ものづくり補助金平成28年度卸売業、小売業福島県

電炉小型化を見据えた高純度小型鉄プレス製鋼原料生産工程革新事業

株式会社中商

この事例のポイント

  • 主力商品は切断品のため、小型プレス品に対応できなかった。
  • 鉄プレス圧縮技術の知見を持つ専門家を活用し、設備導入と技術確立を進めた。
  • 小型プレス製鋼原料の製造技術を確立し、新製品の製造技術を多角的に高めることができた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社中商
所在地福島県 白河市
業種建築材料、鉱物・金属材料等卸売業
技術分野製造環境,材料製造プロセス
従業員数54人
資本金2,800万円
設立1961年

事業の背景

国内の普通鋼電炉メーカーは、アジア各国の電炉メーカーとの差別化のため、電炉を小型化し多品種少量生産へ切り替えを進めている。国内で発生する金属スクラップのうち65%のみが国内で製鋼原料として利用され、残りの35%は海外に輸出されている。そのため、純度向上とサイズの小型化が厳しく求められ、小型プレス品の需要が高まると考えられていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術主力商品は切断品のため、小型プレス品に対応できなかった。
  • 品質・精度将来、国内電炉メーカーが求める金属スクラップの純度基準に到達できない可能性があった。
  • 新製品・新技術純度の高い鉄原料を弱いプレス圧で圧縮する加工は実績がなく、選別・荷役・圧縮の技術を確立する必要があった。

やったこと

鉄プレス圧縮技術の知見を持つ専門家を活用し、設備導入と技術確立を進めた。小型電炉に投入可能なサイズの金属スクラッププレス加工品を製造する技術を確立し、試験用のサンプル品を製作した。金属スクラップの純度向上のため、分別基準書(金属スクラップ買取品質基準)を制定し、買取段階での標準化を図った。この基準を用いた教育訓練や力量認定を実施し、技術と意欲の向上を図った。

新しい製品・サービス:小型電炉に投入可能なサイズの金属スクラッププレス加工品

事業の効果

小型プレス製鋼原料の製造技術を確立し、新製品の製造技術を多角的に高めることができた。金属スクラッププレス加工品の付加価値が向上し、納入先との取引拡大の可能性が高まった。分別基準書により買取段階での標準化が進み、教育訓練や力量認定を通じて純度の向上につながると見込んでいる。小型電炉に適した製鋼原料の供給により、循環型社会の形成も促進できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の資源有効活用の理念と、高純度小型プレス品への取組が一貫して書かれている。ただし経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    電炉小型化で国内電炉メーカーが純度とサイズを求めるという市場変化と、競合より純度が高いという自社の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    純度不足や破砕鉄・雑品の課題を認識し、分別基準書の制定や新製品の開発・アピールという対応策が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上や取引拡大の可能性は述べられているが、賃上げや付加価値額の目標数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    鉄プレス圧縮技術の知見を持つ専門家を活用して設備導入と技術確立を進めたと書かれているが、人材や事務体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は国内普通鋼電炉メーカーで、小型プレス品への需要の高まりと純度・サイズという選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    試験用サンプル品の製作、標準化、教育訓練などの進め方は示されているが、スケジュールや期間の記載は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    金属スクラップのプレス加工品は高純度小型品として競合と差別化する高付加価値化の取組と読み取れ、付加価値向上が明記されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    国内スクラップの65%のみが国内利用され35%が海外輸出される現状を挙げ、循環型社会の形成促進という公的意義が示されている。

  • 費用対効果2

    付加価値向上や取引拡大の可能性は書かれているが、補助金額に対する費用対効果を示す数値は見当たらない。

  • イノベーションへの貢献2

    新しい製鋼原料の品質基準の提案や標準化は述べられているが、先端的なデジタル技術の活用は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    電炉の小型化と多品種少量生産への転換という産業構造の変化に対応する取組として読み取れるが、構造転換への言及は限定的。

  • 地域経済への波及2

    白河市に所在することはわかるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

小型プレス技術を強みとして小型電炉への転換を図る国内電炉メーカーに対し、新しい製鋼原料の品質基準を提案していく計画である。新製品の開発と優位性のアピールを今後も継続していく。

業種と困りごとが近い成果事例

東京都卸売業、小売業平成25年度

スライド式ホルダーを採用した床排水トラップの開発

製品形状を円形から正方形に変更し、一軸方向へのスライドで着脱できるスライド構造の床排水トラップ「スライドロック」を開発した。

効果:洗濯機の排水ホース内に残ってしまう排水量を大幅に少なくすることができた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。