折損した木製バットを原材料とした意匠性の高い靴べらの開発

岐阜県の製造業者が、ものづくり補助金で折損した木製バットを靴べらに加工する機械を開発し、生産時間を短縮した採択事例です。

株式会社スタイズ

成果ヘッドの切削時間 7.2時間→0.783時間

この事例のポイント

  • 使い道が見いだせず焼却処分していた折損バットを、靴べらとして活用する方法を確立する必要があった。
  • 折損した木製バットの先端部分を削り出し、靴べらに加工した商品を開発しました。
  • ヘッドの切削時間 7.2時間→0.783時間。機械導入により生産は軌道に乗り、1本あたりの製作時間が約35分まで短縮され、生産効率が向上しました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社スタイズ
所在地岐阜県 関市
業種木材・木製品製造業(家具を除く)
従業員数3人
資本金5,501万円
設立2015年

事業の背景

当社は平成27年(2015)に創業した紳士服メーカーで、紳士服の企画、開発から生産、販売まで一貫して手掛けています。以前はリテール事業としてセレクトショップを運営していましたが、会社の事情により撤退を決めた時期に新型コロナウイルスの影響で紳士服需要が減少し、会社全体の売上が激減しました。

主要取引先の小売店も在庫調整のため仕入れを停止・縮小し、回復の見込みが立たない状況でした。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術使い道が見いだせず焼却処分していた折損バットを、靴べらとして活用する方法を確立する必要があった。
  • 生産能力試作品は木工職人がすべて手作業で行い、一本の完成に約8時間を要したため、量産販売が難しかった。
  • コスト・採算新型コロナウイルスの影響で紳士服需要が減少し、会社全体の売上が激減したため、早急に新規事業を立ち上げる必要があった。

やったこと

折損した木製バットの先端部分を削り出し、靴べらに加工した商品を開発しました。試作品は、グリップ部分が手に馴染み、バットの原材料であるアオダモ特有の軽さ、適度な柔らかさ、反発力を備えた製品に仕上がりました。

製造工程は、折損バットの選別、ヘッドの切削、表面の研磨、チームロゴや名入れなどの印字加工、艶出し仕上げの5段階です。このうちヘッドの切削と印字加工に使用する「バット靴べら加工機」を地域の工作機械メーカーと共同で開発しました。

試作時に7.2時間を要していた切削工程は、機械導入により1本あたり47分で加工が完了しました。また、決済機能を有するECサイトも構築しました。

新しい製品・サービス:折損バットを原材料としたロングタイプの靴べら

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • ヘッドの切削時間 7.2時間→0.783時間
  • 機械操作に慣れた現在、1本あたりの製作時間が約35分

機械導入により生産は軌道に乗り、1本あたりの製作時間が約35分まで短縮され、生産効率が向上しました。ECサイトの運営も順調で売上が着実に伸びており、プロ野球の球団グッズとしての採用も決まりました。

今後はチームのノベルティや引退記念品としての需要の掘り起こしや、大手紳士服チェーンや球団への展開を進める予定です。また、資源循環型の取り組みであることもアピールしていきます。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性アオダモ材の軽さや反発力を活かした靴べらで、取引先約100人の試用で高評価を得て、独自の木材垂直切削工法で特許申請もしている。
  • 4
    課題の認識と解決紳士服需要減とコロナ禍で売上が激減した課題を認識し、新規事業で解決を図っている。加工時間を7.2時間から47分に短縮し量産化を実現した。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け約100人の試用で「楽に靴がはける」「バットのようでおもしろい」と評価を得て、プロ野球球団からのグッズ採用も決まっている。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    紳士服の企画から販売まで一貫して手掛ける事業を背景に、廃棄バットを活用した靴べらを新規事業として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    アオダモ材の軽さや反発力を活かした靴べらで、取引先約100人の試用で高評価を得て、独自の木材垂直切削工法で特許申請もしている。

  • 課題の認識と解決4

    紳士服需要減とコロナ禍で売上が激減した課題を認識し、新規事業で解決を図っている。加工時間を7.2時間から47分に短縮し量産化を実現した。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    1本あたりの製作時間を約35分に縮め、ECサイト売上も伸びていると書かれ、生産効率向上の目標に向けた進捗が示されている。

  • 事業を進める体制3

    地域の工作機械メーカーと共同で専用加工機を開発し、取引先との試用も行うなど、事業遂行の体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    約100人の試用で「楽に靴がはける」「バットのようでおもしろい」と評価を得て、プロ野球球団からのグッズ採用も決まっている。

  • 事業化までの道筋3

    量産化のネックだった切削工程を機械導入で解決し、ECサイト構築や球団・大手チェーンへの展開計画を示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    折損バットを靴べらに加工する独自の製品で、特許申請もしている。木製バット由来の意匠性で他に類例が少ないと読み取れる。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    廃棄される折損バットを再利用する資源循環型の取組で、地域の工作機械メーカーとの共同開発や球団への展開も波及効果を持つ。

  • 費用対効果3

    加工時間を約8時間から47分、さらに約35分へ短縮し、年120本の折損バットを活用する効率化が示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    NC工作機と専用加工機を組み合わせ、廃材を活用する新しい製品・加工方法を開発し、地域の工作機械メーカーと連携している。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    岐阜県関市の工作機械メーカーと連携し、地域資源の折損バットを活かした製品を展開している。

今後の展望

野球人口は減少していると言われていますが、プレイヤーは一定数存在しファンも多いため、今後もチームのノベルティや引退記念品としての需要の掘り起こし、大手紳士服チェーンや球団などへの展開を積極的に行っていきます。

事業者の声

直立のまま楽に靴がはける

バットのようでおもしろい

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。