吟醸酒の高品質化、安定生産を可能にする工程設計と試作開発
市販吟醸酒の醸造から瓶詰・貯蔵までの工程に、全国新酒鑑評会出品の大吟醸酒の技術的要件を応用する形で設備を導入した。
泉金酒造株式会社
成果温度管理が0.5度の精度でできるようになった
| 事業者名 | 泉金酒造株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 岩手県 岩泉町 |
| 業種 | 飲料・たばこ・飼料製造業 |
| 技術分野 | 製造環境 |
| 従業員数 | 6人 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 設立 | 1854年 |
泉金酒造は安政元年(1854年)から続く岩泉町の老舗酒造で、龍泉洞の水を使った日本酒・リキュールを製造・販売し、地元を中心に近隣市町村で親しまれてきた。2011年の東日本大震災で、メイン客層であった地元酒販売店の廃業が続いたことを機に、新たな販路の開拓を迫られた。主力商品は晩酌用にも適した普通酒で、特定名称酒も製造・販売していたが、高付加価値の特定名称酒の品質を高めることが求められていた。
抱えていた課題
やったこと
日本酒づくりで手作業だった「ろ過」の工程を機械化するため、中空糸式ろ過機と中空糸膜SFフィルターを導入した。フィルターの繊維には0.2~0.4ミクロンの無数の穴があり、異物混入を防ぎながら、酒に残す、または除去する栄養素や菌を任意に調整できる。発酵の温度管理には密閉型ネオサーマルタンクを導入し、温度を0.5度の精度で管理できるようにした。このタンクは火入れ酒の急冷却や吟醸酒の低温貯蔵にも対応する。また約2000Lのタンク2基を納入し、多品種小量の酒づくりも可能にした。
| 加工機 | 中空糸式ろ過機 |
|---|---|
| その他 | 中空糸膜SFフィルター |
| その他 | 密閉型ネオサーマルタンク |
新しい製品・サービス:高付加価値の特定名称酒
中空糸膜SFフィルターによる高精度で安定したろ過が可能になり、熟練の職人でなくても安定した品質を保てるようになった。密閉型ネオサーマルタンクにより高精度の品質調整と高品質の貯蔵が可能になり、特別名称酒の品質が向上した。ろ過のセットから仕上げまで半日から1日がかりだった作業が時間単位で終わるようになり、作業効率も向上した。ろ紙を約10年繰り返し使えるようになるなど、コスト面も改善された。
いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています
震災後の販路喪失を契機に特定名称酒へ展開する経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けを明示する記述は薄い。
地元食材に合う洗練された味わいや龍泉洞の水など自社の強みを踏まえ、インバウンド需要も見据えた高付加価値化の方向性が具体的に書かれている。
手作業ろ過の剥離などの課題を明示し、中空糸式ろ過機と密閉型タンクで解決する具体的な内容になっている。
ろ過時間が半日から1日から時間単位へ短縮、温度精度0.5度などの効果は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。
従業員6名の小規模体制が示されるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述はない。
特別純米酒や地元食材に合う味わいなど製品価値とターゲットが整理され、インバウンド需要というニーズの裏付けも示されている。
新商品開発や販路拡大、龍泉洞内セラーでの熟成酒販売など方向性はあるが、スケジュールや中長期の検証方法は記載が薄い。
公開されている事例からは読み取れません。
日本で唯一とする鍾乳洞の水を仕込水にした酒づくりで、同分野の中で高付加価値化を図る取組であることが具体的に読み取れる。
岩泉町の地域酒蔵として地元食材や龍泉洞を活かす点がうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は示されていない。
ろ紙を約10年繰り返し使えるなどコスト改善は書かれるが、投資額に対する付加価値増加の数値は示されていない。
密閉型タンクや中空糸膜による機械化は読み取れるが、デジタル技術やサプライチェーンのイノベーションとしての記述は乏しい。
公開されている事例からは読み取れません。
岩泉町の龍泉洞の水や地元食材を活かし、地域の酒蔵ならではの高付加価値商品を生む事業であることが具体的に示されている。
5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。
安定した品質の高付加価値商品を中心に新商品開発や販路拡大を目指し、地元とのコラボや岩泉町にある龍泉洞内の日本酒セラーで熟成させた純米吟醸酒の製造・販売などを進める。日本酒が今後も顧客に愛され親しまれるよう、価値を高めていく。
昔は安くてたくさん飲むためのお酒というイメージもあったが、今は地元食材に特別に合わせたお酒や、お酒の味そのものを楽しむものが増えている
公式の事例集より(原文のまま)
市販吟醸酒の醸造から瓶詰・貯蔵までの工程に、全国新酒鑑評会出品の大吟醸酒の技術的要件を応用する形で設備を導入した。
株式会社キーエンスの画像寸法測定器IM-6700を導入し、技術担当者から操作方法の訓練を受けた。
効果:測定時間 5分→0.004分
温水加熱ニーダー等3機種を導入し、製品の湯煎殺菌とどぶ漬け殺菌の方法を新たな独自の殺菌方法に変更した。
効果:ボイラー燃料費(年間) 256万円→84.9万円