ものづくり補助金平成28年度製造業長野県

高精度・恒温環境の高度化による鍛造金型加工プロセスの構築

太陽工業株式会社

この事例のポイント

  • 自動車部品の短納期・低コスト化には、プレス工程間の高速な搬送手段が課題である。
  • テクノロジーセンター輝の地下工場(床面積2,268㎡、高さ4.5m)で、工場内の温度・湿度・気圧の測定システムと加工機械の稼働測定システムを導入し、恒温環境を確立した。
  • 地下工場の恒温環境が確立し、温度と加工精度の関係をデータで把握できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名太陽工業株式会社
所在地長野県 諏訪市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,製造環境,測定計測
従業員数230人
資本金4.9億円
設立1959年

事業の背景

創業は1959年で、当初は精密機器や弱電メーカーの機器を中心に手がけていた。リーマンショック以降は自動車メーカーの電装関連機器へと製品づくりを移し、今では自動車関連機器が売上の7割を占める。もとは1割に満たなかった比率である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力自動車部品の短納期・低コスト化には、プレス工程間の高速な搬送手段が課題である。
  • コスト・採算医療用鉗子は難削材で微細切削加工のため、長納期・高コストの課題がある。
  • 納期・工程全剪断面を必要とする自動車部品は、プレス加工面で品質・コストの課題がある。
  • 納期・工程多工程を必要とする自動車部品製作には大型のマシニングセンタで工程内の精度保証が必要である。
  • 品質・精度高精度金型を外販するため、ワイヤー放電加工機のピッチ精度や金型製造体制に必要な多品種・小ロット・短納期で課題がある。

やったこと

テクノロジーセンター輝の地下工場(床面積2,268㎡、高さ4.5m)で、工場内の温度・湿度・気圧の測定システムと加工機械の稼働測定システムを導入し、恒温環境を確立した。地下工場内の78箇所に温度センサーを設置し、24時間365日の温度監視を行い、熱を放出する機械の稼働率も計測した。また超精密ワイヤー放電加工機を選定・導入し、従来に比べ加工精度を飛躍的に向上させた。加工サンプルも測定し、温度環境と加工精度の関係を調べた。

加工機超精密ワイヤー放電加工機
検査測定温度・湿度・気圧測定システム
検査測定加工機械稼働測定システム

新しい製品・サービス:@teru(あってる)ブランドの超高精度ダイセット&プレート

事業の効果

地下工場の恒温環境が確立し、温度と加工精度の関係をデータで把握できるようになった。超精密ワイヤー放電加工機の導入で加工精度が飛躍的に向上した。精度の高い金型は長く使え、メンテナンスの頻度も減る。これを背景に高精度ダイセット&プレートのブランド製品を販売につなげた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    独自の多工程鍛造技術や地下工場での精密加工に取り組む流れは読み取れるが、過去の取組との一貫性を示す記述は限定的である。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    リーマンショック後に自動車関連機器が7割を占めるまで転換したことや独自技術開発力が強みとして書かれているが、市場動向との関係は詳しくない。

  • 課題の認識と解決4

    温度を78箇所で24時間監視し、高精度ワイヤー放電加工機の精度で金型の耐久性が10倍程度向上すると具体的に記載されている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    温度管理±0.3℃の実績や±0.1℃を目指す目標は示されるが、付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    グループ一貫製造体制や子会社との連携は触れられているが、補助事業の遂行を担う人材や事務体制の記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高精度金型の長寿命化という価値と@teruブランドの超高精度ダイセット&プレートの販売先が示されている。

  • 事業化までの道筋2

    大型製品や成長分野への進出を視野に入れると書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    高精度金型は高水準の高付加価値化を図るもので、精度±0.1℃管理や10倍の耐久性という数字で差別化が示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    医療・航空宇宙分野など成長分野への展開がうかがえるが、波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    メンテナンス頻度の低減や耐久性向上がうかがえるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    地下工場の温度や稼働率の計測を行う取組はあるが、サプライチェーン全体へのイノベーション貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    オーディオから自動車・医療分野へのものづくりシフトが示され、産業構造の転換がうかがえるが、政策的な位置づけは書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    諏訪市の精密産業集積地で創業し地域のものづくりを担う点は読み取れるが、雇用や地域成長への寄与は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

手のひらサイズの製品に加え、今後はさらに大型の製品や最先端の成長分野への進出を視野に入れている。

  • 目標:温度管理精度 0.3℃→0.1℃
  • 目標:精度の高い金型をつくると、ものによっては10倍くらい耐久性がアップする

事業者の声

地下工場は年間を通して温度の変化が少なく、しかも振動が小さいんです。精密加工にはとても適している環境です

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。