ものづくり補助金平成28年度製造業富山県

伝統木彫刻技術と神社との連携による新サービス事業モデルの創出

この事例のポイント

  • 木玉は真円ではなく楕円形で一つずつ大きさが異なるため、大量生産に向く機械がなく、職人が小さな木片を一つずつ丸ノコで角を取りランダムに削る手作業に頼っていた。
  • 木材を切断し荒削りに仕上げる新たなオーダーメイドの機械を導入した。
  • 木玉を一度に大量に作れるようになり、量産体制を確立した。

事業者のプロフィール

所在地富山県 南砺市
業種木材・木製品製造業
従業員数3人
設立1898年

事業の背景

当工房は明治31年より3代にわたり、国指定伝統工芸「井波彫刻」を生業としてきた。社寺仏閣の装飾彫刻や祭礼彫刻、住宅欄間、木製看板などを手がけてきた。木玉を中心とした社寺授与品は、さらに広く提案していく方針だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力木玉は真円ではなく楕円形で一つずつ大きさが異なるため、大量生産に向く機械がなく、職人が小さな木片を一つずつ丸ノコで角を取りランダムに削る手作業に頼っていた。
  • 人手・技能小さいサイズの木玉を削る作業は危険を伴うため、さらなる量産は困難だった。
  • 生産能力社寺授与品をさらに広く提案していくには、量産できる体制を作り上げることが必須条件だった。

やったこと

木材を切断し荒削りに仕上げる新たなオーダーメイドの機械を導入した。木材を、たくさんの小さな木片に切断し、角をランダムに落として荒削りの状態にまで仕上げる。サイズを入力し木材をセットするだけになり、安全かつ時間と手間の大幅な軽減を実現した。機械メーカーにオーダーメイドの研磨機を製作依頼し、一度にたくさんの滑らかな手触りの木玉を作り上げることに成功した。

加工機木材を切断し荒削りに仕上げる機械(木玉の切断・荒削り機)
加工機オーダーメイドの研磨機

新しい製品・サービス:木玉を中心とした木製の社寺授与品(安産お守り、おみくじ、記念品など)

事業の効果

木玉を一度に大量に作れるようになり、量産体制を確立した。小さな木片の切断や角落としを機械化したことで、危険を伴う手作業が減り、安全性と作業時間・手間が大きく改善した。木玉を使った神社の授与品は、お参りする人と神社の交流を生み、新規の社寺からの彫刻制作や修復の発注にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の木玉試作や社寺授与品の取組から新サービスへつなげる流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けを明示する記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    神社との連携や物語性のある授与品という差別化は読み取れるが、市場動向や自社の強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    量産困難や危険な手作業という課題は示されるが、高付加価値化や成長につながる数値的な事業計画は書かれていない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。量産による成果の方向性のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制2

    従業員数3人と工房体制は分かるが、補助事業を遂行する人材や事務処理能力の確保について記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    物語性を込めた木製授与品、しけ絹の巾着、干支の置物など製品の価値と選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後は量産体制のシステムを確立するとあるが、スケジュールや課題の解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    木玉は真円でなく楕円形で手触りが滑らかという高付加価値の製品特性が、具体的な製品説明とともに示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    国指定伝統工芸の井波彫刻の継承や地域の神社との交流に触れるが、経済波及や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、費用対効果を示す数値は書かれておらず、効果は定性的な記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    機械化によるサービス提案はあるが、先端的なデジタル技術の活用や地域サプライチェーンへの貢献は明確でない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    地域の井波彫刻と髙瀬神社などの地域資源を活かした授与品で、地域の工房や社寺との交流を生んでいると書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

工房に機械を中心とした生産環境を整え、量産体制のシステムを確立し、木玉を中心とした木製の社寺授与品をさらに多方面へ提案していきたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。