ものづくり補助金平成28年度製造業滋賀県

皮膚に貼り薬を吸収させる制吐剤パッチ型薬剤投与システムの開発

株式会社メディカルフロント

この事例のポイント

  • 抗癌剤の副作用で吐気が続くと制吐剤を飲むことが難しく、在宅や介護施設では本人や介護者が注射もできない。
  • 粘着ポリマーに(+)イオンを持つカチオン系モノマー候補を他のモノマーと共重合し、最適なモノマー組成と重合条件を決定した。
  • (+)イオンを持つ革新的な粘着剤を用いることで、粘着剤層から薬剤が速やかに放出され、皮膚表面の薬剤濃度を高めて皮膚への浸透をしやすくした。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社メディカルフロント
所在地滋賀県 草津市
業種プラスチック製品製造業
技術分野複合・新機能材料
従業員数4人
資本金100万円
設立2013年

事業の背景

株式会社メディカルフロントは、代表が40年余にわたり医療用粘着技術に携わった経験を活かして2013年に設立された。高齢化や皮膚の過敏症に対応したスキンケアなど、大手が手を出しにくいニッチ領域で製品開発を行っている。主力は化粧が乗る薄膜粘着テープで、シミやニキビを隠す製品やリフトアップ製品を販売し、医療機器の販売も開始した。高齢化の進行で生涯癌罹患リスクも増え続けている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他抗癌剤の副作用で吐気が続くと制吐剤を飲むことが難しく、在宅や介護施設では本人や介護者が注射もできない。
  • 新製品・新技術従来の粘着剤は薬剤と電気的に引き合うため、薬剤が粘着剤層から放出されにくい。

やったこと

粘着ポリマーに(+)イオンを持つカチオン系モノマー候補を他のモノマーと共重合し、最適なモノマー組成と重合条件を決定した。その粘着ポリマーに制吐剤を加えてテープを試作し、サンプル片をpH6.4のリン酸緩衝液に浸漬して放出量の経時変化を試験した。ラットの皮膚にパッチを貼付し、皮膚を透過してリン酸緩衝液に溶出する薬剤量を測定したところ、高い透過性が確認された。十分量の薬剤が入手できずコーターによる塗工試験は委託できなかったが、手作業塗工で塗工性は十分に確保できると判断した。40℃での加速による保存安定性試験を実施し、経過観察中だが劣化の兆候は見られない。粘着力は0.8〜1.0 N/20㎜で、目標の0.5 N/20㎜をクリアした。さらに開発者自身の皮膚で試験し、皮膚刺激が低く大きな違和感がないことを確認した。

新しい製品・サービス:皮膚に貼るだけで投与できるパッチ型制吐剤(パッチ型薬剤投与システム)

事業の効果

(+)イオンを持つ革新的な粘着剤を用いることで、粘着剤層から薬剤が速やかに放出され、皮膚表面の薬剤濃度を高めて皮膚への浸透をしやすくした。皮膚透過性試験では高い透過性が確認された。粘着力は目標0.5 N/20㎜を上回る0.8〜1.0 N/20㎜となり、皮膚刺激や違和感も少ないことを確認した。吐気がある患者でも皮膚に貼るだけで投薬でき、介護者も本人に代わって投薬できるようになる見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性47%
  • これまでの取組との一貫性2

    40年余の医療用粘着技術経験と、薄膜粘着テープ等の既存製品から制吐剤パッチへ展開した流れがうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高齢化や皮膚過敏症などのニッチ領域に注力する方針と、粘着技術の強みが読み取れるが、市場規模や競合との比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決2

    吐気で制吐剤を飲めない課題と、貼るだけで投薬できる解決策は書かれているが、事業計画の売上や成長目標は示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    従業員4人(パート3人)と代表者の経験が書かれるが、補助事業を遂行する体制の詳細は記載されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    吐気で飲めない患者向けに貼るだけで投薬可能という価値と、在宅・介護施設での利用ニーズが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    粘着力0.8-1.0N/20mmで目標0.5を達成、40℃加速試験、製薬会社連携による事業化など、課題と次段階が整理されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の-COO-粘着剤と異なる(+)イオン粘着剤を用いる新技術で、薬剤放出性を高めている点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    高齢化による癌罹患リスク増加や在宅・介護での投薬困難という社会課題に触れ、認知症薬への応用も示されている。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    革新的粘着剤による薬剤放出の仕組みは技術的イノベーションとして示されるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    滋賀県草津市の立命館大学BKCインキュベータに本社を置くことはわかるが、地域の特性を活かした付加価値創出としての記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は製薬会社との連携により、事業化を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。