費用対効果の根拠が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    塗装ロボットや高速回転霧化ガンによる自動化は読み取れるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    岐阜県美濃市での創業と地域の支援への言及はあるが、地域経済や雇用への波及効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

車関連業界以外への進出を目指したPR活動を行い、新型コロナウイルスにも対応した抗菌機能を備える特殊塗料の案件を獲得した。今後は単に色を塗るだけでなく、お客様の期待に応える付加価値の高い塗装サービスを提供し、様々な業界への進出を目指す。

事業者の声

真心を色にする

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。