ものづくり補助金平成28年度製造業岩手県

日本で唯一!鍾乳洞の水を仕込水にした高付加価値日本酒の製造展開

泉金酒造株式会社

成果温度管理が0.5度の精度でできるようになった

この事例のポイント

  • ろ過を手作業で行い、作業者の長年の経験と勘に頼っていたため、ろ紙のプリコート剥離など様々な問題があった。
  • 日本酒づくりで手作業だった「ろ過」の工程を機械化するため、中空糸式ろ過機と中空糸膜SFフィルターを導入した。
  • 温度管理が0.5度の精度でできるようになった。中空糸膜SFフィルターによる高精度で安定したろ過が可能になり、熟練の職人でなくても安定した品質を保てるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名泉金酒造株式会社
所在地岩手県 岩泉町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数6人
資本金1,000万円
設立1854年

事業の背景

泉金酒造は安政元年(1854年)から続く岩泉町の老舗酒造で、龍泉洞の水を使った日本酒・リキュールを製造・販売し、地元を中心に近隣市町村で親しまれてきた。2011年の東日本大震災で、メイン客層であった地元酒販売店の廃業が続いたことを機に、新たな販路の開拓を迫られた。主力商品は晩酌用にも適した普通酒で、特定名称酒も製造・販売していたが、高付加価値の特定名称酒の品質を高めることが求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ろ過を手作業で行い、作業者の長年の経験と勘に頼っていたため、ろ紙のプリコート剥離など様々な問題があった。
  • 人手・技能発酵の温度調節に熟練の技術が必要で、品質が熟練者の技能に左右されていた。
  • 販路・情報発信2011年の東日本大震災後に地元の主要な酒販売店の廃業が続き、地元密着だけではない新たな販路を開拓する必要があった。
  • 販路・情報発信高まるインバウンド需要に応えるため、商品の訴求力を高める必要があった。
  • 品質・精度主力商品は晩酌用の普通酒であったため、高付加価値の特定名称酒の品質を高める必要があった。

やったこと

日本酒づくりで手作業だった「ろ過」の工程を機械化するため、中空糸式ろ過機と中空糸膜SFフィルターを導入した。フィルターの繊維には0.2~0.4ミクロンの無数の穴があり、異物混入を防ぎながら、酒に残す、または除去する栄養素や菌を任意に調整できる。発酵の温度管理には密閉型ネオサーマルタンクを導入し、温度を0.5度の精度で管理できるようにした。このタンクは火入れ酒の急冷却や吟醸酒の低温貯蔵にも対応する。また約2000Lのタンク2基を納入し、多品種小量の酒づくりも可能にした。

加工機中空糸式ろ過機
その他中空糸膜SFフィルター
その他密閉型ネオサーマルタンク

新しい製品・サービス:高付加価値の特定名称酒

事業の効果

  • 温度管理が0.5度の精度でできるようになった
  • ろ紙は数回使用しては取り換えていたが、中空糸膜SFフィルターの使用により約10年繰り返し使えるようになった

中空糸膜SFフィルターによる高精度で安定したろ過が可能になり、熟練の職人でなくても安定した品質を保てるようになった。密閉型ネオサーマルタンクにより高精度の品質調整と高品質の貯蔵が可能になり、特別名称酒の品質が向上した。ろ過のセットから仕上げまで半日から1日がかりだった作業が時間単位で終わるようになり、作業効率も向上した。ろ紙を約10年繰り返し使えるようになるなど、コスト面も改善された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    震災後の販路喪失を契機に特定名称酒へ展開する経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けを明示する記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    地元食材に合う洗練された味わいや龍泉洞の水など自社の強みを踏まえ、インバウンド需要も見据えた高付加価値化の方向性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業ろ過の剥離などの課題を明示し、中空糸式ろ過機と密閉型タンクで解決する具体的な内容になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    ろ過時間が半日から1日から時間単位へ短縮、温度精度0.5度などの効果は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員6名の小規模体制が示されるのみで、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    特別純米酒や地元食材に合う味わいなど製品価値とターゲットが整理され、インバウンド需要というニーズの裏付けも示されている。

  • 事業化までの道筋3

    新商品開発や販路拡大、龍泉洞内セラーでの熟成酒販売など方向性はあるが、スケジュールや中長期の検証方法は記載が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    日本で唯一とする鍾乳洞の水を仕込水にした酒づくりで、同分野の中で高付加価値化を図る取組であることが具体的に読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    岩泉町の地域酒蔵として地元食材や龍泉洞を活かす点がうかがえるが、経済波及や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果3

    ろ紙を約10年繰り返し使えるなどコスト改善は書かれるが、投資額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    密閉型タンクや中空糸膜による機械化は読み取れるが、デジタル技術やサプライチェーンのイノベーションとしての記述は乏しい。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    岩泉町の龍泉洞の水や地元食材を活かし、地域の酒蔵ならではの高付加価値商品を生む事業であることが具体的に示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

安定した品質の高付加価値商品を中心に新商品開発や販路拡大を目指し、地元とのコラボや岩泉町にある龍泉洞内の日本酒セラーで熟成させた純米吟醸酒の製造・販売などを進める。日本酒が今後も顧客に愛され親しまれるよう、価値を高めていく。

事業者の声

昔は安くてたくさん飲むためのお酒というイメージもあったが、今は地元食材に特別に合わせたお酒や、お酒の味そのものを楽しむものが増えている

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。