ものづくり補助金平成28年度建設業兵庫県

「伝統構法」における木材整形工程の自動化による生産性の向上

尾上組有限会社

成果年間施工数 1.5棟→2棟

この事例のポイント

  • 自然乾燥材は長期乾燥でねじれや大きなひずみが生じており、熟練の職人でも加工に手間取り、工期が長期化している。
  • 自然乾燥材の面出し工程を自動化するため、幅600ミリ以下の木材を1度で直線加工できるプレーナー(自動一面カンナ盤)を導入した。
  • 年間施工数 1.5棟→2棟。加工工程に要する作業時間を80%以上短縮することが可能となり、新築1棟の総工期を2か月短縮できた。

事業者のプロフィール

事業者名尾上組有限会社
所在地兵庫県 福崎町
業種総合工事業
技術分野製造環境
従業員数5人
資本金500万円
設立1916年

事業の背景

健康志向の高まりから無垢の木材を使った住宅が見直され、本格木造建築へのニーズが高まって当社への注文も急増している。当社が使う自然乾燥材は乾燥に通常3か月〜1年を要し、木材のねじれや大きなひずみが生じるため加工が非常に難しい。工期の長さや当社のスケジュール上の都合から成約に至らない場合も多かった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程自然乾燥材は長期乾燥でねじれや大きなひずみが生じており、熟練の職人でも加工に手間取り、工期が長期化している。
  • 生産能力旧来の設備では大型の材料の加工が困難で、加工能力も低かった。
  • 人手・技能高度な加工は経験5年以上のベテラン職人に頼るしかなく、材料の面を変える際は2名での作業が必要で人件費負担も大きかった。
  • 品質・精度理想の加工精度を出すことが難しく、最終の仕上げ工程での手直しに時間と手間がかかっていた。
  • 生産能力木製の大型家具の製作要望に応えられず外注対応となり、コストが増加していた。

やったこと

自然乾燥材の面出し工程を自動化するため、幅600ミリ以下の木材を1度で直線加工できるプレーナー(自動一面カンナ盤)を導入した。強化テーブルを備えているため重い材料も自動で送ることができ、切削の厚みは20ミリまで自由に調整できる。加工速度が一定のため削り面にムラが生じず、手持ちカンナによる仕上げ工程を省略できる。経験の浅い作業者でも操作が容易で、材料の面を変える必要もないことから1人で作業できるようになった。

加工機プレーナー(自動一面カンナ盤)

事業の効果

  • 年間施工数 1.5棟→2棟

加工工程に要する作業時間を80%以上短縮することが可能となり、新築1棟の総工期を2か月短縮できた。施工数は年間平均1.5棟から2棟に増加する見込みである。1坪あたり原価は1割低減でき、加工に係る人件費も削減できた。作業者の負担も大きく軽減され、労働環境の改善につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    伝統構法を貫いてきた方針と、工期短縮が最優先課題だった経緯が書かれ、既存事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    本格木造建築への需要急増という外部環境と、伝統構法や自社の壁土製造という強みを踏まえた導入の流れが読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    工期長期化や外注コスト増という課題を示し、新築1棟の総工期2か月短縮、年間施工数1.5棟から2棟への増加という効果が書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    加工工程の時間80%以上短縮、総工期2か月短縮、1坪あたり原価1割低減と数値目標が示されているが、賃上げや付加価値額の目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    経験5年以上の熟練工や2名作業の人員状況は書かれているが、事務処理能力や遂行体制の具体は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    本格木造建築のニーズ、健康志向による無垢材住宅の見直し、顧客の要望として大型家具加工の需要が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    木くずを使ったペレットとストーブのセット販売という今後の展開は書かれているが、時期や遂行スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    伝統構法で自然乾燥材を扱う高難度の加工を内製化する取組として示されるが、普及度や高価格化の水準は具体的に書かれていない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    木くずをペレットとストーブで循環させ、木材を無駄なく使う地域内サイクルの構築をめざす点が書かれている。

  • 費用対効果4

    加工工程の時間80%以上短縮、1坪あたり原価1割低減、年間施工数の増加など、導入効果の数字が示されている。投入補助額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    木くずペレットを定期配送するしくみという新たな事業モデルは示されているが、デジタル技術の活用は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    伝統構法の確立と木材循環が書かれるが、成長分野への進出や日本経済の構造転換との関係はうかがえるにとどまる。

  • 地域経済への波及2

    兵庫県神崎郡福崎町に所在することは分かるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

木材加工で大量に出る木くずを燃やさず、木くずを材料としたペレットと、それを燃料とするストーブをセットで販売し、ペレットを定期的に届けるしくみをつくる構想がある。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。