ものづくり補助金平成28年度製造業滋賀県

日本の美しい木、柔らかい木を高精度に玉加工する技術の開発

株式会社カワサキ

この事例のポイント

  • 檜・杉・桜などの国内木材は香りや木目が良いが柔らかく、削ると表面に「ささくれ」が生じやすく、研磨でも完全には消せないため仕上がり品質が落ちる。
  • 柔らかい木材の綺麗な仕上げと作業効率の改善を両立させるため、舞錐の工程を3つの工程に分割し、職人の刃物の動きを参考に開発したCNC旋盤の制御プログラムを導入した。
  • 柔らかい檜・杉・桜などの国内木材でも表面を綺麗に仕上げられるようになり、黒檀や紫檀の代わりに国内木材を数珠に使うことが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社カワサキ
所在地滋賀県 近江八幡市
業種木材・木製品製造業
技術分野立体造形
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1953年

事業の背景

当社は数珠玉の加工を中心に手がけ、数珠玉の材料には従来、東南アジア・中南米・アフリカ産の黒檀や紫檀などの堅い木が主に使われてきた。近年は熱帯雨林保護のためワシントン条約による取引規制で黒檀や紫檀が入手困難になっている。一方、寺院の古材や古木、木曽檜・高山杉・屋久杉などの地域特産木材を使った記念の数珠やアクセサリーの要望が多く寄せられていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度檜・杉・桜などの国内木材は香りや木目が良いが柔らかく、削ると表面に「ささくれ」が生じやすく、研磨でも完全には消せないため仕上がり品質が落ちる。
  • 人手・技能舞錐の工程を応用したカンナ掛けは柔らかい木材の仕上げに有効だったが、作業者が1個ずつ装着する必要があり、量産には作業効率の改善が必要だった。
  • その他黒檀や紫檀は熱帯雨林の保護を目的としたワシントン条約の取引規制により入手が困難になり、国内産木材を使う必要性が高まった。
  • 新製品・新技術柔らかい木材の加工が難しいため、注文は欅など比較的堅い木に限られており、古材や地域特産木材の数珠・アクセサリーの要望に十分応えられなかった。

やったこと

柔らかい木材の綺麗な仕上げと作業効率の改善を両立させるため、舞錐の工程を3つの工程に分割し、職人の刃物の動きを参考に開発したCNC旋盤の制御プログラムを導入した。各工程で使う刃物と加工機を開発し、檜・楠・桜で試作を行い、材質ごとに加工プログラムを用意して綺麗な加工を確認した。各工程の刃物やプログラムを変えることで、球体のほか楕円型、半円型、円錐、穴無し、半穴のデザインに対応し、大きさは直径4mmから40mm程度まで加工できるようになった。

加工機CNC旋盤
ソフトCNC旋盤の制御プログラム

新しい製品・サービス:柔らかい国内木材を高精度に玉加工する加工装置と、球体・楕円型・半円型・円錐などの多様なデザインに対応した数珠玉・アクセサリー用パーツ

事業の効果

柔らかい檜・杉・桜などの国内木材でも表面を綺麗に仕上げられるようになり、黒檀や紫檀の代わりに国内木材を数珠に使うことが可能になった。工程を分割して制御プログラムを導入したことで、量産に向けた作業効率も改善された。加工できるデザインと大きさが広がったため、アクセサリーの幅広い需要にも対応できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    数珠玉の加工実績や木製アクセサリーブランドの立ち上げが書かれ、事業の延長線上の取組と読めるが、経営戦略上の位置付けまでは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    黒檀・紫檀のワシントン条約による入手困難という外部環境と、直径3〜150mmの加工技術という自社強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    ささくれ課題と舞錐工程の作業効率の課題を認識し、工程分割とCNC制御で解決した内容が示されている。ただし売上増などの数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加や賃上げの目標値は示されておらず、わずかに販路拡大の方向性がうかがえるのみである。

  • 事業を進める体制3

    当社の刃物・加工機の独自開発力や職人の動きを制御プログラムに再現できる開発力が強みとして書かれている。従業員数20人との記載もある。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    寺社の古木や地域特産木材の数珠、海外観光客向けの記念品など顧客ターゲットとニーズが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作を檜・楠・桜で行ったことや今後のブランド拡充の方針は書かれているが、スケジュールや中長期の検証方法は明記されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    黒檀・紫檀の代替となる国内材の加工を可能にし、直径4〜40mmの多様なデザインに対応する高付加価値化が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国内木材の活用や地域特産木材の展開がうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加額の数値はなく、生産性向上の効果も具体的な数字で示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    CNC旋盤の制御プログラムによる加工の自動化は示されるが、サプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    近江八幡の舞錐技術や木曽檜・高山杉・屋久杉など地域特産木材を活かした事業で、地域の特性を生かす取組が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

木製アクセサリーのオリジナルブランドで、従来は加工が難しかった鮮やかな色や美しい木目の銘木にも対応し、ブランドを拡充する。寺院の古材や古木、地域特産木材を使った数珠や記念品、アクセサリーの製作にも対応し、有名寺社を訪れる海外観光客向けのカスタマイズした記念品の需要に応えて、日本の木の美しさを発信していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。