革の裁断を自動化し、2人しかできなかった工程の属人化から抜け出す

ナカイアポストリー株式会社

成果裁断時間が1枚60分から15分になり、残業時間が月30時間から3時間になった。

この事例のポイント

  • 飛騨の家具の産地で椅子やソファの革張りを行い、シワや引きつりのない仕上げと納期管理が評価され、県外からも受注が増えている。
  • 型紙から生地を裁断する工程は熟練技術が必要で社内2名しかできず、受注増の中でボトルネックになり受注機会を失っていた。
  • 一枚裁ち自動革裁断機とCADシステム、大型デジタイザーを導入し、過去の約200種類以上の型紙をデータ化した。
  • 裁断要員を縫製に回して縫製工程を強化し、新規雇用と増産体制をつくった。

事業者のプロフィール

事業者名ナカイアポストリー株式会社
所在地岐阜県
業種椅子・ソファの革張り(家具製造)
従業員数9人
資本金200万円

事業の経緯

飛騨の家具の産地である高山市に拠点を置き、椅子やソファの革張りを行っている。多様な素材の特性を熟知し、シワや引きつりのない仕上げと納期管理が評価され、市内の木工事業者だけでなく県外の企業からも受注が増えている。

一方で型紙から生地を裁断する工程は熟練者2名しかできず、生産能力の限界から注文を断っていた。裁断工程こそ最も機械化できる部分と考え、省力化投資補助金で自動裁断機を導入した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 熟練者2名に頼る裁断工程多様な素材の特性を熟知し、シワや引きつりのない製品に仕上げる技術を持つ。納期管理と高品質が評価され、市内の木工事業者だけでなく県外の企業からも受注が増えていたが、生産能力が低く注文を断る状況だった。型紙をもとに生地を裁断する工程は熟練技術が必要で社内では2名しか対応できず、複雑な形状の裁断には時間がかかり、属人化と人材育成の面でも課題になっていた。受注が増える中で裁断工程がボトルネックになり、受注機会の損失が生じていた。

やったこと

  1. 自動裁断機とCAD・デジタイザーの導入手作業だった裁断工程を、型紙データの位置決めなどの設定だけで裁断できるようにするため、一枚裁ち自動革裁断機とCADシステムを導入した。大型デジタイザーで、過去に受注した約200種類以上の型紙をデータ化した。
  2. 裁断要員を縫製へ裁断に充てていた要員を縫製業務に移し、縫製工程を強化した。ミシンは補助金以外で3台から5台に増やした。

事業の効果

  • 裁断時間が1枚60分から15分になった。
  • 残業時間が月30時間から月3時間になった。
  • 手作業で属人的だった裁断工程をデジタル化・自動化し、型紙の保管・管理もデジタル化した。
  • 縫製工程の強化で新規雇用と増産体制ができた。
  • 家具メーカーとCADデータでやり取りできるようになり、相互に協力しやすくなった。
  • 型紙のデータ化で、型の変更依頼にもすぐ対応できるようになった。

審査の観点ごとの評価

中小企業省力化投資補助金の公募要領にある審査の観点10つで見ています

観点の平均2.6 / 5
直近の回(第6回)の採択率63.9%応募1,841件・採択1,176件

出典:公募要領 p.30(審査項目)

技術面40%
  • 省力化の効果3

    裁断時間が1枚60分から15分、残業が月30時間から3時間に減ったと数字で示されるが、省力化指数の記載はない。

  • 投資の回収1

    投資回収期間に関する記述はなく、投資額や回収見込みも示されていないため読み取れません。

  • 付加価値の伸び1

    付加価値額の年平均成長率についての記載はなく、受注増や増産の話は付加価値の数字では示されていません。

  • 自社に合わせた設備3

    一枚裁ち自動革裁断機とCAD、大型デジタイザーを組み合わせ、約200種類の型紙をデータ化して革裁断に適用している。

計画面50%
  • 体制と資金2

    社内9名体制や裁断要員の縫製への移動は書かれるが、財務状況・資金調達・サイバーセキュリティの記載はない。

  • 優位性とスケジュール3

    機械導入で裁断を自動化し、型紙データ化から縫製強化、新規雇用へ進んだ流れは示されるが、具体的なスケジュールは不明。

  • 賃上げの目標1

    賃上げの目標値や実施に関する記述はなく、公開されている事例からは読み取れません。

  • 会社全体への効果4

    裁断要員を縫製に回し、増産と新規雇用、県外企業との協力まで会社全体に効果が及んだと書かれている。

政策面80%
  • 地域経済への波及4

    飛騨の家具産地で県外からも受注を得て、新規雇用と増産を地域の事業者とともに実現した点が書かれている。

  • イノベーション4

    自動裁断機にCADとデジタイザーを組み合わせ、家具メーカーとCADデータでやり取りできる仕組みを作った。

補助金を使った経費

冊子の内容から、省力化投資補助金の経費区分にあてはめた区分です。

  • 機械装置・システム構築費一枚裁ち自動革裁断機CADシステム大型デジタイザー

事業者の声

椅子張りの中では、裁断する人のことを「裁断師」と呼んでいますが、裁断工程は熟練の技を必要とし、ミスの許されない繊細かつ重要な作業となっています。この裁断工程こそ最も機械化できる部分と考え、裁断工程の自動化に取り組みました。

機械が得意な事は機械に頼り、人にしか出来ない仕事に携わる職人を増やしていくことで、「飛騨の家具」の発展にも貢献できればと考えております。

岐阜県の家具製造業(椅子・ソファの革張り、従業員9名)
出典

今後の展望

機械が得意なことは機械に任せ、人にしかできない仕事に携わる職人を増やしていく。縫製工程の強化と新規雇用で増産体制をつくり、飛騨の家具の発展に貢献することをめざす。

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