ものづくり補助金平成28年度卸売業、小売業京都府

西陣織広幅ファブリックの新生産システムの開発

株式会社細尾

この事例のポイント

  • 既存の小型ジャカードは付属装置の寿命が短く故障が頻発し、通糸の切断などで毎日のように止まり、織機の回転速度を下げなければ正常な生地が織れないため、生産効率が非常に低かった。
  • 中型ジャカード(1,200口)を2台連結し、コントローラーで同期稼働させる新生産システムを開発した。
  • 故障が減って稼働率が高まり、生産能力は120%程度上がったと感じている。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社細尾
所在地京都府 京都市
業種繊維・衣服等卸売業
技術分野機械制御
従業員数56人
資本金8,000万円
設立1976年

事業の背景

創業(1688年)以来西陣で織物業を営み、近年は伝統的な西陣織の技術を生かして国際市場の標準幅である150cm幅のファブリック開発に取り組んでいる。前回の補助事業で150cm幅の織機により交織などの技術を確立し、広幅ファブリックの用途を大きく広げた。広幅ファブリック事業は国内外の顧客から広く支持され、多くの案件を抱えるようになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存の小型ジャカードは付属装置の寿命が短く故障が頻発し、通糸の切断などで毎日のように止まり、織機の回転速度を下げなければ正常な生地が織れないため、生産効率が非常に低かった。
  • 生産能力旧工場は間口が狭く設置スペースが限られ、新工場には増設の余地もないため、増設に対応できる設備が必要だった。
  • 生産能力広幅ファブリックの受注が増え、生産効率を上げるために織機台数を増やす必要があった。

やったこと

中型ジャカード(1,200口)を2台連結し、コントローラーで同期稼働させる新生産システムを開発した。従来は900口の小型ジャカードで稼働していたが、2台連結により2,400口相当の大型ジャカードと同等の能力を得ることができた。連結機は電子式で同期駆動制御させ、製紋プログラムも大型ジャカードと共有できるようにした。新規開発コントローラーの導入初期の異常には、糸の釣り方や製紋プログラムの工夫で対応した。織物の強度を確認するため京都市産業技術研究所に密度と物性強度の試験を依頼し、一般利用に必要な強度をはるかに上回る結果を得た。

加工機中型ジャカード
その他新規開発コントローラー

事業の効果

故障が減って稼働率が高まり、生産能力は120%程度上がったと感じている。2台連結の中型ジャカードで大型ジャカードと同等の性能を実現し、顧客が求める高いデザイン性と精度の高い製品を提供できるようになった。連結ジャカードのプログラミングや織機の扱いに関する従業員の技術力が上がり、トラブル対応力も向上した。故障による補修作業や従業員の精神的負担も軽減された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成26年度補正の150cm幅織機による広幅ファブリック事業の延長として位置付けられている。経営戦略上の明確な位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国際市場の標準幅150cmでの展開や国内外顧客からの支持は読み取れるが、競合比較や強み・弱みの分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    生産効率が低い課題を認識し、中型ジャカード2台連結で生産能力が120%程度向上したと具体的に示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産能力120%程度向上という数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制4

    従業員一丸の取組、京都市産業技術研究所への試験依頼、職人の責任体制など体制の記述が具体的である。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客の高いデザイン性と精度への要望に応えると書かれているが、ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    初期トラブルへの対応や今後の職人育成・設備拡充の方向性は触れられているが、スケジュールや中長期の検証は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    150cm幅の西陣織広幅ファブリックという一般的でない分野で、高解像度の織物を可能にする点が具体的に示されている。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    西陣地域の活性化や同業他社への設備新設の促進、産地を超えた業界活性化への寄与が記載されている。

  • 費用対効果4

    生産能力120%向上、故障減少、1件1時間程度の補修ロスの解消など、費用対効果を示す数値が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献4

    パンチカード式から電子式への同期駆動制御を業界で初めて試み、製紋プログラムも大型ジャカードと共有する技術革新が書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    国際市場の標準幅での新市場開拓という方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は書かれていない。

  • 地域経済への波及4

    西陣地域の活性化と西陣織広幅ファブリックの拡大による地域経済への貢献が、数値を伴わないが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も新たな取り組みを続け、職人の育成と設備の拡充を継続していく。西陣地域を広幅ファブリックの拡大で活性化するため、同じ課題を持つ同業他社に設備新設を促し、他地域へも成果を伝えて産地を超えた織物業界全体の活性化につなげたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。